第19話 夜戦の事で
「俺が旅をし始めた理由は、 実は女房の所為なんだよ……… ああ、 あいつの顔を思い出したらムカついて来たぁ!」
「分かるよそういうの、 私も昔、 一番最初に付き合い始めた女性が、 見た目とは裏腹に金だけの事だけしか考えていなくてさ、 毎回毎回『お金貸して』 って言って来たんだよ。 挙げ句の果てには違う奴のところにそいつは行ってしまってさ………」
「マルクも旅人も、 色々とあったんだなぁ! 泣けるぜ!」
初めは俺を励ます会になっていたはずが、 ビスが持って来た酒により、 もはや、 みんなの過去話を暴露する会になっていた。
因みに俺は、 酒が口に合わない事や酒の事で思い出したくない過去を思い出してしまい。 吐き気に襲われた。 多分ストレスだろう。 口の中、 血の味がするし……… ま、 気にしないでおく。
さて、 酒に酔って居る3人を無視して、 船長が12時間も言っていたなかの一つを思い返してみるか。
確か、 それは俺が初めて異世界に来た時、 俺が海賊と初めて闘って重傷を負って気絶した後の話だったな。
ちょっと思い返してみる。
“これは、 カトウ殿が気絶した後のことだ。
ミーティア様がカトウ殿を助ける為に回復魔法を唱え始めたのだが、 まだ生き残っていた海賊の主が甲板に刺さっていた剣を抜き出し、 そのままミーティア様に刺そうとしたのだ。
だが、 剣がそのまま刺さることはなかった。 それどころか、 少女の様な姿から赤い飛沫を上がる事がなく、 逆に刺そうとした者の方から赤い飛沫が上がった。
その時、 ただ一つの音だけが二隻の船に鳴り響いていた。
私達は、 その音源を探す。 すぐにその音源は見つかった。
その音源に、 みな、 顔を向けると、 其処には、 一人の男性が木と鉄で出来た何かを両腕に持って、 其れの先端を海賊の主に向けていたのだ。
今更だが、 あれは何かの武器かもしれないな。 まぁ、 私は剣しか興味がないから、 其れが何かは分からないが。
おっと、 すまない話が脱線していた。
実はその後、 敵船の甲板に数人が上がって来てな、 多分奴の部下だろうが海賊の主を見て、 其奴らの逆鱗に触れたらしく、 目の前に居たミーティア様と治療中のカトウ殿に目掛けて、 其奴らが持っていた武器で襲い掛かったんだ。
だが、 攻撃は届く事はなく、 其奴らから血飛沫が上がった。
その時にも、 同じ様な音が連発して上がる。
やはり、 その男がやっていたのだろう。 さっきのと似た武器を二つ両腕に持っていた。
似てはいたが、 さっきの武器よりはゴツゴツとしていた。 しかも、 二つの武器は其々特徴があった。
一つは、 六つの鉄の棒の様なものが円を描くように規則正しく並んで居る物。
もう一つは、 さっきのとは違い、 鉄の棒は一つしか付いていないが、 横にした円柱の様な物がその中心部についていた物。
二つとも棒の先端から煙を上げているのが分かった。 そう、 其れはまるで魔砲で砲弾を打ち出した後の様だった。
そう言えば、 カトウ殿の槍もそうだったな。 あれは魔砲に似た原理の武器なのか? 別に話さなくて良いが。
………忘れていたが、 この話に出て来た男は其処の旅人だ ”
実に話が長かった。 ミーティアさんのお姉さんの手紙以上に長かった。
因みに、 生き残った海賊達は一番最下層の部屋に鎖繋げて閉じ込めてるのだとか。 まあ、 どうでも良いが。
話を戻すが、 あの銃声は旅人のだろうなと薄々思っていたが、 何故、 この世界に銃がある?
ミーティアさんは確か銃はないと言っていたはずだが?
俺は、 其れに対して疑問を感じ始めた。
一方その頃………
『お姉様、 真剣な顔をしてどうしたのですか?』
『レイか、 ちょっとこれを見て欲しい』
『ノース王国の新聞ですか……………
“ 我が国と民主国家ストーンウォール、 同盟を結ぶ ”
“ 帝国の勇者召喚による警戒か ”
“ 新兵器、 小砲輸入検討する ”
………神の許しを聞かず帝国は何やってるのですか!』
『其れもそうだが、 “ 小砲 ” という新兵器の事だ。それとレイ、 東の国だけを見てないで、 西の国の事も勉強しておいた方が良いぞ』
『すみません、 今から勉強します』
『今じゃなくて良い。 其れより、 この世界には銃がない事は知っているな』
『はい、その筈ですがまさか!』
『ああ、 その “ 小砲 ” と言う武器は銃の事だ』
『何故、 その武器が? まさか、 加藤健二様の銃が盗まれた!? いや、 教えた!?』
『いや、 違う。 青年の武器は全てアイテムボックスの中に入っている。 てか、 船の上じゃそうそう情報が露出しないだろ』
『なら、 何なんですか!』
『落ち着け! 多分理由は二つの内どちらかだ』
『………二つ?』
『オレの推定だが、 一つは勇者による技術の露出だ』
『やはり勇者ですか!』
『最後まで話を聞け!』
『………すみません』
『そうだ……… どちらかと言えばもう一つの方が大切だ』
『もう一つ………』
次回へ続く




