戦国武術会編第3話〜開幕!戦国武術会〜
よく考えたら小説ランキングにこの作品を登録する意味が全く無い事に気付いたので、ランキング登録を止めました。登録しても上位を狙えないですしね(笑)
今までに一度でもカブけよカブけに投票して下さった方。ありがとうございました。
それでは戦国武術会編第3話をどうぞ
「コラ里美! お尻ペンペンじゃ済まさないからね!」
「ごめんなさい幸菜姉さ〜ん!」
んっ…。朝っぱらからこの騒がしさは何だ…? 誰が俺の部屋で走り回ってるんだ…?
俺はとりあえず目を開けた。
「慶二!あなたは今頃起きたの!?」
朝っぱらから騒々しいと思ったらこの声はっ…!
「幸菜姉ちゃん!?」
「久しぶりね。慶二」
何で幸菜姉ちゃんが伊勢家に来てるんだ!?
って、そうか。ここは海の上だった。
「調度いいわ。あなた達二人! そこに正座しなさい!」
「何で朝っぱらから正座をしなくちゃいけないの? おい、里美からも何か言えよ」
が、里美を見ると、彼女はちゃっかりと正座をしていた。つまり里美は、怒られる原因を知っている。という事だ。
「慶二…。幸菜姉さんの言う事は絶対よ…」
確かに里美の言う通りだ…。
俺は観念して正座をした。
「よろしい。それじゃあ慶二、あなた達が怒られる理由。分かる?」
「いえ、全く。見当も付きません」
「あなた達が一緒に寝てたからでしょうがぁぁぁ!!!」
「わっ!」
「ひゃっ!」
心臓止まるかと思った〜!
「あなた達は高校生なのよ!? 身の程を弁えなさい! そもそも日本というのはね……」
出た、幸菜姉ちゃんの長ったらしい説教。これって延々と続くんだよね…。
つーことで今のうちに彼女の紹介をしておこう。
彼女の名前は真田幸菜・真田幸雄。何故名前が二つ有るかは、後で分かる。そんな幸菜姉ちゃんは真田幸村の子孫。性格は姐御肌でお節介。こんな感じの性格だ。
間違っていようが何だろうが、彼女の言う事は絶対。あの理不尽な里美でも、幸菜姉ちゃんには敵わない、言わば里美ストッパーとも呼べる存在だ。
彼女は俺達の一つ上の学年で、兼次と同じく幼稚園で知り合って以来の仲だ。米沢から居なくなったのは俺の少し前。小四になると同時に彼女は引っ越した。
それ以来俺は、幸菜姉ちゃんと一度も会って居なかったから、かなり久しぶりなんだけど…。
あ、どうやら説教が終わったみたい。
「そう。べつにやましい事はしてなかったんだ」
「さっきからそう言ってるじゃない!」
「なんだ。そうだったの」
どうやら幸菜姉ちゃんは誤解をしていたようだった。そして俺達に謝った後、立ってもいいと言う。
俺達は立ち上がる。そして立ち上がると同時に笑みがこぼれた。
そして幸菜姉ちゃんも笑顔になった。
「里美、慶二。久しぶり。会いたかったわ」
その後、兼次も含めた四人で再会の喜びを分かち合った。
…。
……。
………。
「はいお兄ちゃん、あーん」
「あーん…」
もぐもぐ。朝ごはんもぐもぐ。
「美味しい?」
「も、もちろん美味しいよ」
船での朝ごはん。昨日の夕ごはん同様、子孫達が一同に集まって食事を取る。
そして俺の隣には昌がいる。自分で作った料理じゃないのに、美味しい? は無いだろう…。
「お兄ちゃんは私がいないと何も出来ないんだもんね」
「ハハハ…。まぁね…」
これがまた可愛い…可愛いすぎる…。私が居ないと何も出来ないんだもんね。だってさ〜。
〜妄想〜
明日香『あらあら慶二さんたら。私が居ないと何も出来ないんですのね。だったら私が一生慶二さんの側に居て差し上げますわ』
涼子『慶二は本当に世話のかかる男だな。だがまぁ…。悪い気はしないぞ…』
澪『やっぱり慶二君には私が付いてなくちゃ…ねっ。だからずっと慶二君の側に居てあげるねっ』
七美『もー。慶二ったら我が儘なんだからー。でも、慶二の我が儘なら何でも聞いてあげるからね♪』
雪江さん『慶二さん…。一生慶二さんの側に居させて下さい…』
綾子さん『慶ちゃんたら自分じゃ食べれないのね〜。だったら私が食べさせてあげるわ〜♪』
里美『下痢にはス〇ッパ』
〜妄想・終〜
何故だ…。何故里美との新婚生活が妄想できないんだ…。下痢とかどうでもいいし…。
『子孫の皆様方、誠島への予定到着時刻は午後0時でございます。尚、本日はAブロック、Bブロック共に、第一試合のみ行う予定でございます。詳しくは先日配布致しました、トーナメント表をご覧になって下さい……』
と、放送が入ってきた。俺はトーナメント表を見る。
−−−−
Aブロック一回戦
第一試合
チーム上杉vsチーム武田
第二試合
チーム織田vsチーム本願寺
第三試合
チーム徳川vsチーム斎藤
第四試合
チーム猛将vsチーム豊臣
Bブロック
第一試合
チーム名将vsチーム京都
第二試合
チーム西日本vsチーム東日本
第三試合
チーム島津vsチーム三成
シード:チーム歴戦の強者
−−−−
第一試合はAブロック、第二試合はBブロックを見るか。
しかし俺達のチームに居る、幸菜姉ちゃんと成美さんがまさか知り合い同士だったなんて…。
「知り合いじゃないわ。従・姉・妹・よ♪」
従姉妹よって…。
「あ、成美さんか…」
「おはよう慶二君」
相変わらず美しいですね、成美さんは。
「ホテルに移動した後、私の部屋に来てくれるかしら?」
「え? どうしてです?」
しかし成美さんは、とにかく来て。としか言わなかった。
俺は疑問を持ちつつだが、分かりましたと言う。
成美さんの部屋…。梨香先生も居るのかな…。
グフフフフ…。
気持ち悪っ! 俺気持ち悪っ!
