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第37話〜修学旅行一日目・前編〜

「おはようございますわ」

「おはよう明日香」

「おはようでござる」

「おはよー」

「おっす!昨日はよく寝れたか?」

「ええ、睡眠薬を使ったので快眠でしたわ」

「そんな快眠駄目だろ!」

「冗談ですわ♪」



明日香は朝からハイテンションだった。まあそれも無理はない。何と言っても今日から四日間、沖縄修学旅行なのだから。


てな事でおはようございます、慶二です。今日は十月二十日月曜日。空は俺達の今の心境を表すかのように、雲一つない晴天。天気予報によれば、現地沖縄も降水確率0パーセントの快晴だそうです。



「それでは車に乗ってください。既に皆さんも乗っていますわ」



今日の集合場所は空港に九時。空港までは明日香の車が送ってくれる、という事になっている。北条院さん、いつもいつも申し訳ないです。



「じゃあさっちゃんも慶ちゃんも気をつけてね♪」

「忠海も四分蔵も、修学旅行を満喫するのよ♪」

「修学旅行か。女子高生が…」

「たまらんのう!」

「四分蔵、忠海、前田さんに迷惑をかけないで下さいよ!」



俺達は玄関前で綾子さん達と別れの挨拶を交わし、そして明日香の車へと乗り込んだ。車内にはでは明日香の言った通り、既に皆が乗っていて、さらにお菓子を食べていた。俺達はお互いに挨拶を交わす。いよいよ待ちに待った沖縄修学旅行の時が迫ってきたのだ。



…。


……。


………。



「みんなおはよう」



空港には既に先生達や、数名の米沢高校の生徒がいた。みんな気合いを入れたお洒落な服装だったのだが、それも仕方ない。俺達はいつも、制服でしか会わないんだから。そして俺達に挨拶をしたのは我らが誇る美人、は組担任の成美さんだ。成美さんの服装も心なしか、気合いが入っているようにも思える。



「成美さんに言えばよかったんですよね?」

「私の担当は十から十七班までだから、慶二君達は私担当よ。それで、班員は全員いるかしら?」

「はい、います。ついでに七美の班も」

「はい、オッケーよ。それじゃあもう少しここで待機しててね」

「分かりました」



ちなみに俺達の修学旅行は沖縄と北海道に別れている為、班はクラスを越えて好きに作っていい事になっている。別れているのはあまり関係ないかもしれないが…。

とにかく確認も終わったし、空港で何をしよっかな。



「澪〜空弁買おうよ」

「いいね〜」

「私も行くぞ」



澪と忠海、涼子は空弁を買いに行った。



「七美、トイレに行かない?」

「いいよ。私も行きたかったから」

「私も行きますわ」



里美と七美、明日香はトイレに行った。



「四分蔵、私達は委員会の仕事があるわよ」

「えー。拙者働きたくないでござるよー」

「そう。そんなに鞭で叩かれたいのね?」

「とんでもないでござるよ!」



詩織里と四分蔵は仕事に行った。



「さおりん、飲み物一緒に買いに行こっか」

「はい♪」



くそったれはジュースを買いに行った。



「一人…」



残ったのは俺一人。寂しい。俺は一人が一番嫌いなんだよ。誰か俺の相手をしてよ…。

と、後ろから人の気配を感じた。



「あ、梨香先生だったんですか…」

「……」



紹介しよう。この無口な人は俺達の現国担当、村上梨香先生。むらかみりか、先生だ。性格はさっき言った通り、無口で何を考えているのか分からない人だ。顔はかなり美人なのだがその性格が災いし、成美さんの影に隠れがちだ。



「それで、どうしたんです?」

「……」



梨香先生は、じっっっと俺を見たまま何も言わない。

そしてそのまま数秒した後、口を開いた。



「……会話」

「会話がどうしたんです?」

「……」



やっと喋ったと思ったら、梨香先生はよく分からない事を言い出した。

俺が不思議そうにすると、彼女は再び重い口を動かした。



「……一人。……会話」

「あ、もしかして俺の会話相手になってくれるんですか?」

(コクン)



