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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
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天人族

夜になった。

作戦決行だ。

お風呂上がりのアイリスは部屋に戻る。

このときはまだ魔王は仕事中。

そこに役者、ラルクが待っている。

俺たちはまあ、所謂覗きだ。


「…アイリス様」


「誰?」


アイリスはラルクを知らない。

この返しは予想していた。


「僕は戦士です。まだ若輩者ですが必ずやアイリス様に見合う強者になります、どうか立派な戦士になった暁には僕と一緒に来てはくれませんか?」


若干、声が上擦ったものの上出来だ。

だが、セリフを間違えている、戦士じゃなくて騎士、強者じゃなくて悪魔、まあ肝心の所は言えてるからOKだ。


「……私のこと、好きなの?」


見つめ合っている。

ラルクは本番に強いのだろうか。


「…おい、何をしている?」


ナイスタイミング、魔王が部屋に戻ってきた。

仕事で疲れて戻ったら妻が男と見つめ合っている、魔王の器が試される。


「アイリス」


演出の為に窓を開けてあって正解だった。

夜風に靡く少し湿った金髪は雰囲気バツグンだ。


「……何?」


緊張。

魔王はこういう時、何と言うのだろう。


「好きだ」


直球。

不器用な魔王らしい。


「…それは、僕の愛よりもですか?」


っ!?

ラルク、お前どうした!?

変なもの食べたか?

モリオン、食わせたのか?


「ああ」


「ならば、アイリス様が決めてください」


方向は間違ってないのだが……


「……私は」


俺たちはゴクリと息をのむ。

アイリスは一歩前に出る。

ふわりと広がった髪。

艶やかな尻尾。

白磁の肌。


なんだこれ。

エロい。


「…アズライト様が好き」


もう一歩前に。

そこは魔王の前。

アイリスは腕を絡めてそっとキスをした。


「…ふ、ふふふ、あは、あははははっ!

やっぱりあなた方はイイ」


へ?

ラルク、じゃないよな?


「「…誰?」」


ハモった。

魔王夫妻、息ぴったりだ。


「これは、失礼しました。

僕は天人族の次代当主、レインと申します。

魔王様にお会いしたく聖大陸より参りました。

見たところ喧嘩をしているご様子でしたので仲直りをさせる作戦に飛び入り参加をしてしまいました」


………え?

じゃあ、ラルクは?


「作戦を考えたのは娘さんです、可愛らしいですねカトレヤ様は。今ドアの隙間から仲間とこちらを覗いておられます」


言っておくが、モリオンは今、全力で“隠蔽”の魔法を使っている。

魔王夫妻も気づかないほど丁寧に用意しておいた魔法だ。

天人族、凄い。


「出てきなさい、カトレヤ」


魔王が呼ぶので仕方なく部屋に入る。

天人族は初めて見るが人間とあまり変わらないように思えた。

“人化”してるだけかもしれないが。


「どういうことか、説明してくれないかしら?」


まあ、仲直りしたから結果オーライだ。

大人しく話すことにする。


***


ラルクとレインが入れ替わったのは本当に直前だったらしい。

魔王城にやってきたものの夜なので謁見は明日にまわすことにして城の警備にあたっていた兵に事情を話し、客間で休んでいたらシクシクと泣き声がして、かなり怖かったから様子見にいったらラルクに助けてくれと懇願され面白そうなので入れ替わったということらしい。

さて、一息で言えたか?


「なるほど、カトレヤには迷惑をかけたな」


魔王が申し訳なさそうにしている。

ここまでくるとなんか可哀想だ。


「気にしないでいいよ」


“可愛らしい娘さん”として抱きついてやった。くそぅ、角がゴツゴツする。


「いいえ、私がムキになりすぎたのよ、ごめんなさい、カトレヤ」


そういや何でそこまでムキになったんだ?


「だって、最近冷たい気がして……。いつも私の我が儘を聞いてくれるのに。お仕事が多くって話、してくれなくなったわ」


まあ、忙しい+疲れたといった所だろう。


「…他には?」


「私が目玉焼きは醤油派だって知ってるのにソースを渡したり」


…………俺は目玉焼きに呪われてるのか?


「…ねえ、アイリス様、ぼくエレナが醤油とソースを間違えて入れてるの見ちゃったの。ごめんなさい、直さなくて」


エレナはトラブルメーカー、気づいてはいたが余りにアレすぎて困る。


「他には?」


「結婚記念日にはいつもプレゼント、用意してくれたのに」


「…すまん、ガラス細工を用意したのだがエレナが転んで壊した」


もしかして朝ご飯の時のアレで割れたのかもしれない。

エレナに持たせたのが悪かったようだ。


「あの……エレナさんというのは誰何でしょうか?」


レインはおずおずと問いかけた、話に付いていけなくて気まずかったのだろう。


「……あー、その、あれだ、鬼」


「……そ、そうよ、疫病神並みにアレな」


深く突っ込みたくない。

怖いから。


「そ、そうなんですか」


レインも同意見のようだ。

話を戻そう。


「つまり、かまってほしかったって事?」


「……うん」


はた迷惑な。

自称神様といい魔王夫妻といい、何なんだ。


「でも、楽しかったね、ご主人様?」


まあ、悪くはなかったか。


「それでは僕は客間に戻ります。改めて明日、謁見を」
















はい、天人族登場させました。

名前が思いつきません!

でも勇者パーティーとか出すときはミドルネームもあるんですよね……

人名辞典にお世話になりそうです。


次回予告

家族全員で謁見



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