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第39話〜修学旅行二日目〜

「慶二様っ♪」

「あの…腕を組んで歩くのって恥ずかしいんですけど…」

「私は恥ずかしくないですよ♪」

「それに…玲奈さんの胸が…」

「はい、当ててるんです。どうです?そこの小娘よりはありますでしょ?」

「はい。たまりません」



今日は修学旅行二日目。昨日に引き続きカラッカラした晴天。そして美ら海水族館を歩く俺達二班プラス玲奈さん。


いやぁ〜ジンベエザメの顔って面白いなぁ〜。


−−なんて現実逃避をしても後ろから感じる殺意は消えない訳で…。



「小娘って私の事かしら…?」



俺の幼馴染み。いや、昨日から俺の相方になった伊勢里美。顔がとても可愛くて、多少の難があるものの性格は良。正直言って俺には勿体ない女の子だ。



「そうだよこのぺちゃんこ女!」



玲奈さんには、里美と付き合うようになった。と言った筈なんだが、俺に対する行動は今までと変わらない。

なんでも俺に彼女ができたとしても、俺が玲奈さんの王子様である事には変わらないとの事だ。



「慶二、あんたもあんたよ!さっさとその女ギツネから離れなさい!」

「言ったなこの洗濯板が!」



そうして里美と玲奈さんの二人は喧嘩を始めてしまった。二人とも、時はどうでもいいんだが場所をちゃんと考えてくれよな…。



「慶二さん、こっちですわ」



喧嘩を傍観していた俺の手を引っ張る明日香。そしてそのまま外にあるクリスタルビーチ…だったっけな…。

とにかくそんな感じの名前が付いている海に連れていかれた。



「慶二さん!」



明日香は俺の両手を、胸の前で握りしめて言った。



「里美に飽きたらいつでも私がお相手致しますわ♪」



はぁ…。そうですか…。



「明日香ぁぁぁ!!!」



と、後ろから里美の怒声が聞こえた。俺が振り向くとそこには伸びきった玲奈さんを引きずる里美がいた。



「明日香、あんたもこうなりたいの!?」

「いえ、お断りですわ」



そうして明日香は俺から手を離し、小判を手から出した。



「決着を付ける時が来たようですわね」

「なるほど、私とやろうってのね?」

「いきますわよ!」



里美も同じくグローブを出し、二人は戦闘開始した。

俺はここから逃げようと思う。巻き込まれたらたまったもんじゃない。



「慶二、こっちだ」

「お、涼子か。そっちに行くから待っててくれよ」



俺は涼子のいる所に向かった。

とりあえず涼子と一緒なら落ち着いていられそうだ。里美や玲奈さん達とは、慌ただしくてとてもじゃないけど一緒にいられない。

そして俺達は…人気の無い所に…?

どうして人気がない場所に連れて来たんだ…?



「慶二、里美が嫌になったら私がいつでも料理を作ってやる」



はあ…。有り難き幸せに存じます…。



「だから慶二−−」

「涼子!それ以上はアタシが許さないよ!」



今度はお嬢の登場だ。次から次へと、何なんだよまったく…。



「里奈先生、どうしてここに…?」

「慶二は私の物だ。渡す訳にはいかない」



何を言ってるんですか?

俺は俺の物ですよ。



「涼子、どうしても渡したくないか?」

「申し訳ありませんが…」



里美と明日香に続いて、何故か二人は武器を出し始めた。



「慶二は渡さないよ!」

「御堂涼子!推して参る!」



俺は逃げる。

何故だ何故だ。何故彼女らは戦わなければいけないんだ。戦いからは何も生まれないんだぞ。



「はぁ…はぁ…」



ここは噴水前、そしてそこには仲良し二人組。澪と忠海がいた。



「あ、慶二じゃん!明日香とどっかに行ってたんじゃないの?」

「いや、一人だ」

「慶二くん、それなら一緒遊ぼうよ〜」

「遊ばないかって、何で遊んで−−」



二人の後ろには、噴水に張り付けられている四分蔵がいた。



「キリストごっこだよ」

「面白いから慶二くんもやろ〜」



「いやぁぁぁー!!!」



俺は逃げる。何故だ何故だ。何故彼女らはキリスト…

…澪は大友の子孫だったぁぁぁ!!!



