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ハッピー先生お手製の手榴弾

眠れるマウントシーの守り神がその長い眠りから目覚めた。


どこで息を潜めているのか誰にも分からない。



幽かな音を聞き獲物の臭いを嗅ぎ分け襲ってくる化け物。


そんな風に脅されればどんなに勇敢な戦士でも震えて逃げ帰る。


今もぞろぞろと山を下る。


「お助け」


「親分。早く。早く逃げましょう」


「うわあ…… うわ、うわわわ」


勝手に転んだりぶつかったりと自滅で戦力が削がれて行く。


「落ち着けお前ら。何を恐れる必要がある?


ハッタリに決まってるだろう。誰がそんな嘘を信じるものか」


しかしもはや聞く耳持たず。皆逃げるのに必死。


逃げ回ったりそれを止めたりと指揮系統が機能していない。


結局数は揃えても半端ものでは使い物にならない。


これではマウントシーをどうにか出来るはずがない。


身の程を知らぬ愚か者の集団。



「ハッタリだ。そんな古臭い伝説知るかよ」


「お主威勢がいいな。さすがはリーダーなるもの。感心じゃ。


しかしこれは嘘でもハッタリでもない。残念だがすべて事実。


ここを突破すれば島のシンボルでマウントシーの守り神の怒りを買うであろう。


奴を刺激するな。これ以上は保障できんぞ。いいからすみやかに立ち去れ」


最後通告。


これだけ口を酸っぱく言っても侵すつもりなら勝手にすればいい。


愚か者には制裁が待っている。



「ふん。困った爺さんだな。俺たちの目的はマウントシーの破壊だった。


だが気が変わった。何もマウントシーに手を出すこともない。


反対派の悲願である副村長抹殺を急ぐことにする」


切り替えの早いことで。


「ふふふ…… これで文句ないだろ? 」


確かに立ち入らないと誓った。これは評価したい。


抹殺にはもってこいの状況。これも事実。


形勢が逆転したか?



「どうした副村長様よ。逃げないのか? いいんだぜ。ふふふ…… 」


惹きつける作戦らしい。


「うむ。挑発に乗っても良いが後ろを見ろ」


「ああん? 後ろが何だって? 」


さっきまで大勢いたのに後ろには二人だけ。合わせて三人しか残ってない。


「あいつら…… 腰抜け共め。まあいいさ。爺さんを葬るのに数はいらんだろう」


それでもまだ戦う気らしい。


「よし分かった。受けて立とう」



「うおおお」


突進する男。


遥かに大きな体が副村長を吹き飛ばす。


「済まん。済まん。やり過ぎたか。ははは…… 」


「やるなお主。まあまあじゃな。しかしまだまだ」


挑発する副村長。


男は再び突進する。


もうそれしか手がないらしい。


「うおおお」


「ぐぐぐ…… 」


男を止めにかかる。一旦は収まるが体格差と腕の痛みで堪えきれず吹っ飛ぶ。


再び吹っ飛ばされるとは情けない。一対一ではあまりに不利過ぎる。



「駄目か。お主凄いではないか。儂の力ではどうすることもできん。


やはり腕の影響か? 」


「ふん。当然だろうが。よしこれくらいでいいだろ。止めだ。覚悟しろ爺さん」


相手に流れが来ている。このままではやられてしまう。


仕方がない。ここまでだな。


「待て。待て。儂の力ではこれが限界じゃ」


「そうか諦めたか。良い心がけだ。地獄に行っても恨むなよ」


フィニッシュ。



「まあ待て。儂はこの通り怪我人。若い者に託そうと思う。だから交代じゃ」


「ははは…… 爺さん冗談きついぜ。それに誰がどこにいるって? 」


「大河よ。後は頼んだぞ」


「何を言ってやがる」


「親分の勝ちだろうが」


二人が加勢。副村長に襲い掛かる。


「止めろ。お前らどけ。俺が始末するんだ」


なぜか争いになる間抜け集団。


その時ミス・マームお手製の手榴弾が飛んでくる。



「親分…… 」


「リーダー」


「お前ら早く逃げろ。それはオモチャじゃない」


手榴弾が二人の手下に襲い掛かる。


「き…… 汚いぞ。何しやがる」


「お前たちこそ。マウントシーで何をしようとしていたか想像がつくぞ。


焼き討ちしようとしたんじゃないのか? この外道め。


作戦は失敗じゃ。早くその二人を連れて山を下りるがいい愚か者よ」


手榴弾の威力は抑えてある。


怪我したとしても大事には至らないだろう。


これもミス・マームの慈悲。


本来直撃すればあの世行き。


調整はお手の物。


調合だけではないミス・マームの隠された技。


これで勝敗は決したと思われたが……



仲間を失い手負いのリーダーが噛みつく。


「勝負だ。勝負をしろ」


あまりに身勝手な言い分。


もはや勝敗は決していると言うのに駄々をこねる。


「どうした? 怖いか? 俺が怖いか臆病者」


「いいからとっとと失せろ」


ただ呆れるしかない。


                   続く

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