対立する少女たち
早朝最後の沐浴を終えたブリリアントは館へ。
室内が騒がしい。
「どうしたんですか皆さん? 」
いつもの会議室で言い争いが繰り広げられている。
「ブリリアント聞いてよ。アリアが認めようとしないの」
仲のいいシンディーがアリアと揉めている。
ここは加勢すべきか。それとも部外者はただ見守るべきか。
うーん。どっちもありなだけに迷う。
「アリアさん。いい加減正直になったら」
物静かなドルチェが吠える。
珍しい光景。
アリアは黙ったまま。
「まだ何とかなると本気で思ってるの? いい加減にしてよ」
今度はエレン。追及が加速する。
「あーちゃんに何をしたの? 黙ってないで答えなさい」
それでも一言もしゃべらずに沈黙を貫いたまま。
無視を続けるアリア。
「また黙る」
シンディーも怒りを露わにしてる。
それでも口を開こうとしない頑固なアリア。
ブリリアントはどうしたらいいか分からずじっと見守る。
「あの皆さん落ち着いて…… 」
「ブリリアントこっち。こっちだってば」
苛立ったシンディー。一体何をそんなに怒っているのか?
「何があったんですか? 皆さん仲間割れしてる時ですか?
もう明日は祭りだと言うのに本当にしっかりしてください」
どうにかハッピー先生の真似で収めようとするが効果は薄い。
「何トンチンカンなこと言ってるの? 」
呆れるドルチェ。
場の空気を和ませようと思いついた作戦が失敗する。
結局取り込まれてしまう。
私どっちの味方でもないんだけどな。
なぜか全員を代表しアリアに疑問をぶつける損な役回り。
「アリアさんあなた一体何者ですか? 」
そうだそうだと後ろから加勢が。
「黙っていてもどうにもなりませんよ。大河さんが来る前に解決しましょう」
最前線でアリアさんとやり合う形になってしまった。
三対一ではさすがに分が悪すぎる。いや四対一か。
アリアさんにも応援が必要なのでは?
「私は岬アリア。それ以上でもそれ以下でもない。言いがかりは止めて」
さすが。勝ち目のない戦いも決して諦めようとしないその姿勢は見習うべきもの。
だけど……
「私はあなたが本当はアリアでも岬アリアでもないことを知ってます。
偽物だと断罪することもできます」
これはまずい。キレてしまうか心配だ。
そうなった時私が一番危険。どうしてこんな損な役割を引き受けたのか。
「黙りなさい」
激高するアリア。いやアリアを騙った女。
ここは先にキレた方が有利。
「あなたこそ黙りなさい。そして認めなさい」
あれ何を認めさせるんだっけ?
ギギギ……
ドアを開ける音がした。
大河の姿。
「おお騒々しいな。まあこうでなくっちゃな。今までがおかしかっただけだ。
これが普通なのかもな」
「大河さん聞いてください」
ブリリアントがすり寄る。
これが他の女だと何かありそうと警戒するがブリリアントなら問題ない。
そう思うのは信用してるからか? それとも……
「アリアさんがアリアさんが」
「だからアリアじゃないって」
シンディーが即座に訂正する。
これ以上は認める訳にはいかないようだ。
だがこれで余計展開が複雑になっていく。
ため息を吐く。
「アリア。もういいだろ。本当のことを話してみろ」
「分かりました。本当のことを言います」
ついに観念したように見えたが……
下を向き俺に衝撃の一言を放つ。
「すべてはあなたの命令です。翼さん」
「何を言ってるんだアリア? おいアリア? 」
もはや何を言ってるのか分からない。
巻き込まれた?
「すべてはあなたの命令です翼さん」
繰り返すが俺にはまったく心当たりがない。
翼…… この俺が翼だと? 冗談じゃない。
「おいアリア。いい加減にしろ」
いくら俺を陥れ言い逃れようとしても無駄だ。
それでは結局お前はただの裏切り者じゃないか。
「ですから翼さん。ご命令を」
繰り返すばかり。
「なな…… 何を…… 何を言ってやがる…… アリア…… アリア」
「だからアリアじゃないって大河。その女はアリアなんかじゃない」
訂正する。だが問題はそこではない。
こいつがアリアであろうとなかろうと俺が翼であることが耐え難い問題。
「だからアリアじゃないって」
「そんなことどちらでもよろしいのではないですか」
ブリリアントが宥める。
こんな時にハッピー先生は何をしてるんだ。
もうこれ以上混乱すれば敵の思う壺。
あと残り僅かな時間をこんなゴタゴタに費やす訳にはいかない。
ついに真実が明らかになる。
続く