「七美ー!」

「あれ、どしたの慶二。泣きながら抱き着いたりして。あ、もしかして私を選んでくれるの♪」



俺は言葉を発する事が出来ないので、首を横に振った。



「冗談冗談。でも、慶二ならいつでもオッケーだからね♪」



本当に嬉しい限りです。ありがとう七美。



「いつまで抱き着いてるのよ。この変態」

「うっせえな。泣き虫詩織里が」

「言ったわね!」

「やめなさいっての」



睨み合う俺と詩織里を七美が宥める。

と、後ろに人の気配が。



「……」

「梨香先生だったんですか…」



相変わらず反応無し。何も喋らない先生ってのも珍しいよな。



「……そろそろバスに」

「あ、そうだった。七美、ケイ、早くバスに乗らなきゃ」

「そうね♪」


「梨香先生も一緒に行きましょうよ」

「……一緒?」

「はい、もしかして迷惑でしたか?」

「……そんな事ない」


「それじゃあ行きましょうか」

「……分かった」



「……変な人」



…。


……。


………。



「はぁ…今日は疲れたよ…」

「あんたがいつまでも他の女にデレデレしてるからでしょ!」



修学旅行二日目の全日程が終了し後は部屋で寝るだけ。俺と里美は昨日と同じベンチに座っている。俺達は待ち合わせをしたわけじゃなく、なんとなく此処に来たらそこに里美が居たのだ。



「ごめん、でも俺は里美しか見てないから」

「な、ななななー!!!!」


「どうした?」

「どどど、どどうししてしててー!!!」


「いや、どうしてって。里美が好きだから」

「はわわわわー!!!」


里美はまるで頭上から煙を噴出するかの勢いだ。可愛らしいな。

よし、今こそ里美のツンデレを発揮する時だ!



「里美は俺のこと嫌いか…?」

「だ、だだだ誰もそんな事言ってないじゃないの!!!」


「じゃあ俺の事をどう思ってるんだ?」

「ききききのきのきのきのい、いいい言ったじじじ、じじゃないの!」



愉快じゃの〜う。



「すまん、もう一度言ってくれ」

「ど、どうして言わなきゃいけないのよ!」


「私は慶二が大好き、毎日毎晩慶二の事を考えて、一日三回慶二の写真を抱きしめて。好き好き大好き慶二。もう慶二の事以外考えられない。はい、リピートアフターミー!」


ゴチーン!!!


里美に思いっきり殴られた…。



「どうして写真を抱きしめてる事を知ってんのよ!!!」



え、それって本当の事だったの!?



「俺、適当に言っただけなんだけど…」

「嘘っ!?」


「へぇ〜。毎日俺の写真を抱きしめてたんだ〜」

「そ、それはっ…!」



自分から墓穴を掘ってやがんの。顔真っ赤にしちゃってさ。

しかし、毎日毎晩俺の事を考えてるってのも否定してなかったな。



ムフフ…。



「いやぁ〜俺って罪な人だなぁ〜。里美にそんな事させ−−」


ゴチーン!!!


