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それぞれのタイムリミット

頬を染めて嬉しそうに出て行くブリリアント。


済まない…… 許してくれブリリアント……


ブリリアントが立ち去るとすぐにアリアの姿が。


今まで部屋の外で立ち聞きしていたであろうアリア。


満足そうに笑みを浮かべ入ってくる。


その笑みには邪な心が宿っている気がして我慢ならない。


睨みつける。



アリアは気にする素振りも見せない。


まったくこの女と来たら何を企んでやがる? 


本当に油断のならない女だ。


これが美人じゃなかったら…… いや言い過ぎか。


それにしても美人は美人だがハッピー先生には似てない。


性格も見た目もまるで正反対。


アリアは身長も高くどちらかと言えば大人っぽい。色っぽい。


逆にハッピー先生は未だにおっとりしていて子供っぽい。


常に上からの絡み癖のあるアリア先輩と優しく包み込むようなハッピー先生。


とりあえずムカつくその薄ら笑いを止めてみるか。



「何の用ですかアリアさん」


「ふふふ…… うまくいったわね」


「俺の力を見くびるなよな! 」


「凄いじゃない。ブリリアントの件を解決するなんて凄い。


そして手なずけ方も最高。私の時もぜひお願いしたいものだわ」


つまらない冗談を言いやがって相変わらずふざけた女だ。


まったくこっちの動きを監視していやがったな。



「ふふふ…… 」


笑っていやがる。その笑みが憎たらしい。


コケにされているのか?


落ち着け自分。怒りに身を任せればアリアの思う壺。


あれ…… どうもアリアが気に食わない。


確かに態度も悪いし性格も悪そうだが俺はこんなに彼女を嫌がっていただろうか?


たぶん彼女の挑戦的な態度が気に食わないのだろう。


来たばかりの頃は情報もなく協力してくれる者もいなかった。


そんな時貴重な情報を与えてくれた頼れる存在。


だが今は彼女の助けが無くてもブリリアントがいる。


だからアリアはもはや存在価値が無い。



「そうだ忘れるところだった。選抜メンバー一位通過おめでとう」


柄にもなく褒め称える。俺を煽てても何も出ないぞ。


「ああ、お前もな」


「そう私も九発だったから大健闘かな。シンディーさんが棄権するなんてね……」


「ああ。もういいか? 」


うるさくて敵わない。考えることもある。


「ふふふ…… シンディ―さんどうしたのかしらね? 」


「そんなことを俺に聞いても知るか! 」


やはり笑みを湛ええる不気味なアリア。


これ以上関わりたくない。早くどこかへ行ってくれないか。


「ちょうどいいわ。次の狙いはシンディ―さんに決定」


「はあ? ちょっと待ってくれよ。勝手に進めるなよな」


もう対等だ。アリアから教えてもらうことも指示を受けることもない。


俺の力で俺のやり方で勝手にやらせてもらう。


はっきり言って邪魔でしかないアリアの存在。


もともとライバル関係みたいなものなんだから。


「いい大河? 次はシンディ―さん。従うのよ」


そう言うと勝手に切り上げて出て行った。



まったくこちらの話を聞かないから困ったものだ。


迷惑過ぎる。


シンディ―ね…… 彼女の提案を素直に従うのは気が進まない。


しかし俺に残された時間も僅か。何としても祭りまでには見つけたい。


刻一刻とタイムリットが迫っている。


いや俺だけじゃない。彼女たちのタイムリットも迫ってる事を忘れてはならない。


肝に銘じる。



朝。


五時前に目が覚める。


不眠症に悩まされていた昨日までとは違いよく寝て睡眠不足も改善された。


すっきり起きられ気持ちのいい目覚めであった。


外はまだ陽が昇っておらずまだ薄暗い時間帯。


朝の散歩に出かける。


マウントシーの探索。


山小屋に寄ってみるが返事がない。眠っているようだ。


仕方なく目的地を近くの泉に変更して歩みを進める。



泉がいつから在ったのかは誰も知らない。


元々この島は無人島であり太古から湧き出ていたのだろう。


その辺のことは副村長以下島の者も詳しくはないらしい。


ただ祭りにおいて大変重要な役割を担っていると聞く。


またこの泉は観光客に人気であの帰らずの橋と同様島の数少ない観光資源である。



泉に着くと聞こえてくるのは天使の囁き。


懐かしい。なぜか懐かしい。聞いたことのある音色。


舞いに合わせて静かな朝の一時を演出する。


歌が靄のかかった世界を癒している。


本当に懐かしい。どうしてこうも惹きつけるのだろう。


いつだっただろう。分からないがそんな遠くの過去ではなかったはずだ。


うーんどうしても思い出せない。



舞いと同時に歌も止まる。


薄ぼんやりとした人影。


近づいてみる。なるべく音を立てないように近づく。


顔が見えた。



再び始まる神秘的な舞。


歌っている姿はまるで天女のよう。何と美しいことか。もちろん言い過ぎだが。


まるで神話の世界に迷い込んだよう。大げさかな……


絵画から抜け出した天女。


言わばピクチャーシーク。


彼女はこちらに気付く素振りも見せず黙々と一連の動きを繰り返すばかり。


周りが見えてないのか気が付きはしない。


無視と言えばいいのか見事に自分の世界に入り込んでいる。


懐かしい音色と共に朝日に輝く天女の姿に心を奪われる。


                  続く

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