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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の物語(恋愛・ミステリー)
396/461

EP396:伊予の物語「回生の粉飾(かいせいのふんしょく)」 その6~伊予、実力を証明するため作戦参加を申し出る~

主殿の中には、仙人と竹林を描いた薄墨絵の屏風を背に、一段高くなった畳の上に座る左大臣・時平様の姿があった。

文机の上に開いた書があり、パラパラと行ったり来たりしてめくりながら何かを確かめてる。


兄さまの右側の(ゆか)には、同じく文机に向かって座る大舎人がいて、多分、野太い声の持ち主。

筆で紙に何かを書くことに集中してる。


時平様も文机の書をパラパラ見ながら


「名と歳を教えてくれ。」


「はい、阿波(あわ)です。二十歳です。」


ハキハキと答えると、紙をめくる手をとめ、兄さまが顔を上げた。


目が合うと、文机の上に肘を乗せて両手を組み、あごに添え、眉一つ動かさず


「数日前は酔い覚ましの煎じ薬をありがとう。

で、聞きたいことは、過去に、宴会に同席して、客の接待をするよう役人に頼まれたことがあるかどうか?なんだが。」


「いいえ。ありません。」


首を横に振るだけで、余計な事は言わない。

数日前に口づけしたとは思えない、兄さまの淡々とした冷たい態度に


『やっぱり遊び慣れてる人は違うのね~~?あんなに簡単に、大勢としてるなら私としたことなんてとっくに忘れてるのかも?』


チョット感心。

イラっと嫉妬。


「ああそうか。じゃ、もういいよ、次っ」


えっ?

終わりっ??

これじゃぁ『切れ者』としてイイところが見せられないっ!

焦って


「あのっ!橘公紀(たちばなきみのり)さまが地方豪族を女儒を使って性接待したんですよね?もし、証拠がないなら私が(おとり)になって宴席に同席して、証拠を取ってきたり、実態を確かめてもいいですけどっ!!もし、次があるようならの話ですけど。」


作戦(ミッション)参加を申し出る。


私だって、臺与(とよ)のように上手くやれる!

初めは失敗するかもだけど、きっとうまくなるっ!!

男性の扱い?にあんまり自信はないけど、要は慣れよっ!!

回数を重ねれば何だって上手くなるハズっ!!


ウン(OK!)と言って!

了解してっ!

私を信用してっ!!


願いを込めた、真剣な表情で兄さまの目を見つめた。


兄さまが驚いたように眉を上げ、記録係の大舎人に向かって


「今のは記録しなくていい。少し席を外してくれ。休憩してていいよ。」


大舎人が


「はぁ?でも全部隈なく書き付けるようにとおっしゃったのでは?」


なんてヤボな事は言い返さず、無言でウンと頷き、そそくさと立ち去った。


やったぁ~~~!!

作戦(ミッション)参加決定??

大舎人が退出すると、意気揚々と


「何でもしますっ!!細かく指示してもらえば、その通り動きますのでっ!!宴席に同席すればいいんですよね?」


やる気を前面に見せる。

兄さまがギロっと睨みつけ


「簡単な事じゃない。初めて会う、粗野な、むさくるしい男に、嫌な事をされるかもしれないんだぞ?耐えられるのか?」


「ハイッ!!頑張ります!」


やったことないけど、臺与(とよ)にできるのなら、私にだってできるっ!!


兄さまはスクッと立ち上がり、怖い顔で私に近づいたと思ったら、床に押し倒した。

抵抗する間もなく、唇を奪われ、荒々しく、無造作に、手を、下腹部に伸ばした。


敏感な部分に袴の上から、手を添え、指を縦に動かしたと思ったら、止め、手のひら全体で律動的に押さえ付け始めた。


口づけしながら、下腹部を一定の力と速さで圧迫する。


袴の上からなのに、ずっと続けられると、振動が身体の奧に伝わり、快感を引き起こした。

口づけが快感を加速し、突き上げるような官能の波に飲み込まれ、思わず喘ぎ声が漏れた。


「っっうっうっうっんっ!っぅあっっ」


違うっ!!

コレって、兄さまは見ず知らずの粗野な男に、強姦されたときの怖さを思い知らせるためにしてるのにっ!!

ここで快感を感じちゃダメなのにっ!!

怖がらなくちゃっ!!

初対面の女子(おなご)じゃないってバレるっ!!


我慢しようとしても、勝手に身体が反応するのを止められない。


次々と突き上げる快感の波に、ビクビクと痙攣に襲われる。


「見知らぬ乱暴者にも、こんなに敏感に反応するのか?・・・・・・・浄見?」


口づけをやめ、手をとめた兄さまが、両手で体を支えて、上から私を見下ろしてた。


はっ???

今、浄見って言った?

(その7へつづく)

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