「もう慶二なんか嫌い嫌い!大嫌いよ!!!」



里美は俺を殴った後、その言葉を言い残しホテルの中に帰ってしまった。

少しやり過ぎたかな、後で謝っておこっと。

でも可愛いかったなぁ…。明日になったら、昨日は嫌いって言ったけど、本当は好きよ。とか言ってきたりして。



ムフフ…。



「何ニヤニヤしてんのよ」



と、ホテルの方から声が聞こえて来た。俺は釣り上がっていた唇の両端の位置を下げ、そして声がした方を見た。



「詩織里か」


「隣いいかしら?」

「ああ。構わないよ」



そして詩織里は先程まで里美がいた所に座った。



「さっき里美とすれ違ったんだけど、怒ってたわよ。ケイが何かしたんじゃないの?」

「ああ。少し……かなり、からかった」

「そう、本当に仲がいいのね」



詩織里は溜め息をつきながらそう言った。



「あ、そうそう。最近能力使ってる?」

「…昨日兼次に使ったわ。あのゲス野郎が沙織里の尻を触ってたから」


「そうか。ならよかった」

「どうして?」

「近々外康さん主催のな…」

「主催の…?」



おっと、口が滑った。これ以上は言えないな。



「沙織里は使ってなさそうだな」

「そうね。あの子あまり使う機会が無いって言ってたし。九鬼、増田の二人と戦った以降は一回も使っていないんじゃないかしら」

「ん、やっぱりお前らも襲われたのか」

「ええ、一瞬で倒したけど」



さすが伊達と長宗我部だ。独眼龍ビーム!ってな。

あ、紹介が遅れましたね。詩織里と沙織里はそれぞれ伊達政宗と長宗我部元親の子孫。何故二人とも能力を身につけてるのかと言うと、詩織里と沙織里の母親は特殊継承だからです。特殊継承の説明は必要ですか?しませんよ〜。


俺はこれを昔から知ってたけど、つい最近まで完全に忘れていた。



「そう言う慶二君はあの日から使ってるのかしら?」



と、再びホテルの方から聞き覚えのある声が聞こえてきた。



「こんばんは二人とも」



そこに居たのは成美さんだった。成美さんは風呂上がりなのだろう。髪の毛をタオルで拭きながらの登場だ。

しかしそんな登場風景はどうでもいい。問題は今の質問内容。

慶二君はあの日以来能力を使ったのか。間違いない、成美さんは…。



「清興…勝猛…。いえ、島左近がいいかしらね。私も子孫よ。島左近の」



何の前触れも無しにカミングアウトをしたこの人。成美さんは島左近の子孫らしい。



「ごめんなさいね。隠すつもりはなかったのよ。ただ言い出すタイミングがね…」


「はぁ…。べつに構わないですけど…」

「ビックリしましたよ。まさか先生まで子孫だなんて」

「そうよ。しかもこれがまた、我ながら強いのよね。それにしても、部活を作った時はビックリしたわよ。まさかここまで沢山の子孫が一挙に集結するなんてね♪」

「ですよね。それに万部活以外にも子孫は沢山いますし」


「そうね。たしか吉川君は鈴木重秀の子孫じゃなかったかしら」

「そうです。玲奈さんは毛利だし、雪江さんだって綾子さんだって子孫ですからね」



さすがに多いよ!

でもこれだけいるのに、石田三成と真田幸村は居ないんだよな…。幸村は知ってるけど、三成はいったい何処にいるんだろう。



「……成美」



今度は梨香先生がホテルから出てきた。

梨香先生も成美さん同様風呂上がりのようだった。



「梨香も子孫なのよ♪」



何人いるんだよ!!!



「梨香は北条氏康の子孫なのよ」

「……はじめまして」



あらら、石田三成の流れだったように思えたんだけどね…。

それにしても、はじめまして。は無いと思いますよ。



「慶二君、リアクションが薄いのね」

「もうこの程度じゃ驚かなくなってきましたよ…」


「じゃあ私が子孫だったら驚くのかな!!!」



出たっヤブ医者!!!



「貴様!またしても俺の前に現れやがったな!」

「そんな事より、聞かなきゃいけない事があるんじゃないかね?」


「貴様は誰の子孫だ!!!」






「楠木正成の子孫だ!」



時代がちげぇぇぇ!!!

忠海『ねえねえ、楠木って誰なの?』

明日香『楠木正成くすのきまさしげは、鎌倉幕府滅亡から室町幕府成立の時代で、活躍した武将ですわ』


綾子『鎌倉幕府を滅ぼした新田義貞に勝る名将と言われていたのよ〜』

明日香『でもそんな名将も南北朝の動乱時、足利尊氏に負けて自刃してしまいますの』

忠海『ふーん』

綾子『当時は北畠顕家きたばたけあきいえとかの名将もいたのよ〜』

明日香『ちなみにこの北畠顕家が村上水軍の礎らしいですわ』

忠海『ふーん』



忠海『なんかどうでもいい話だね』

明日香『そうですわね』

綾子『そうね〜』

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