酒場
モリオンは人間の町に興味津々であちこちの店を覗いている。
前世では見なかったのかと聞いたら今の店の様子とは違うと言われた。
いかにも地方の町という様子ではあったがそれなりに発展しているようだ。
店にはさすがにショーウインドウなど無い。
だから市場のように商品が並べられている。
これの昔はどんなだったんだろう。
というか前世、いつの時代だ?
「ね、ご主人様、あのお店の果物美味しそうだよ!」
店に並べられているてかてかと光を反射するU字型磁石のような質感の…果物?
美味しそう、なのか?
さんまの塩焼きの匂いがした。
か、買わないぞ?
…一文無しだからな。
「お金に替えられればぼくの鱗、使えるのに」
どこに売ればいいんだろう。
それに竜は珍しい。
どこで手に入れたのか怪しまれたらマズい。
「とりあえず、情報収集しないと飢え死にするから」
はしゃいでいるモリオンには悪いが店を見るのは後にしよう。
モリオンがあちこち移動したおかげでいくつかの酒場に目を付けられた。
冒険者ギルド的なものはまだ発見していないが。
「…うん、で、どこに行くの?」
「酒場」
「ご主人様が、ご主人様がぁ~、ギャングになったぁ~ぐすん」
***
「で、リーダーはどこ行く?」
黒猫のような少女が勇者の耳元で囁くように言った。
「ちょ、ノーラ、脅かさないでよ。さっき言ったでしょ、酒場よ、さ•か•ば」
「うわぁ…」
思わずため息をついたのは誰だろうか。
ついていなくてもこう思っただろう。
絶対トラブらない訳がない。
「ハリス? 今ため息ついたでしょ?」
「え、冤罪…うわ、カルロス逃げないで、助けてくれ……いったぁ!」
鳶色の髪の毛の青年は勇者の剣の峰で思いっきり殴られている。アーメン。
「大丈夫か? ハリス、生きて…」
さっさと避難していた大男は言いかけてやめる。
「カルロスも共犯?」
恐ろしく冷ややかな声で勇者が問いかけたからだ。なんという理不尽。
「いや、やり過ぎではな…」
「え、そうなの?」
再びメンバー三人はため息をつくのだった。
いつになったら酒場につくのやら分かったものじゃない。
***
「ここ? 見るからにガラ悪い人がいるんだけど」
目星を付けておいた酒場。
そこは“不良だせ”とか“荒くれ者だぜ”とか体で表現している人が山ほどいた。
俺達は明らかに浮いている。
「あの、この町について教えてくれませんか?」
手頃なやつに話しかける。
こいつは“荒くれ者だぜ”と外見でいっている男。
この酒場にいるやつは強そうにしているが俺よりか断然弱い。
万一何かあっても大丈夫だ。
単細胞っぽいので猫を被って質問。
「あぁん? この町? へっ、俺様がもっとイイコト教えてやるぞ」
思っていたより単細胞だったらしい。
センスの欠片もないセリフを垂れ流しながらにじりよってくる。
ムカついたので睨む。
するとその態度が気に入らなかったようで
「この小娘がぁ!」
拳を握って殴りかかってくる。
それと登場と共にやられる屑キャラのセリフ。
のろい拳を避けようと思ったところで間に割ってはいる人がいた。
「止めなさい! でもって死になさい!」
ひたすらめんどくさそうな人だった。
そいつが男をぶん殴った所で酒場の連中が騒ぎ出す。
「おい、あれ本物か?」 「馬鹿な」
「マジかよ」 「天は俺を見放したか…」
土下座をするやつ、祈りだすやつ………え?
男をフルボッコにした女は俺とモリオンに向き直って微笑んだ。
「もう大丈夫よ。あたし、セシリア•シリル•ソフィアが助けたんだから」
誰だよ。
と思ったが周りの反応で分かった。
これがあの教会の勇者だと。
メンバーの名前をひねり出しました。
変な所があれば教えてください。
もしくはスルーで。
次回予告
勇者パーティーのメンバー三人がリーダーやっちまったじゃんよ、と困る




