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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の物語(恋愛・ミステリー)
495/505

EP495:伊予の物語「辱熱夜の媚薬(じょくねつよのびやく)」その2~伊予、もっと焦る焦る~

枕元に置きっぱなしにしてた紙を、兄さまが何気(なにげ)なく手に取った。


(あか)りをたよりに、紙を開いて、文字に視線を走らせると、一瞬で表情がサッと(くも)った。


ひそめた眉がピクピク痙攣(けいれん)してる気がする。


慌てて手を伸ばし、兄さまの手からその文をクシャクシャに(つか)んで奪い取り


「あっ!!これはねっ!そのっ!断りの文を書いて、さっき(こずえ)に届けてもらったんだけどねっ!!」


焦って言い訳する。


だって、文には


『今日、烏瓜(からすうり)の咲くころに、逢いにいきます。 影男(かげお)


って書いてあるし。


引き続き私は、必死で言い訳を続ける。


「でもっ!(こずえ)がねっ!影男(かげお)さんの居場所が分からないからって、断りの返事を届けられなくてね!どうしようかと思ってて・・・・」


実はさっきまで、雷鳴壺の南廂(みなみひさし)影男(かげお)さんを待ってたんだけど、なかなか来なくて諦めて戻ったところに、『今夜は仕事だから来ないハズ!』の兄さまがやってきた。


完っっ全っに不意打ち!


冷や汗ダバダバっっ!!


パニクってる真っ最中っっ!!


ちなみに私は小袖(こそで)という下着の上に、単衣(ひとえ)を一枚重ね着してウロウロしてる。


焦れば焦るほど(やま)しさで口数が増え、次々(つぎつぎ)とどーでもいい話題を口に出す


「でも烏瓜(からすうり)なんて宮中に無いのにね~~!

どういう意味かしら?

兄さまは見たことある?

私は昔、屋敷を抜け出して裏山で見たことがあるわっ!

ちょっと、普通の花とは違っててね、ええっと、五芒(ごぼう)(せい)?星型の細長い花弁(はなびら)の周りに、糸みたいなのがいっぱい放射状に出てて絡まってて、白紗(はくしゃ)みたいになってて、見方によってはキレイ?なんだけど、気味悪い?とも見える花なのぉ~~!

ヒトデみたいに得体のしれない生き物が触手を伸ばして茎の先にくっついてるみたい!って思えばゾッとするの!

あとっ、人が網に絡まって(とら)われて『張りつけ』にされてるみたいにも見えるわ!」


矢継(やつ)(ばや)に話しかけながら、何事もなかったかのように文箱に文をしまおうとすると、背後に気配を感じたと思ったら


グイッ!!


お腹に腕を回して、後ろ向きのまま引き寄せられた。


兄さまの脚の間に引っ張り込まれ、後ろからギュッ!と抱きしめられ


「今夜ここで影男(かげお)と逢引きする予定だったってこと?

夫がいない(すき)を狙って、間男(まおとこ)を通わせようとしてたってこと?」


耳元で低い声で鋭く(ささや)く。


は??


え??!!


事実だけをつなぎ合わせて判断すれば、そーゆーことになるけどっっ!!


「ち、違っっ!!

影男(かげお)さんに断りの返事が届けられなくて、だから、来るかもしれなくてっ、でも、梅壺で立ち話して帰す予定だったしっ・・・・う、浮気とかっ、するつもりは全くなくてっ・・・」


ふぅ~~~~~~っ。


大きくため息をつき、チッ!と不機嫌そうに舌打ちした兄さまが、耳に唇を寄せ、途切れ途切れに唇で耳に触れ


「悪い子には、どんなお仕置きがいい?」


熱い息を吹きかけながら(ささや)いた。


吐息が耳をくすぐり、ゾクッと興奮が全身に広がり、ジンと敏感な部分が(うず)いた。


そのとき、几帳の向こう側の、東廂(ひがしひさし)の方から、(かす)れた低い声で


「伊予さん?私です

影男(かげお)です

もう寝ましたか?」


ギクッッ!!!!


として思わずビクッ!と肩を震わせ、


ヤバッ!!!


何とかしなきゃっ!!


また暴力沙汰になるっ!!


おそるおそる顔を動かして振り返り、背後から抱きしめてる兄さまと目を合わせようとすると、こめかみに血管を浮かせて、几帳の向こうを睨み付けてる。


不安のあまり怖気づいたけど、気力を()(しぼ)って、大きめの声で几帳に向かって


「あのっ!影男(かげお)さん?

その、体調が悪くて、もう寝てしまっていてお話もできないの!

だから・・・」


今夜は帰ってくださる?


って言おうとしたのに、その前に、口を手で覆われ、声がくぐもった。


「ごっ・・んっ・・・がっ・っえっ・・・んーっっ!」


モゴモゴとしか言えず、口を覆う兄さまの手を取り除けようと(つか)むと、


ゴソッ!


もう片方の手が、荒々しく小袖の(すそ)をたくし上げ、(もも)の付け根が(あらわ)になった。


はぁ??!!!

(その3へつづく)


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