表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

40/104

沐浴 忍び寄る魔の手

ガサガサ

ガサガサ


遠くで物音がする。


飛び出してきた人影。おそらく男であろう。


この様子だと茂みから隠れて覗いていたに違いない。


一体何者だろうか? 不謹慎な奴め。


まさかシードクターの仕業? まさかね……


いや、あり得なくもない。そうだとすると根深い。大問題に発展しかねない。


このマウントシーを巻き込んだ大騒動が起きるやもしれない。


由々しき事態だ。ここは気付かなかった振りをしてやるのがいいか。



少女は全身をきれいにすると泉を出て衣服を身に着ける。


その一連の動作を見守る。


下から順に隠していく。


同じように目線を順に動かしていく。


瞬きもせずその一瞬も見逃さないつもりで。


別に邪な心がある訳ではない。


絵画を見るような感覚。


何と美しいことか。まるで天女。


いつまでもいつまでも見ていたい。


そんな至福の時間。


誰だろう? そのことで頭が一杯。



少女はすべてを身に着けると最後に緑のカチューシャを頭に。


そしてこちらに向かってゆっくりと歩いてくる。


空が明るさを完全に取り戻し島の夜明けを告げる。


あれ…… 彼女は一体?


姿を見失った。


まあいいか。また来ればいいさ。


さあ帰るとしよう。



気を抜いた訳ではないが彼女はもう行ったものと勝手に思い込んでいた。


だが違った。目の前に姿を現したのだ。


女神には程遠い存在。


神聖性を失ってしまったただの少女へ成り下がった。


こんな言い方は失礼だが受けたショックは大きい。



「見ていたんですね」


疑われる始末。俺が? 一体何を?


「見ていたんですね。分かってるんですよ」


追及の手を緩めないシンディー。


「何か御用ですか」


やはり彼女もそうだ。ミス・マームによって調教されていて大人しい。


ブリリアント同様、何かしらの過去やトラウマに悩まされているのは間違いない。



一つ気になることがある。それはアリアの存在だ。


アリアは事情があるとはいえ彼女たちとはまったく違う。


監視役と言うのもどうも良く分からない。


ここまで大人しく従順な少女たち。その上周りのサポートもある。


ミス・マームは一体アリアに何を手伝わそうと言うのか。


本人に聞いてもはぐらかされるのがオチ。


ミス・マームがもう少し協力的だったらな……


他人のことに首を突っ込むなと言われればそれでお終い。



少女は視線を合わせると数秒見つめて無言で問い詰める。


視線を外すと何事もなかったかのように通り過ぎる。


無表情で感情が読み取れない。


怒っているはずなのに……


ここで引き止めなけれは言い訳もできない。説得だってできやしない。


「待ってくれ! 」


「まだ何か御用ですか? 」


振り返った彼女は太陽の光によって輝いている。


神々しい限り。しかしその表情は冷え冷えとしている。


「時間がありません。後でお願いします」


何とか約束を取り付けるが。後とは具体的にいつなのか。


結局良いようにあしらわれた気がする。


「ちょっと待ってくれ! 」


「これは決して見てはならない神聖な儀式。それなのにあなたは見てしまった」


「ああ済まない。まずかったかな? 」


何も答えずに行ってしまう。果たして謝罪の言葉が届いたか定かではない。



部屋に戻るとすぐにブリリアントがやって来る。


二人で朝食。これがブリリアントとの約束。


ここで定時報告をしてもらう。


「大河さんはシンディ―さんがいいんですね? 」


訳の分からない言いがかりをつけてくる困ったブリリアント。


「あれは一体? 知ってるんだろ? 」


ブリリアントはもうこちら側の人間。手の内を隠す必要はない。


もちろん駆け引きも要らない。アリアとは違う。


「私の口から言うのも変なんですが…… 」


下を向き頬を赤く染める。


どうも言いづらいらしく口ごもる。



「教えてくれブリリアント。君たちは何をしてる? 」


もはや興味のレベルを超えている。


知らなくてはいけない。そんな気がする。


「やっぱりダメ恥ずかしい…… 」


ブリリアントは手で顔を覆う。


「そんな恥ずかしいことなのか? 俺には物凄く神秘的に見えた。


何て言うか神々しい。神聖なものを見た俺が逆に穢れて行く気がする」


見ている者を惹きつけ罪の意識を植え付けさせる破壊力のある儀式。



「そこまで知りたいのでしたらお教えします。


ですが今日をもって近づくのをお控えください。それが条件です」


「条件か…… 別にいいが君のも見てみたい」


「もう大河さんったら…… 」


照れてる彼女に早く話すように促す。



                続く



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