ハッピー先生の立ち位置
そうかその手があったか。
副村長に会いに行くのは面倒だが手間を惜しんでる時ではない。
「いいぞブリリアント」
煽てればもっともっと有益な情報をもたらしてくれるだろう。
「大河さん。私役に立ちましたか? 」
「ああ、大助かりだ。いやダメか…… 」
こんなこと言いたくなかった。でも少しでも危険があるなら指摘せざるを得ない。
「副村長以下島の者は俺を完全には信用してない。
残念だが島の宝である伝説や祭りについて口を開くことはないだろう」
期待は薄い。
「それではハッピー先生が何か知ってるかもしれません。
ここはすべて告白し協力を仰ぐのはいかかがでしょう? 」
「ダメだ。やはり彼女も島の人間。たとえ何か知っててもごまかすに決まってる!
大人は信用ならない。皆も真剣に考えてくれ」
二人とも信頼の置ける人物で誰よりも俺たちの助けになってくれると信じてる。
でもそれは何もない場合だ。島民にとって優先すべきは島を守ること。
『聖女の涙』に近づく者を決して許しはしない。
俺をただ泳がしているだけの可能性もある。
島の宝を伝説をよそ者に奪われていい気はしないはず。
「そんなハッピー先生に限ってそんなことは絶対に…… 」
三人が口を揃えてハッピー先生を擁護する。
「絶対にと言いきれるか? それにハッピー先生は副村長とは深い関係にある。
もちろんマウントシーの者は副村長派と言える。だが決して大人を信じるな!
それはドルチェ。君なら良く分かるだろ? 」
大人との対立の構造で分断を煽る。
もう今は大人に頼ってはダメだ。
協力を求めてもいいがすべてをさらけ出すのは危険過ぎる。
信用できる者以外には絶対口を閉ざし秘密厳守。
これが我々が唯一生き残れるチャンス。
「ここからは命がけの戦いになる。
もはや秘密に近づき過ぎた。
誰が味方で誰が敵か分からない。
大人はすぐに自分の立場で寝返る」
「分かりました。大河さんに従いましょう」
ブリリアントが代表する。
分かってくれたか。俺も人間。二人には感謝すれど陥れる気はさらさらない。
この島に来た目的はあくまで聖女の涙。
あれさえ手に入れればいいのだ。手に入れればな……
邪魔する者はたとえ誰であろうと容赦しない。
「あの…… 話は変わるけど」
さっそくドルチェが閃く。
「副村長宅で手掛かりになるものを見聞きしなかった? 」
ドルチェからの尋問。ついに本気になったようだ。
三人が俺の為に全力を尽くそうとしてる。俺もそれに応えねば。
「一回目は特に何も。話したり昔話を聞いたりしたが関係ありそうなのは何一つ」
「二回目は? 」
「あの時も特に何もなかったと…… 」
「ハッピー先生や山小屋のお二人も泊まったんですよね」
ブリリアントが指摘する。
「あの時そう言えば…… 祭りに使う御酒が出来上がったと報告が…… 」
思い出せ! 思い出せ!
「あの時試飲用に一本、お供えに一本、最後をハッピー先生に預けてたっけ。
何か関係あるかもな」
だとすれば元となる御酒はマウントシーのどこかに保管してあるに違いない。
でも確か御酒を持ってた記憶はない。だとすれば管理人に預けた可能性が高い。
「とりあえずその御酒についてハッピー先生に聞いてみましょう」
ドルチェがまとめる。
「そうですね」
「僕も異議なし」
反対はなく決定とになるが問題は誰が聞くかだ。
怪しまれずに詳しくそれでいて理解出来る者。
シンディーには荷が重いしブリリアントでは正直に答えてしまい計画が水の泡。
ならばドルチェ。まあ一番適任か。
出来たら俺が直接問いただしたいが警戒して不発に終わるのは目に見えてる。
「では解散! 」
そう言うと出て行く。
「大河さん。これを」
ブリリアントは例のごとく報告書を置いて行った。
報告書。
①深海エレン 島一の美少女であり村一番とも言われている。
謎の人物(少女)との接触あり。
年齢 十八歳。
三年前の月祭りに初参加。
結婚歴あり?
仲間意識が高い。
姉妹あり。
②岬アリア 謎多き女性。
年齢不詳。大人っぽい。
我々を探る動きあり。要警戒。
過去不明。
当初から壁を感じる。
③ハッピー先生 ミス・マーム。
キーとなる人物。
副村長の命を受けて動いてる?
アリアとの親子関係は否定。
口癖が物騒。
大河さんに向かってたまにつぶやいてる。
その他。
マウントシーで不穏な動き。
侵入者情報あり。
裏切者は?
ダンスは順調。準備万端。
大河 今はドルチェさんにご執心。
シンディーさんとも密会していた。
困ったお方。
私だけを見ていて欲しいです。
以上。
続く




