EP499:伊予の物語「報復の越境(ほうふくのえっきょう)」その3~伊予、陥落寸前となる~
別に体のどこも凝ってなかったけど、大人しくした方が身のため?な気がしてうつ伏せになった。
いつものように、頸から肩へむかって、柔らかく、かつ適度な力加減で按摩してくれる。
腰までが終わると、今度は足首からお尻に向かって筋肉と筋肉の境目に指が入るように掴み、硬い部分は力を入れて、凝りがほぐれるように揉んでくれた。
心地よいリズムの繰り返す振動にウトウト眠りかけた時、
「今度は仰向けになってください。」
「はぁ~~い」
寝ぼけながら仰向けになり、ウトウトしてると、鎖骨辺りで指が行ったり来たりしてたと思ったら脇の下に手を差し込まれた。
ビクッ!
無意識に身体が震え、ビックリして思わず目が覚め緊張する。
親指が脇から乳房の方へ移動し、先端の敏感な部分に触れそうになる。
その周囲に触れられるだけで、変な声が出そうになるので、焦って
「そこはいいわっ!凝ってないからっ!按摩してくれなくて大丈夫っ!」
って言ったのに、無視して親指がだんだん乳房の先に近づき、だんだん乳房が手全体で包まれ、優しく揉まれてる。
先端に指が触れると、そこから快感が広がり、我慢できなくなって鼻から声が漏れた。
「・・・んっ・・ダメッ!」
影男さんの熱い体温と押しつぶされるような重みを感じたと思ったら、上半身で押さえつけられ、口を唇で覆われた。
熱い太い舌が中に入って、情熱的に掻きまわす。
口づけしながら、片手で衣の下半身をはだけ腿の横からお尻に手を差し込む。
お尻を円を描くように撫でグッと力を入れて揉んだあと、腿の内側に手を滑らせ、下腹部の潤んだ部分を探すように手を動かした。
影男さんが唇を離し、フッと微笑み
「彼には一つだけ感謝しています。
あなたの弱点を教えてくれた。」
言いながら小袖の腰紐をほどき、衿をめくって胸を露にすると、先端を口に含み舌で転がすように愛撫する。
同時に下腹部の敏感な部分を刺激する。
強い快感がそこから湧き上がり、全身を貫き這い上がり、頭の中が麻痺したように、官能の興奮で満ちた。
喘ぎ声を出し、足がピンとのびたまま強張り、背が反り、影男さんの頭を抱きしめた。
までは何となくおぼえてるんだけど・・・・。
目覚めると、影男さんの隣で、伸ばしてくれた腕を枕にしてた。
は?
あの後どうなったの?
影男さんを見ると、小袖に乱れもなく、私もちゃんと小袖を着たまま。
・・・・てことは?
私は按摩されたまま眠りに落ちて、その後、影男さんが添い寝してくれたってこと?
・・・・てことは?
全部私の妄想っ??!!
はぁっ??!!
あっあんな淫らなっ??!!
夢っ??それとも妄想っ??!!
ショックで血の気が引き、真っ青になり、冷や汗で背中がジットリ濡れてる気がする。
影男さんが眠そうな目をこすり、私の方へ寝返りを打ち
「よく眠れましたか?ゆうべは遅かったから、まだ眠いでしょう?」
囁きながら、私がいるのを確かめるように、ためらいがちにそっと頬に触れた。
ね?どこまでが現実でどこからが夢?
私たち、一線を越えた?
なんて気軽に聞けず、手掛かりを口にしてくれないかなぁ?と影男さんをジッと見つめる。
それに気づいたのか影男さんがニコッと微笑み
「大丈夫です。
あなたはちゃんと貞操は守りました。」
貞操は?って何っ!!
何を守ってないってっ??!!!
冷や汗が止まらず、蒼ざめながらも
「このことは、その、兄さまに言わないでねっ!ねっ!
ね、悪いけどもう帰ってっ!!」
影男さんの着替えを猛スピードで手伝い、まだウダウダと私の房から帰らない影男さんの背中を押して追い出した。
東廂の妻戸まで見送りに出ていくと、出口で立ち止まって振り返った。
ゆっくりと顔を近づけるので、ビクビクしながら身を後ろに引くと、唇を耳に寄せ
「私にもあの顔を見せてくれて、嬉しいです。
ますます好きになりました。
また近いうちに来ます。」
って掠れ声で囁いた。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
『どこからが浮気で~~~』とかいう範囲を浄見はとっくに超えてる気がします。
浮気認定?う~~~ん、それだけは避けたかったんですが。