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転生して魔王になったら  作者: 揚羽
1章 幼女時代
16/61

仲直り作戦会議

翌日も夫婦喧嘩は続いていた。


「アイリス、話を…」


「あら、カトレヤもう起きていたの?」


「話を…」


「朝ご飯、もうすぐね」


「はな…」


「今日はクリスタルフィッシュのマリネよ」


「は…」


「楽しみね」


正直、もういいだろと思うのだがアイリスは徹底的に無視を続ける。

結婚記念日怖い。


「カトレヤからも言ってくれ」


でも必死になる魔王をただ見ているのも忍びない。手伝ってやることにした。


「アイリス、お話、聞いてあげて」


涙目+上目遣いでお願いのポーズをとってみる。恥ずかしいだと? 開き直れ。


「…ぅ」


アイリスが僅かにたじろぐ。

もう一押しか?


「うわぁぁあ!?」


と思ったところでエレナがすっころんで来た。

つまづく物が無いところで転べるとは一種の才能だ。

というかそれ以前に邪魔すんな!


「…も、申し訳ありません!」


エレナの馬鹿のせいでアイリスはさっさと先に行ってしまった。

勿論、魔王は取り残されている。


「…カトレヤ、行こうか」


「…うん」


この魔王にどことなく親近感が湧いた。


「…すみません」


エレナはそういう場面に出会ってしまう才能があるのではないか?


***


昼になってもアイリスの機嫌は直らなかった。そこまで怒ることなのだろうか。


「なんであんなに怒ってたのかな?」


今は庭でモリオンと作戦会議をしている。

例によって兵士たちに話を聞こうと休憩時間になるのを待っている。


「…特別な日だったから?」


「でも、来年があるよ?」


来年か。

去年は何にもなかった。

驚くほど何にもなかった。

というか結婚記念日なんて知らなかった。


「今年だけのことが有ったのかな?」


結婚して何周年とか、キリのいい数字だったから?


「あ、休憩時間になったみたいだよ?」


見ると兵士たちは訓練をやめて思い思いの場所で体を休めている。

ラドルフもいる。


「…お兄さん、ちょっとお話してもいいかな?」


少し迷ってから猫かぶりモードで話しかけた。恥ずかしい。やめときゃよかった。


「あ、ああ。ってお前!」


この反応が見られたからよしとする。


「……今度は何の用だ?」


苦々しい顔をしている。

俺たちは疫病神かよ。


「あのね、仲直りさせる方法を知りたいの」


なんかムカついたので猫かぶり続行。

…モリオンの冷たい目線が刺さる。


「…誰と誰だ? “魔王様とアイリス様♡”とか言わないよな?」


言うつもりでした。


「実はそうなんだ、ご主人様もぼくも居心地、悪くって…」


モリオンは目を伏せて悲しそうに呟いた。


「…あー、その、何だ、手伝ってやらんこともないぞ」


モリオンはパッと笑顔になってこちらを向いた。

ラドルフからは見えない位置でガッツポーズをしていた、流石だ。


「でも、あの二人が喧嘩するなんてな……」


同感。

常にラブラブだったからかなり堪える。


「いちゃいちゃしすぎて執務室、別にしてくれと言われるほど仲良し夫婦だったんだぞ?」


あれはそーゆー理由だったんですか。


「そういえば昨日、プレゼント渡したんだろ?誕生日か何かなのか?」


「結婚記念日なんだって」


「そうか、結婚記念日。思い出した、確か今年で二百周年の筈だ」


に、二百周年?

……マルが多いぞ。


「…二百周年なら怒って当然かも」


なのか?

全然実感がもてない。


「そうだな。それにしても仲直りか……そうだ、吊り橋効果って知ってるか? 危険な状況で愛は深まるってやつだ」


こっちにもあるんだ、それ。

で、どう吊り橋を用意するんだ?


「……じゃあ、二人にとって危ない状況って何だろ?」


「…………………不倫?」


魔王夫妻が危ない目にあう状況が不倫くらいしか想像出来なかった。

あの二人は絶対、物理的にやられるとは思えない。


「…じゃあ、片方を呼び出して用意しておいたひとに会わせて、もう片方がそこを見てしまう、どうだ?」


用意しておいたひとって誰を使うんだ?

ラドルフは……まぁ、嫌がるな。


「あとは役者をどうするか、だな。……オレの所の新入り使うか?」


あっさり仲間の身売りを決定しやがった。


「うん、ありがと♡」


なんかムカついたので猫かぶり続行。

モリオンの冷たい目線が刺さる。


「おい、ラルクこっちに来い」


「は、はいっ?」


ラルクは小動物的な青年だった。

例えるならハムスターだ。

一応、悪魔の尻尾は生えているものの強そうというより可愛い感じだ。

こんなのでうちの騎士は大丈夫なのか?


「何でしょうか」


「お前、アイリス様は好きか?」


「ふぇ!? ぼ、僕はその、す、好きというよりか、憧れています…あの、何故そんな事を?」


気に入った。使いやすそうだし。


「なら手伝ってくれ、憧れのアイリス様の娘さんを」


「よく分かりませんがよろしくお願いします。ってアイリス様の娘さん!?」


からかいがいがありそうなひとだった。






今日は卒業式でした。

式で歌を歌いました。

国歌、校歌、合唱コンクールの課題曲、卒業ソング二曲。

声が枯れました。


次回予告

仲直り作戦決行

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