脳内で様々な妄想を膨らませつつ、俺は黄金卵の目玉焼きを口にする。はっきり言ってヨード卵との違いがさっぱり分からない。
「さすが黄金卵…。他の卵とは一味違うでござる」
けどまぁ、ここは空気を読むことにしようかな。
「ごちそうさまー」
朝ごはんを食べ終えた俺は、昌達と一度別れ、兼次と部屋に戻る。それから部屋で、ホテルへの移動の為に荷物を整理する。その時、兼次の鞄からゴ−−。
そして海の上から陸の上へと活動場所を移す。この島は無人島なので、この島に居るのは大会関係者だけかと思っていた。
だがそれは違った。
港の目の前に有る闘技場。その闘技場にぞろぞろと入っていく人、人、人。見えるだけでも千人くらい居る。
まだ午後0時。第一試合開始は二時なのに、そんなにいい席で見たいのだろうか…。
…って違うだろ。やけに豪華だなと思ったら収入源はこれか。
外康さんは何も言ってなかったんだけどなぁ…。ま、いっか。
観客が居た方が燃えるし。
コンコン
「成美さーん。慶二です」
「どうぞー」
俺は部屋に入る。自分の部屋もそうだったが、とても広々とした、高級感溢れる部屋だ。これ、船でも言ったっけか…。
試合開始まで残り三十分と迫ったので、里美達、今日試合があるチームはミーティングなどを行っている。
「慶二君、そこに座って」
「はい。あれ? 梨香先生は?」
キョロキョロ
「慶二くん……」
「…っ!」
うわぁぁぁ!!!
「目の前にいきなり現れないで下さいよ! びっくりして耳がでかくなっちゃうじゃないですか!」
「……」
反応無し。
俺は部屋に有るコの字形のソファーに腰掛ける。中央にテーブルを挟んで、俺は二人と対面した。
「それで成美さん、話って?」
「慶二君なら私が何を言おうとしてるか、分かるんじゃないかしら?」
ん…。
つまり成美さんは、今俺が疑問に思っている事を言おうとしているって事か。
となると…。
「成美さんのスリーサイズ…。ですね?」
「違うわよ」
成美さんが少し怒ってる…。さすがにふざけ過ぎたかな…。
「石田三成の子孫について。よ」
へぇ〜。石田三成の子孫ねぇ〜。
「…って三成の所在が分かったんですか!?」
「いえ、所在は分かってないわ」
これ程子孫が集まったのに、三成の子孫が居ない。気にするような事じゃ無いかもしれないけど、何かが引っ掛かる。
「散々捜して、分かったのは、何処に居るのかさっぱり分からないって事よ」
なるほど。つまり−−。
「何者かに捕まっている可能性が高い、と。そういう事ですね?」
「素晴らしいわ。さすが慶二君ね」
えへへ〜。それ程でも〜。
「もう一つ分かったのは、少し前まで米沢に住んでいた。って事」
「米沢に住んでいたんですか!?」
「ええ。もしかしたら慶二君、その人と会ってるかもしれないわね」
そう言われても分からないって…。
成美さんからの話はそれだけだったらしく、彼女が三人一緒に闘技場に行こうと言ったので、俺達は闘技場へと向かう事にした。
闘技場は二つ有り、AブロックとBブロックがそれぞれ分かれて試合を行う。闘技場は石だ。とにかく石でできている。まさに闘技場だ。
俺達三人はAブロック会場に入る。競技場を丸くしたような会場。その会場に入っている観客全員が立っている。ざっと見渡した所…。
一万人くらいいるぞ!!! なんじゃこりゃ!!!
と、中央に有る、ロープの無い半径十メートルくらいの丸い石のリング。場外との段差は一メートルくらいだろうか。そのリング上に一人の女性が上った。
『御来場の皆さんお待たせしました!!!』
ん、この声は…。
『私はAブロック実況、審判担当の明智光でーす♪ よろしくねー♪』
「いいぞねーちゃーん!!!」
「ヒューヒュー」
あ、そっか。七美は激しく動けないから、そっちの仕事をやってるのか。
『さぁそれでは戦国武術会!!! かーいまーくでーす!!!』
七美が言ったのと同時に、空へと打ち上げ花火が数発上がった。会場の盛り上がりが一層激しくなる。成美さんが隣で何かを言ってるが、何も聞き取れないくらいだ。
『さぁそれでは一回戦目! この大会…最初に…て最大…対戦カード! チーム上杉対チーム武田!』
「ウォォォー!!!」
「キタァァァー!!!」
もうマイクを使っている七美が、何を言ってるのかもよく分からなかった。
『それではチーム上杉! 入場してください!!!』