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第7話〜学校はどんな所?〜

まだまだ転校初日です

「じゃあ、席は真ん中の列の1番後ろね」


「はい…」


 俺は重い足取りで、空いている机に向かう。

 と言うのも俺は、前回の大スベリでかなり落ち込んでいたからだ。


 うっわぁ…。みんなして見てくるよ、あっちもこっちも。

 チクショー! 脱ぐぞ、脱いでやろうか! あぁ〜?




「ふう…」


 脱ぐはずもなく、俺は席についた。


「あんた…。何よあれは…?」


「…すまん」


 席についたと同時に、右隣りに座っていた里美にダメ出しされた。


「ったく…。何なんだよあれは」


「…すまん」


 同じく右斜め前にいた兼次にダメ出しされた。


「でも面白かったよー!」


「…そうか?」


 しかし1番前にいた男子Aには褒められた。


「とにかく、これからよろしくね」


「またこの三人が集まったのは久しぶりだな」


 俺も、よろしくな。と答える。


「それならあいつも転校してくれないかしらね」


「そうだな。慶二のたじろぐ姿が見たい」


「そんなの嫌だっての」


 俺は久しぶりにこの二人と、三人で話した。

 何を隠そう俺たち三人…性格には四人だが。昔、とても仲がよく、いつも一緒にいたのだ。こうやって三人が再び揃うのは俺が転校して以来のことだ。



…。


……。


………。


 キーンコーンカーンコーン



 そんなこんなで今日は、始業式とホームルームだけで終わる。クラス中が、おわったー、かったるかったー。などと口にする。


「じゃあ私部活だから」


「おう」


「じゃあね」


 どうやら里美は部活に行くようだ。ちなみに俺も里美も、昼ご飯は綾子さんから弁当を貰っている。


「さて、俺はいつもなら帰る所だが…。お前と今後の話をしなきゃな」


「ああ、そうだな」


 兼次はちゃんとそのことを覚えていて、昼飯を買ってきていたようだった。


「さて、お前は昨日、子孫を探そうと言っていたが」


「ああ」


「バカか?」


「ああ?」


「どうやって探すんだよ?」


「ああ!」


「俺達には子孫を見つけ出す手段がない」


「ああ」


「それに能力が目覚めず普通に暮らすのに越したことはない」


「ああ」


「なら今後どうするのが得策か…」


「ああ…」


「原因は不明だが、能力に目覚めているのはS級を除けば俺達の年代のみ…」


「ああ」


「だから高校で普通に暮らしていれば子孫を護衛できる。ただそれだけの話だ」


「他の高校はどうするんだ?」


「安心しろ。友人の宇佐美定充や北条低広、蒲生氏里にこのことを伝えておいた」



 ここらへんで能力について説明しておこう。能力は普段、S級武将の子孫のみに与えられる特殊能力だ。その能力は武将によって違うが、世代によって変わることはない。この力はS級に与えられた特権だ。

 しかし何故か俺らの世代のみ、奇妙な現象が起きている。S級以外の武将の子孫も能力に目覚め始めたのだ。それ以外の詳しいことはよくわからない。

 そしてS級の子孫達が集まった組織も存在する。徳川連合なんかもその一つ。ちなみに前田慶次の子孫はこういった組織が嫌いだ。何で集まるかって? 能力の研究の為とかじゃねーの? とにかく患者が来たからここまでな。



