EP505:伊予の物語「一心の呂布(いっしんのりょふ)」その6~時平の真意が明らかになる~
泣きながら叫ぶと、兄さまはゴロンと仰向けになり
「確かに、影男を殺したくなった。
私の浄見を、私だけの浄見を奪ったと。
でも、冷静になってよく考えてみた。
最悪なのは、浄見と一生会えなくなること。
それは、上皇の嬪になることや死別すること。
その次は他の男の妻になり、屋敷に入ってしまうこと。
これは権力を使えば何とかなりそうだが、浄見の気持ちが離れたならそうする意味は無い。
で、一番、許容できることは、他の男と浄見を共有すること。
自由に逢えるし、浄見の心を掴んでいれば恋敵とは言え、完全に奪うことはできないだろう。
それに影男ならいつ何時でも命を懸けて浄見を守るだろうから、上皇の脅威から守るという意味では最適な人材だ。
そこまで考え抜いて、ヤツを浄見のそばに置いてやってもいいと、やっと許せた。
我慢できなくなれば最悪、出世させて陸奥や太宰府の国司にして、都から追い払ってやる!」
悔しそうに呟く兄さまが可愛らしくなって
「う~~~ん、つまり、影男さんを兄さまの手駒にするってこと?」
切り裂きそうな怒りを含んだ横目で私をにらみつけ
「そうまでして恋敵を許せそうな理屈をひねり出して、怒りを我慢した私を褒めてほしいな。
浄見には優しく接していただろう?
ちっとも嫉妬してるようには見えなかっただろ?」
口をとがらせて呟く。
「でも優しすぎて不自然だったわ!
いつもは不愛想なのに、私に気を使ってご機嫌なフリをするなんて。」
兄さまがグイっ!と体を起こして、覆いかぶさり、ゆっくりと唇を重ねる。
初めてのときのように、念入りに、ひとつひとつを、確認するように、口の中を長い舌が動き回り、舌を絡め、吸い尽くそうとする。
「・・んんっっ・・・」
頭が痺れるような快感の刺激に下腹部が疼くのに耐えられず、思わず身をよじる。
鼻から喘ぎ声が漏れ、体の奥の芯が熱くなった。
チュッ!
音を立てて唇を離すと、兄さまがギラギラと熱情を滾らせ見つめ、かすれ声で
「女房達の噂では影男はいいってよく聞くから、浄見もそうだったらどうしようって怖れたんだ。
私に飽きて影男に走ったなら、何をしても虚しくなるだけだから、何もしなかった。
人形を抱いたってつまらないからな。
それでも一生手放すつもりはなかった。
浄見が別れたいって言いだすまでは、そばに置くつもりだった。」
腰紐をほどこうとする兄さまの手をとめ、自分でほどくと、衿をはだけた。
兄さまも自分の腰紐を解き、私の手を引いて、満ちて硬くなったそれに触れさせた。
「触ってて」
というと、私の腿の内側に手を差し込み、優しく持ち上げて開かせ、長いしなやかな指で、下腹部の敏感な部分を刺激し始めた。
兄さまの動かす指の速さに合わせて、私も手を動かした。
お互いの呼吸が一つになり、快感の泉から甘い官能の蜜がとめどもなく溢れ、周囲を濡らした。
強い快感の波に襲われ、我慢できず喘ぎ声を漏らす。
「・・・んっ・・あっ・・んんっ・・・兄さまっ・・好きっ!」
動きが徐々に速くなると、突き上げる快感の強さが増し、全身が弾むように痙攣し、足や下腹部や背中が強張りピンと弓なりに張りつめた。
ウッ!
兄さまが呻き、私よりも早く、頂点に達したように瞬間的に力が入り、すぐに脱力した。
私の手の中で果てた兄さまが愛おしくなった。
慌てて体を起こして、すぐに自分の小袖の裾で手を拭おうとするので
「兄さまが気持ちよくなってくれて嬉しい。大好き」
というと、恥ずかしそうに私の肩を抱き寄せて抱きしめ
「もう一度チャンスをくれ、あの呂布だって何度失敗しても決してあきらめなかっただろ?」
焦ったように呟いた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
呂布ってなぜそんなに愛されてるんでしょう?
本能のまま行動するからでしょうかね~?
憧れるけど、普通は社会の目が怖くて真似できないことをするから?でしょうか。