表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
恐怖のギロチン回避! 皇太子との婚約は妹に譲ります〜 え? 私のことはお気になさらずに  作者: にのまえ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

34/75

34話

「こ、来ないでください。私は平気ですから……」


 アオはこのとき。貴族令嬢って嘘をつくのが、なんて上手いのだと。いつもと変わらないドラに、アオは安心していた。


「ドラ! そんな顔して、平気もあるかぁ!」

 

「私が平気だと言ったら、平気なんですわ! だって、私は怖い夢を見ただけですもの。……ふわぁ、私……眠いので出ていってくださる」


 震える表情を隠して、いつものようにドラは振る舞う。その表情の奥にはさっき見た、震えて、涙を流す、ドラの姿があることをアオは知ってしまった。


「つべこべ言わず、来やがれ」


 アオは強引にドラの手を引き、天蓋付きベッドから連れ出す。


「え、アオ君?」

 

「……ドラ、悪かった。ドラがそんなに夢を怖がっているなんて思わなくて、オレが一緒に寝て怖い夢からも守る!」


「そうです、私もドラお嬢様を守ります」


 開いているドラの手をシュシュが、ギュッと握る。二人の行動にドラは戸惑った。


(こんなに、優しくされるのは慣れていないわ)


「……わ、私は」


「なにも言わなくていい、カサンドラ。今夜は二人に守ってもらいな。ゆっくり眠って、怖い夢なんて吹き飛ばすんだ!」


「ルリアお祖母様……」


 2人に任せればあとは大丈夫だと、お祖母様は自分の寝室へと戻っていく。その後ろ姿を見送り、アオ君はドラを連れて自分の寝室へと連れて行く。そのあとをシュシュも追った。


「ほら、入って来い」

「アオ君……」


 出会った日以来、初めて入るアオの寝室兼部屋。その部屋の中はドラとシュシュが街で買ってきた服、日用品、冒険具がキレイに整頓されていた。


「あら? フフ、この部屋……アオ君の香りがする」


「ヘァ? ドラ、へ、変なこと言うなよ……どうせ、獣臭いとか言うんだろう?」


「違います、お日様の香りです……」

「はい、アオ君はお日様の香りがします」


「お日様の香り?……あぁ時間があったら、外で昼寝するからかな?」


 アオ君の香りは優しくて、温かいお日様の香り。

 

 手をつかんでドラを連れて、ベッドに近付くとアオ君は手を離して、ポンと獣化してタヌキの姿に戻った。


 ――久しぶりに見る、モフモフのタヌキのアオ君ですわ。


「この姿なら、ドラと一緒に寝てもいいかな」

「ほんと? ありがとう、アオ君」


「お、おう」


 カサンドラは、モフモフ姿のアオ君を両手で抱きしめて、彼のベッドに潜る。その横にパジャマ姿のシュシュも入ってくる。


(ほんとうはこの姿のとき、触られるのが苦手だが)アオは腹を括る、ドラのためにだと。


「アオ君はモフモフで温かい……お日様の……香り…………ね」


 直ぐにスウスウ、寝息が聞こえた。


「ドラ? もう寝たのかって、シュシュもか……ハハッ」


 寝入ってしまった2人にもう一度、ため息をつくとアオも目をつむった。

 


 カサンドラが夢を怖がったのは……断頭台の夢と。地下牢の寒さと鉄格子の冷たさ、カビ臭い香り……固いパンと冷たい味のないスープ……。夢なのに、匂いと生々しい感触を感じたのだ。


 その通路を挟んだ向かい側の牢屋の中に、今とは違う。すすけて、痩せこけたシュシュがいた。


「シュシュ、ごめんなさい、ごめんなさい」


 いくら、カサンドラが謝っても彼女の耳に届かない。巻き戻る前の……カサンドラが見ていたのであろう風景。


 もう一つは……カサンドラの足元に倒れるアオ君とシュシュの夢だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