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聖女の涙伝説

土砂崩れにより動きを封じられた俺たちは一日のんびりと副村長宅で過ごす。


管理人の男から話を聞くことに。


この島の者なら多少のことは知っているだろう。


副村長に近い彼なら有益な情報を持っているに違いない。


シードクターであり管理人の彼からの話なら信頼してもいいかもしれない。


ただ鵜呑みにはできない。検証は必要。



「ではこの島に伝わる伝説でもあれば教えてください」


「そうか君はその手の話に興味があるんだったね」


「ええまあ。男ですから」


訳の分からない受け答えをしてしまう。


自分でもそう思うのだから相手からすれば異常に映っただろう。


やってしまった。嘘を吐くのは難しい。


「まあいいさ。そういうことにしておこう」


ちっとも納得してない様子。


「では少しだけ」


周りに目を向け聞き耳を立てていないか確認。


情報の保全が確保されてからようやく話し出す。



「どれが聞きたい? 」


「では遠慮なく。マウントシーの守り神とは? 」


「ああそれを言うなら『グリーズ島の守り神伝説』だね」


「はいそれです」


男の口から語られる島の伝説。



「何十年も前この島が無人島であったとこを一人の若者が開拓し島を発展させた。


その後周辺の島々から移住してきた者、都会から引っ越して来た者。


それから観光で訪れた者が定住したり、外国からの移植と一気に島の住民が増加。


楽園と言われた島での自然破壊が始まった。


人間によって住処を奪われた獣が夜中に村人を襲いに来る。


外であろうと内であろうと関係なく喰らい尽くす。そんな噂が広まり始める。


この獣は島を開拓した者が島の平穏を保つ為、またはシンボルとして連れて来た。


そんな風に言われている。


以上が大まかなもの。ただ実際には見たと言う人はいない。


詳しい話は初めからの島民に直接聞くのが手っ取り早いかな。


ただ年齢は関係ない。ほとんどの者が移って来た者で初めからの人は限られる。


もちろん副村長も元々は島の外からやって来た者。まあよそ者だね。


当然我々もそう。今この件に詳しいのはたぶんミス・マームだろう」



ミス・マームが昔からの島民? まさかこの島を作った男と何か関係があるのか。


直接聞いてみるのも手だがそれこそちょうどいいのがいるじゃないか。


アリア。岬アリアなら絶対に知っているはずだ。


でもおかしいな。ミス・マームが初めからのメンバーならアリアはどこにいた?


親戚に預けられていたとでも? どうも良く分からない。


詮索することもないか。またミス・マームに叱られる。



「分かりました。ミス・マームの機嫌のいい時にでも聞いてみます」


「そうか。しかしこんなことなぜ知りたいんだ? 」


興味を示した理由を探っているようだ。どうやら少しは疑っているらしい。


やっぱり男だからでは答えになっていないか。


「ははは…… 面白そうかなって」


本心ではある。冒険は好きな方だ。


まあもうこれ以上冒険したくないと言う思いもある。


ちょっと複雑。俺としてはこの島に伝わる伝説を調べたい。


だがもう二度とあんな思いはごめんだ。



本心を隠し最後の質問に移る。


これ以上続ければボロが出る。その前に引き上げるのが無難だ。


「最後に『聖女の涙』について教えてください」


言葉に出してとぼけられても困る。


本来なら誰にも悟られずに自分の手で集めるつもりでいたが男の優しさに甘える。


危険だと承知の上で話を聞く。



「そんなことまで…… 二つ目の伝説まで知っているのか。研究熱心だね。


そうか分かったぞ。これが本当に聞きたかったことなんだね。隠さなくていい。


そうかそうか。恐らくこれこそが君が一番知りたかったこと。


つまりはさっきまでのは前座。前菜って訳だ。大事な物は最後に回す派だね。


実は私もそうなんだ。続けようか」


子供だと思って舐めていると痛い目に遭うぜ。


「そんなつもりはなくて…… ただ知りたいんです」


「分かった分かった。そんなに興奮するな。冷静に冷静にな」


「お願いです。詳しく聞かせてください! 」


態度は気に食わないが貴重な情報提供者。少しぐらい男の言う通りにしてやるか。



「『聖女の涙』とは…… 」


コーヒーを一杯お替りしてから話し始めた。


                 続く

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