「またお前かよ!!!」



 …とにかくそういうことだ。本名を隠すのも無駄な戦闘を避ける為とか。特に別組織の武将同士が戦闘を始めたりすると色々と面倒らしい。

 俺が名前を隠さない理由はあの前田利勝のせいだ


「さてと…」


 不意に兼次が立ち上がった。


「とりあえず学校案内してやるよ」


「あぁ、そっか…。サンキューな」


 たしかに俺はこの学校のことを何も知らない。だから案内は助かる。だが、どうせなら美人委員長とかに案内を…。


「よし、まずは体育館からだな」


「…ああ」


「どうした?」


「なんでもねーよ…」



 そして俺達は体育館へと向かう。

 その途中、兼次は学校の女子に何度も話し掛けられていた。その原因はもちろん、彼の甘いフェイスだ。憎たらしいったらありゃしないぜ。


 まあそんなこんなで体育館らしき場所に着いた。そこではバスケットボール部が必死に練習をしている。

 俺はふと、一人の女の子が気になった。


「おい、あのバスケが上手いやつは誰だ?」


「ん? どいつだ?」


「金髪で長い髪の人だ。ほら、名古屋巻きの」


「ああ、あいつか…」


「どうした?」


「同じクラスだからじきにわかるさ」


 まあ、それなら無理に聞くことはないだろうと思い、気にしないことにした。


「次どこに行きたい?」


 そう言われると思い付かないのが普通だが、俺は違う。


「剣道場に行きたい」


「剣道部にでも入るのか?」


「そういうわけじゃないが」


「まあいいや。行くぞ」


 そうして兼次は俺を案内してくれる。


「ここが剣道場だ」


「ほう…」


 そして俺は暫く辺り一面を見渡したが、強そうなやつはいない。

 どうやら俺は慶次の血を引き継いでいるだけあって、自然と強者を求めてしまうようだ。


「弱いな…」


「そうか?女子を見てみろ」



 俺は口にしたが、兼次が反論するかのように言ってきたので、俺は女子の剣道部を見てみた。


「女子もどうってことな…ん?」


 俺の視界に一人の女子が目に入った。当然面を付けているから顔は判断できないのだが。


「何だあいつは?」


 強い。女子とは思えないステップと竹刀捌きと小鳥と私。


「あいつも同じクラスだ。名前は御堂涼子」


「あいつも同じクラスなのか!?」


 しかし、その御堂涼子という女子、はっきり言ってかなり強い。男子の部に出ても優賞出来るかもしれないほどだ。


「かなりの美人で男子注目株。だが、愛想がなくて剣以外に興味がないらしい」


「まあそれはいいとして、あれはただの剣道じゃないぞ」


「そう。俺もそう思ったから本人に聞いてみたんだ」


「さすが兼次だな」



 腐っても兼次なんて諺もできそうだ。

 もしくは腐った兼次とか? アハハハハ!!!


「どうやらあいつの父親は御堂流剣術の師範らしい」


「ということは…」


「そう。そして一人娘の御堂涼子は多分次期師範だろうな」


「なるほど。つまりあれは御堂流剣術を剣道に組み込んだ、言わば涼子流剣術だな」


「少ないヒントでナイスなご名答だ」



「何をしている?」


 なんて2人で話している所に噂の御堂さんがやってきた。先ほどは面を付けいていたが、今は外している。

 そしてその注目すべき、顔。なのだが…。



 めっちゃ可愛い♪



「学校案内だよ」


「誰のだ?」


「前田慶二だよ」


「ああ、あの転校生か」



 そして御堂涼子がこちらを向いたため、俺と目が合った。


「はじめまして。御堂涼子さん」


「ああ」


「これからよろしく」


「よろしく。…それでは私は練習に戻る」


 非常に愛想の無い返事だけをして行ってしまわれた。


「愛想がないな」


「ああいうやつなんだよ」


 なら仕方ない。


「次はどうする?」


「ん?あぁ、どうすっかな…」



 剣道以外には…サッカーとかかな。


 なんて次に行きたい場所を考えていると、不意に−−。


「慶二じゃなーい!」


「「ワー!!!!」」


 俺と兼次はその声にビックリして、大声を出した。


「あ、七美か?」


「慶二、覚えてくれてたの? うっれしー」


 そう、彼女はファミレスで会った七美だ。


「なんだ慶二、愛川と知り合いだったのか?」


 どうやら苗字は愛川というらしい。


「ああ、昨日知り合った」


「私がバイトしてるファミレスに、里美と里美のお母さんの綾子さんと来てたのよ」


「ほう、何でまた里美家といたんだ?」


「ああ! それわたしも気になった!」


「ん? ただ里美と綾子さんと買い物をしていた帰りに立ち寄っただけだぞ」


「「…」」


 二人は一呼吸置いて聞いてきた。



「そもそも何故一緒に買い物をしたんだ?」


「そうそう、それに里美とだけならまだしも綾子さんも一緒だったし。あんたらいったいどういう関係なの?」


「え? 綾子さんも一緒って言ったって、そりゃ俺が里美の家にいそうろ−−」


「「いそうろ…?」」


 いや待てよ。下手に居候してるなんて言ってみろ…。

 →クラス中に、俺が伊勢家に居候していることがばれる。

 →やーいやーい! お前ん家、ハーレムやーしきー!

