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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
二章 アグネス大陸にて
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お風呂

ラドンを出て三日、俺達はポルタ火山に着いた。

活火山で周りには温泉が点々としている。

それぞれにそれっぽい効能を後付けしたらしい。

勿論、後付けのことも勇者は知っている。

逃避がお上手。


「若返りの温泉にしゅっぱーぁつ!」


「おー」


それにノリノリだった。

勇者もノーラも輝いている。

若返る必要ないな。


「ノーラ、あんた若いんだから赤ん坊に戻るわよ?」


なら俺はどこまで戻る?

……生前?


「あ、あそこじゃない?」


勇者が嬉々として指差した先にはもくもくとあがる湯煙。

うん、あそこだよな。


「走るわよ!」


何度も言うがそんなに元気なら若返る必要ないだろ?


「ご主人様、あの奥の洞穴、いるよ」


お化け?


「まぁ、お化けって言えば…お化けだけど?」


まじか。


「無数の目で睨んでくるし、金縛りになるし」


お化けじゃん。


「どうしたの? 早くしなさいよ、若いから入んなくていいんだぜ☆とか言うつもり? ふざけるんじゃないわよ! だいたい…」


老人の小言が始まってしまうから後にしよう。


「今、行く」


とりあえずお風呂の後に宿を抜け出すパターンでいこう。


「…?」


手を引こうとしてモリオンの方を向いたとき何となく変な感覚がした。

足が少し震えている?


「ほら~、早く!」


まあいっか。


***


温泉。

俺、元男。

現在、女。

今までは専用のお風呂だったり、時間差で入ったりしていたのだが…え?

どうせなら女湯であれやこれや眺めてろって?

…人って、余りにもいい展開になるとそれを避けたくなるんだよ。


しかしまぁ、勇者に連行されている今の状況から言って…うん、あれだな。


「カトレヤちゃん、一緒に入るわよ?」


そして女湯へ。

こうなったら自己暗示だ。

俺は今のところ女、俺は今のところ女…


「ん~、良いわねぇ」


「極楽~極楽~」


だから勇者の引き締まっていながら出るとこ出ている肢体を眺めていても、ノーラの芸術品のような、まな板ボディを眺めていてもOKだ。

いいんだよ。

多分。


「カトレヤちゃん、おいで」


だから勇者の豊かな胸に抱かれてもOKだ。

うん。


「わ、私も抱っこする」


ノーラのすべすべの肌の感触を楽しんでもOKなのだ。


「やっぱりカトレヤちゃん、可愛いね~」


久々に不意打ち。

精神的負荷が有りすぎる。


「カトレヤちゃん~」


勇者の目が猛獣なのは気のせいだよな?


***


「ゆ、百合じゃ…ふ、ふふふ、ゆ、勇者に先を越されるなど許せるわけが…いゃ、あんな……見るのもアリじゃな」


偉大なる発明品、“千里眼”で女湯の覗きを行う少女。

笑い声がかなーり、怖い。


「早く会いたいのぅ…」


自分から出向くという発想はない。

究極的なインドア派(引きこもりともいう)な為だ。


「そうじゃ、“おまじない、キラキラ流星。ただの占いとは違う、魔法学的側面から見た完全オリジナル願い星。あなたの願い、叶えます+P”があの辺に…」


星に願うより会いに行った方が早いのだがそんな事、どうでもいい。

性能を調べるために実験したいだけだ。


「…む?」


明らかにゴミ山脈に見えるモノの集合体からなにかチカチカ光るものを発見。


「“信じる者は救われるかもしれない。一家に一機。家内安全守ります。可愛い鯰さんのぶるぶる危険探知機”が反応しておる…」


明らかに提灯鮟鱇なのだがまあ、同じような顔の魚だし、いいや。

淡水と海水の壁なんてなくてもいけ…ないかもしれないが。


「おっかないのぅ」


作ったくせに。


***


一方、男湯では。


「女湯、盛り上がってるね」


ハリスが女湯を覗こうと奮闘していたり、


「覗きは軽く逝っちゃいますよ?」


カルロスが優しく(?)たしなめたり、


「うぅ、ご主人様とがよかったぁ…」


主人離れの出来ない竜が泣いてたりした。




+PのPは恐らくプラセボ効果のPです。


次回予告

危険探知機とかカトレヤの勘とかが当たる


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