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恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え? 私のことはお気になさらずに  作者: にのまえ


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35/75

35話

 翌朝、怖い夢を見ることなく、カサンドラお昼過ぎには目を覚ました。当然ながら、アオ君とシュシュもだ。だけど、ここでは遅く起きようが、早く起きようが誰も何も言わない。


 基本、自由なのだ。


「ふわぁ〜よく眠れました、アオ君、シュシュありがとう」


「おう! ……それにしても、ドラの寝癖はひどいな」


 カサンドラの寝癖を笑う後ろで。モゾモゾと、シュシュが布団から顔を出した。


「……ふわわぁ〜ドラお嬢様、アオ君、私も気持ちよく眠りましたぁ〜」


 2人は、シュシュの寝癖を見て。


「私の寝癖。シュシュの寝癖には負けますわ」

「ククッ、そうだな」


 そう言って笑ったカサンドラの笑顔は、いつもより眩しかった。




 みんなで顔を洗い、身なりを整え、庭出て実ったスルール。このスルールの低木は果実を全て採取しても、次の日には果実が実っている。

 

 カサンドラが、ルリアお祖母様に聞くと「ここの井戸水と、土に魔法をかけたからね」と笑っていらした。スルールだけではなく庭に植えてある、すべての薬草達も同じらしい。


(やはり、魔法って偉大だわ)


「キリリ、スルールの果実をどうぞ」

 

「今日もスルールの実も美味しそう。ドラ、アオ、シュシュありがとう」


「どういたしまして」


 スルールの実を貰って、キラキラ踊るキリリを眺めるカサンドラと、シュシュ。その隣にいるアオ君は何かを決心して、カサンドラに言った。


「ドラ、舞踏会が終わるまではタヌキの姿で、一緒に寝てやる……」


 そのアオ君の言葉に、瞳を大きく開いたカサンドラ。彼女にとって、誰かと一緒に寝ることはなかった。


 子供の頃いくら夢見が悪くても、冷たい両親、メイド、誰にも言えず1人で耐えなくてはならなかった。そんなカサンドラは違い妹のシャリィは、お気に入りの大きなうさちゃんを抱きしめて、両親と寝室へ行くところをカサンドラは何度も見てきた。


(……シャリィはいいなぁ)


 小さな、うさちゃんを抱きしめたカサンドラは、妹を羨ましがった。


 そんな伯爵家を出て、ここへと移ったカサンドラは初めて、シュシュと同じベッドに入って眠ったのだ。そのときに感じた、シュシュの温かな体温はカサンドラを癒した。


 それは昨夜も同じだった。


「い、いいのですか?」

 

「あぁ、いいよ。その代わりに今晩は分厚い肉が食べたいな。明日か明後日にドラとシュシュとで冒険にだって行きたいし、魔法訓練、図書館、買い物にも、なっ!」


「えぇ舞踏会まで時間がありますわ。泊まりがけで、冒険へ行きましょうアオ君。シュシュ、今日の買い出しで良いお肉を買ってくるわよ」


「はーい! 私もドラお嬢様と一緒に今日からズッと寝ます。いいえ、舞踏会が終わってもズーッとです!」


「ありがとう、シュシュ」


 嬉しそうに笑うカサンドラ、その姿を庭の隅で見ていたお祖母様は「カサンドラの周りにいる子達が、いい子達ばかりで良かった」と、静かに微笑んだ。

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