 →カンタァ!!!!


 そして俺は、最終的に里美の三連刹を喰らう自分の姿が見えた。


 これはまずい。


「−−いそうロペ…。そうそう! いそう呂比須・ワグナー」


 我ながらナイスな切り替えしだ。


「呂比須ワグナー? あの元日本代表の?」


「あ、あぁ…。そうだ」


「キャー! 私ワグナー大好きなのよー!」


 どうやら七美への効果はばつぐんだったようだ。


「伊勢家に居候ねぇ…」


 兼次への効果はいまひとつのようだった。


「まあいいや。とにかく次は何処に案内しようか」


 ナイス兼次。


「ねぇ兼次、例の場所は案内したの?」


「いやっまだだが」


「例の場所?」


と、2人は俺の質問を無視して向こうを向き、小声で話を始めた。



(おい、例の場所は刺激が強すぎないか?)

(そうだけど、どうせいつかは知る羽目になるし…)

(うーん…たしかにそうかもな…)

(それに例の場所にはあれがあるじゃん)

(あれってなんだ?)

(焼ビーフンだよ、焼ビーフン)

(ブフッー!)


 なんか兼次が笑いはじめたぞ。


「え〜? だって焼ビーフンってマジやばくな〜い?」



 もう小声ではなかった。

 しかしたかが焼ビーフンで吹き出したのかあいつは。しかも口調が…。


「でしょでしょ! それでね、その焼ビーフンって特殊なんだよ」


「え〜、マジどんな感じで〜」


 志村ー! 口調、口調ー!


「実はその焼ビーフンね…」


「マジなんなの〜?」



 ゴクン…。







「焼き飯タダ飯ただのアリゲーター!!!」


「ブフッー!」



 うわっ! 俺以下だ!



「なにそれー! マジうけるんですけど〜!」


 これで笑うって、お前どんだけ底が見える男なんだよ!?


「だからどうしよっか、案内しとく?」


「いや、やめておこう」


 おお! 兼次が帰ってきた!


「じゃあどうするの?」


「うーん…」



 と、二人が案内する場所を考えている時、部活を終えた女子バスケ部が通り掛かった。

 皆それぞれに、疲れたー、とか昼ごはんどうするー、などを言っている。


「あー! おつかれ明日香!」


「お疲れ」


「あら、七美に兼次さんじゃありませんの」


 その集団の中に例の凄腕バスケプレイヤーがいた。

 どうやら明日香という名前で、二人とは仲がいいらしい。


「それでこちらの下品な男性はどちらさまかしら?」


「下品とは何だ! 下品とは!」


 何だよいきなり下品って! 普通、初対面の人間に下品なんて言わないぞ!


「あら、下品な者に下品と言って何が悪いんですの?」


「何だと! もう一度言ってみろ!」


「お前は下品お前は下品お前は下品お前は下品…」


「一度だけ言えって言っただろうが! 言い過ぎだよコンチクショー!」


 お母さん…。僕は本当に悔しいよぉ…。グスン…。


 って今、下品って言っていた声、明日香の声じゃない。そしてどこかで聞いたような…。


「こんな感じでよろしいでしょうか?」


「ええ、ありがとうございますわ」


「それでは私は診察があるので…」


「はい、じゃあこれがお手当ですわ」


「ありがとうございます。それでは」




 ちっくしょー! あのヤブ医者かー!




「慶二さん…。でよろしかったかしら?」


「ああ」


「あなたに一つお聞きしたいことがありますの」


「何だ?」



 この子はいかにもお嬢様って感じの見た目と口調だ。そしてかなりの美人。そんな彼女が改まって聞きたいことっていったい何だ? 彼女いますか。とか?

 性格に難があるとはいえ、こんな美人に彼女いますかなんて聞かれたりしたら…。


 ウへへヘヘへへ〜。笑いが止まりませんなあ!


「慶二さん…」


「へへへへ…うん?」






「今の医者は誰ですの?」





ですよねー。

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