なんだ。そうならそうと言ってくれればよかったのに。

この先生は冷たい人に思われがちだが、本当は暖かい先生で、誰よりも生徒の心配をしてくれる先生だ。って里美に聞いた。どうやら里美の言った事は本当だったようだ。

しかし、何を話せばいいのか全く思いつかない。とりあえず知らないことを聞こうと思った。



「そういえば、先生は何歳なんですか?」

「成美と一緒…」

「じゃあ二十四…?」

(コクン)



若い…。しかし見た目はもっと若い。女子高生と思われても無理はないくらいだ。



「ありがとう…」

「ど、どう致しまして…」



しかしこの人は謎が多い。あの七美でも分からない事だらけだそうだ。



「また今度…」

「え、もう行っちゃうんですか?」



梨香先生はそのまま無言で行ってしまった。それと同時に里美達が帰ってくる。だから梨香先生は行ってしまったのだろうと思った。



…。


……。


………。



「おっきなわだー!!!」



空港から出ると同時に、忠海は元気一杯に伸びをする。



「暑いよ〜」



澪が言った通り、沖縄はめちゃんこ暑かった。

え?めちゃんこって死語だった?



「はーい!十から十七班のバスはこっちですよー!」



成美さんが俺達をバスがある所まで誘導する。教師は大変なんだと思わせる光景だ。まだ俺達が高校生だからいいものの、これが小学生や幼稚園生だったらたまったもんじゃない。

そうして俺達はバスに乗り込んだ。バスの側面には、那覇バスと書いてあった。初日は全体行動、バスで色々な場所を回るだけだ。



「メンソーレ」



バスガイドさんが方言で挨拶をする。俺は心の中で美人バスガイドに期待していたのだが、残念な結果に終わってしまった。

俺の席は一番後ろの真ん中。隣には澪と忠海。バスに酔う心配は無い。



「慶二くん、メンソーレってなあに?」

「そうめんが好きですって事だ」

「うそ〜。ならわたしも大好きだよ〜」

「嘘だ♪」

「はぅ〜酷いよ慶二く〜ん」



澪をからかうのは面白い。



「慶二、慶二!チュラカーギーって何!?」

「ツチノコ見つけたって意味だ」

「嘘っ!?あのバスガイドさんはツチノコ見つけたの!?」

「嘘だ♪」

「嘘かよー!慶二のばかばかばかー!」



忠海をからかうのは面白い。



「慶二くん、ヤンバルクイナって何?」

「ふすまの張り替えをしなくちゃなって事だ」

「あ、わたしも張り替えなくちゃ!バスガイドさんと一緒だ!」

「嘘♪」

「も〜!慶二くんの言った事はもう信じないから〜!ふ〜んだ!」



澪は膨れてしまった。いや〜澪をからかうのは面白いな〜。



「はい、首里城に着きましたよ」



成美さんの声。

あれからそんな感じで遊んでいたら、いつの間にか首里城に着いていたようだった。

そうして俺達はバスを降り、地下駐車場らしき場所からエスカレーターで上に行き、お土産売場から外に出た。そこからは修学旅行に行っていない読者にとって、ネタバレになってしまうので言えません。と言うより、風景を描写したくても覚えてないっていう…。申し訳ないっ!それでは会話だけをお楽しみ下さい。



明日香『これが首里城ですわね』

涼子『私の先祖が奪い取った国の城だ』

慶二『歴史の勉強だな』

里美『澪、そこはトイレよ。首里城じゃないわ!』

澪『あ、そうなの?首里城って臭いな〜って思ってたんだ〜』

兼次『おい忠海!門に昇るなよ!!!』

忠海『きゃっほー!』

沙織里『お姉ちゃん、神社じゃないんだからお祈りしてどうするの?』

詩織里『う、うるさいわね!し、知ってるわよ!』

四分蔵『そこの首里城のように輝く七美殿。拙者とウミンチュにならないでござるか?』

七美『ごめんね。慶二以外はお断りっ♪』



続いて平和祈念公園。



慶二『これは慰霊碑か?』

里美『そうね。県毎に分けられてるみたい』

涼子『歴史の勉強だな』

七美『あ、海よ海!』

兼次『おー!断崖絶壁だなー!』

沙織里『落ちたらどうなるんでしょうね?』

明日香『詩織里さん、何をびくびくしているんですの?』

沙織里『お姉ちゃんは高所恐怖症なんです』

明日香『あら、可愛らしいんですのね』

詩織里『う、うるさいわ!!!』

澪&忠海『落ちろ四分蔵ー』

四分蔵『ギャー!』



…。


……。


………。



「なかなか豪華なホテルだな」

「そうね。家とは大違い」



そんなこんなで俺達は一日目の予定を全て消化し、初日に泊まるホテルのロビーで整列しています。入館式とかがあるわけじゃなく、ただの人数確認です。ホテルは豪華な作りをしていて、清潔感がある内外装をしている。

