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少女・浄見(しょうじょ・きよみ)  作者: RiePnyoNaro
浄見の事件譚(推理・ミステリー・恋愛)
310/475

EP310:伊予の事件簿「完璧の至宝(かんぺきのしほう)」 その8

ビックリした私は思わず素っ頓狂な声で

「えっ?出発地点の朱雀門?に帰ってくるの?」


藤原元佐(ふじわらもとすけ)がポカンと口を開けアワアワして

「まさかっ!『朱雀を経て、倭宝に到着する。』とありますが、これは朱雀大路のことでしょ?でも朱雀大路のどこを探せばいいのか、はっきりとは分からず、現地で詳しく調べるつもりでした。」


・・・・頼りない。

大和国まで行かなくてよかった。


藤原元佐(ふじわらもとすけ)がツバを飛ばして、ちょっと睨み付けながら兄さまに突っかかり

「なぜ朱雀門だと断言できるんですかぁ?」


兄さまが肩をすくめ

「それは、この倭宝が何か?を考えればいいんだ。お前は何だと思った?」


こめかみに指をあて、ウ~~ンと考え

「それが、その、何のことやら。『倭宝在京之中、依青銅爲光。(倭宝は京の中にあり、青銅に()って光を作る。)』とあることから推測すると、青銅で作った何かだと思うんですが。」


「この漢文が魏志倭人伝(ぎしわじんでん)の一説に似ていると言っただろ?当時の倭国、つまりわが国の様子を詳細に記してある『魏志倭人伝(ぎしわじんでん)』は、卑弥呼について記してあることで有名だ。卑弥呼の宝と言えば?」


ハッ!とひらめき

「銅鏡百枚を魏国から(たまわ)ったって書いてあったわね?光を作るといえば鏡?つまり青銅の鏡が倭宝ってこと?」


「そう。内裏にある宝物の銅鏡と言えば?」


藤原元佐(ふじわらもとすけ)が驚愕の表情で

「まさかっ!三種の神器の一つ八咫鏡(やたのかがみ)だと言うんですか?いやっ!そんなはずはないっ!『卑弥呼の鏡』とは、鏡を(たまわ)った年、つまり魏の年号である景初(けいしょ)三年(239年)か、正始(せいし)元年(240年)が刻まれた三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)のことでしょ?豪族の墓からよく出土するという。

八咫鏡(やたのかがみ)はもっと直径の大きい、幾何学的な文様の大型内行花文鏡(おおがたないこうかもんきょう)でしょう?全然違うじゃないですかっ!八咫鏡(やたのかがみ)は『卑弥呼の鏡』とは全然違いますよっ!!」


兄さまが静かに、首を横に振り

「卑弥呼が皇族の祖先の一人なら、例えば箸墓(はしはか)古墳の主である倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめ)魏志倭人伝(ぎしわじんでん)において卑弥呼と呼ばれたなら、魏国から(たまわ)った貴重な銅鏡を豪族たちにばら撒くだろうか?

銅鏡を(たまわ)った年号が記してあるからといって本物というわけではなく、複製品(レプリカ)を作ったとも考えられる。」


う~~~ん、とじれったくなって口を挟んだ

「だから、結局、どっちが『卑弥呼の鏡』なの?大型内行花文鏡(おおがたないこうかもんきょう)三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)?」


兄さまがニヤッと口の端だけで笑い

「もし私が皇族で魏国から貴重な銅鏡を(たまわ)ったとしたら、全てを門外不出にし、一枚は三種の神器の一つとして内裏の賢所(かしこどころ)に置き、そのほかは斎宮など重要な神宮に配布し御神体とする。

そして、百枚の銅鏡の中でも、見栄えがよく、豪族たちが喜びそうな文様の鏡は、その複製を作り、忠誠を誓った褒美として豪族たちに与えることにする。

つまり魏国から(たまわ)った銅鏡百枚にはさまざまな文様の鏡があったんだろう。大型内行花文鏡(おおがたないこうかもんきょう)三角縁神獣鏡(さんかくぶちしんじゅうきょう)もその一部に過ぎないのかもしれないな。」

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

倭迹迹日百襲姫命(やまとととひももそひめ)箸墓(はしはか)古墳の発掘が許可され、『卑弥呼の鏡』が出てくれば邪馬台国の場所や卑弥呼の正体に決着がつくでしょ!と思うんですけど。

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