EP468:伊予の物語「沐猴の木通(もくこうのあけび)」 追記
「沐猴の木通(もくこうのあけび)のストーリーは『その6』で完結しており、以下は付け足しです。
R18?でしょうか?
性的表現が不愉快と感じられる方もいらっしゃるかと存じます。
ご不快な場合は、『無視』して読み飛ばしていただけますと幸いです。
影男さんの手が衣越しに、下腹部の敏感な部分に到達し、腿の間に手を差し込む。
腿を少し開き、手を動きやすくすると、感触を味わうように手が腿を這いまわり、ときどき指に力が入る。
腿の付け根に指を這わせ、敏感な部分を手で包むように触れると、指で刺激し始めた。
「・・っあっ・・っあっ・・っあっ・・っんっ・・!」
そこから突き上げる官能の快感に、思わず声が漏れる。
指の動きに合わせて、腰が動くのを抑えられない。
衣越しにも、敏感な部分が潤んでいるのが分かる。
『私、今、影男さんに快感をゆだねてる!
兄さまじゃなくても、大丈夫かも!』
考えた瞬間、官能の興奮への躊躇いが生じた。
激しさを増す、指の動きや影男さんの息遣いを感じて、興奮が高まり駆け上がる・・・・ことはなく、妙に冷静になり、魂が体から抜け出して、上から自分たちを見下ろしているような感覚にとらわれた。
敏感な部分からの、快感が鈍くなり、何も感じなくなり、ついには乾いて、痛みを感じるようになった。
痛くて耐えられなくなる前に止めなきゃ!!
焦って、影男さんの腕を掴み、動きを止め
「ありがとう!気持ちよかった!もう充分よ!」
明るく言うと、影男さんがハッ!と息をのみ、
「・・・・やっぱり、左大臣にはかないませんか?
私ではあなたを満足させることはできませんか?」
張り詰めた表情で小さく呟いた。
ギクッ!
として、焦って、
「そっそんなことないっ!!充分だって!ね?
あっ!じゃあ、私も触っていい?」
影男さんの下腹部に手を伸ばし、そこかな?という場所に触れると、
ギュッ!
手首を掴み、そこへ導いて、私の手の上に手を重ねて
「ゆっくり動かして下さい」
囁く。
おそるおそる、影男さんの手の動きに合わせてゆっくりと動かしていると、影男さんの息が荒くなり、呻くようにあえいだ。
「・・・・っううっ・・!」
ハァッ!
大きくため息をつくと、私の手をそこから避け、
「ありがとう。よかったです。」
何となく気まずい雰囲気のまま、影男さんに背を向け、眠りについた。
『最終点まで上り詰める』ことができなくても、影男さんを失いたくなかった。
『性的な行為をして気持ちよくなるから、影男さんと一緒にいたい』わけじゃなかった。
大事な男性であることには変わりがない。
『性的な行為が無くても、影男さんを好き』って伝えても、傷つかない?
『男性としては求めてない』って言ったらショックかな?
『友人として、そばにいて』
なんて、ワガママ?
言えば、私の元を去ってしまう?
どうして、影男さんとは、途中で冷めてしまうの?
自分の感覚すら、思い通りにならないことが歯痒い。
『感じたフリ』で、影男さんを引き留められるなら、そうしても構わない。
人間的に尊敬できる、素敵な人なのに、好きなのに、完全に身をゆだねられないのが、寂しい。
夢中になれないのが、悔しい。
なぜなの?
どんなときに、感じる?
自分の心に問いかける。
あの人のことが思い浮かんだ。
白くて長い指に、しなやかに動く手に、裸体に、しぐさに、愛撫に、どうしようもなく、心がかき乱される。
唇に、指に、肌に、温もりに、汗に、唾液に・・・・
どうしようもなく、誘惑される。
抗いようのない、官能に、とらわれる。
理性で拒もうとしても、体が、勝手に反応し、求めて、せがんでいる。
なぜ、自分の感情なのに、自分の体なのに、思い通りにならないの?
悩み、悶え、考え疲れて、やがて知らぬ間に、深い眠りに落ちていた。