そしてこれはスピリチュアルメッセージなんですが、沖縄は北海道より食事が美味しくないらしいです。ホテルによるかもしれませんが、実際美味しくなかったです。一方北海道は、名所を見る時間よりバス移動の時間の方が長い。と言っていました。学校によって違いがあるかもしれませんが、まだ修学旅行に行っていない人は参考までに。

旅行で一番気になる気温ですが、この時期の沖縄は終始暑く、北海道は日中なら寒くなかったそうです。自分が沖縄に行った時は曇っていたので日焼けをしませんでしたが、晴れている時の紫外線は相当強いみたいです。なので、日焼け止めを絶対に忘れないように。こちらも同じく参考までにどうぞ。以上、スピリチュアルメッセージでした。



「まあ、役に立つかどうかは分からないけど、それこそ参考までにどうぞって事で」



って俺は何を言ってるんだ…?

霊能力が備わったのか!?



「おい慶二、ぼさっと突っ立ってないで、とっとと部屋に行くぞ」

「早くするでござる」

「ん、ああ。すまん」



そうして二人に呼ばれた俺は、エレベーターに乗ろうとしたのだが−−。



「ねえ、前田慶二君だよね?」

「ああ。そうだよ」



俺は知らない女子に話し掛けられた。彼女の隣には同じ班の人と思われる女の子が五人。計六人だ。



「これから何か予定はある?誰かに誘われたりとか」

「いや、夕ご飯まで暇だよ」

「ならよかった!用が無いなら私達の部屋に来てくれる!?」

「んっ…」



話したことの無い人を部屋に入れて何をしたいんだろう。それに俺は風呂に入ろうと思ったんだけどな…。

でもまあ友達を増やす意味でも、それくらいいいか。



「分かった、いいよ。その代わり風呂に入ってからな」

「本当ー!?じゃあ絶対に来てね!私の名前は…」



俺は彼女から名前と部屋番号を聞いた。名前は尼子由紀だ。どうやら二年ろ組らしい。



「とりあえず風呂に入ろっと」




俺は荷物を置く為、部屋へと向かった。俺達の部屋は四人部屋で205号室だ。


ガチャッ


「お、やっと来たか慶二」

「何をしていたでござるか?」

「いや、知らない人に部屋に来ないかって誘われた」

「なんだって!?この僕を差し置いて、君みたいな野蛮人を部屋に招いたのか!?」



うわっ!出たよっ吉川隆景!



「ふむふむ分かったぞ。この僕、吉川隆景君を部屋に呼んでと言われたんだな?」

「いや、俺だけだったよ」

「ノォォォー!!!」



何こいつ。マジうっとうしいわ。



「違うでござるよ。拙者を部屋に−−」

「−−絶対に呼ばないでって、その人達に言われたから」

「ノォォォー!!!」



何こいつ。マジうっとおしいわ。



「さすがに慶二はモテるな。俺には劣るが」

「兼次君もムカつくから、呼ばないでって言われた」

「ノォォォー!!!」



何こいつ。マジうっとおしいわ。



「じゃあ俺は風呂に入ってくるよ」

「俺にはさおりんがいるからいいもんっ!!!」

「夜の営みでござるかぁぁぁ!!!ずるいでござる!ずるいでござるー!」

「この僕ともあろう者が、未だに誰にもお呼ばれされないなんて…」







何こいつら。マジうっとおしいわ。

個人的には北海道より沖縄の方がいいと思いますね。だって女子のみずっ…ゴホン!失礼しました。でも、実際それが沖縄のステータスの一つだったりして。

女性の方、男子は見ていないようでバッチリ見ていますからね。笑

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