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ForeRunner  作者: 宮沢弘
大探査
10/26

6−1: 大探査2−1

 私は次の星系を選び、「β」と命名した。

 降下隊が戻ってくるまでの間に転移窓は設置され、他の種族との通信が可能になった。降下隊の結果を星図に反映させると、ほんのいくつか表示が緑に変わった星系があった。だが、赤と黄色がやはり多い。黄色は実際にはどういう状況なのかはわからない。もしかしたら焼き尽してしまい、そこからやり直している例もあるのではないだろうか。

 教えをもたらした者はなぜ知性化を完了させなかったのだろうか。それは教えをもたらした者の意図なのか、それとも限界なのか。

 私はラバル=エズラとしてβへの転移を提案した。


 結晶の反応をローガに頼んだ。

「君たちはまったく面白い」

 どういう意味だ?

「β-1でいいのかな。そこにナブロスと同じように地上で複数の反応がある」

「先に小型の探査機を出してみないか」

 エズラが提案し、すぐにテランの母船から探査機が打ち出された。

 ここにも六個の結晶があるのか?

「いや、反応は二つだ。それに共振しても転移窓は開いていない」

 αで学んだことがある。モニュメントがあること自体、現在では警告となっている。接触は慎重に行なう必要がある。ヴェールコール人は、あるいは彼らだけではなく他の種族はそこに頓着していないのかもしれないが。


 探査機からの映像が入った。惑星の全域とはいかないが、工業化が進んでいる。その段階ということだろう。大気の光学的分析から、火山灰か煤煙が多いようだ。おそらく煤煙だろう。だが、疑問がやはり漂っている。慎重にその疑問を頭の中で隔離した。

「電磁波の使用は…… ないか」

 ラバル=エズラとしてテランの母船に探査機から入ってくる情報を確認した。

 探査機には他のも多くの情報を送ってきていた。

 いくつかある大陸の二つにモニュメントが立っていた。

「ローガ、これはどういうことだ」

 ラバル=エズラとして訊ねた。

「知性化候補が二種いたのだろうか」

 ローガがあやしげな答えを返した。

 二つの種存在したとしても、それ自体は不可解ではない。むしろ、これまでモニュメントが一つあり、一つの種のみが知性化されていたこと自体が疑問になるだろう。

「しかし、この段階のところに無闇に近付くのは考えものだな」

 ラバル=エズラとして言った。

「なぜ? モニュメントがあるんだ。接触に問題はないだろう」

 ローガが、こちらの懸念など不要というように答えた。

「いや、おかしな噂だけが出回っても収拾が面倒になるだろう」

 ラバル=エズラとして訊ねた。

「それに火薬があるかもしれない」

 エズラが付け加えた。

 ローガが彼らなりに眉をひそめるのが見えた。テランとエランが何を気にしているのかがわからないようだ。

「ともかく、まず、いつモニュメントから最後の教えが消されたのかを知りたい」

 私は一旦私になり、疑問が共有感覚空間に漏れ出さないように見つめながら訊ねた。

「君たちが新たな知性化対象と接触する場合、どういう状況が多いんだ?」

 私は再びラバル=エズラとなり訊ねた。

「そうだな、ここよりも前の段階だ」

「その対象となる場所にモニュメントがあった例は?」

 モニュメントがあり知性体がいる場所に二つ当ったのだ。そういう例がなかったとも思えない。知りたいところだ。それに他種族による知性化対象の扱いについては実のところあまり知らない。

「ん? もちろんある」

「その場合、モニュメントの教えはどうなる?」

「どうにもならんよ。その後を引き継ぐようになる」

「つまり、モニュメントが既にあったとしても、β-1の段階の前に接触しているということか」

 ラバル=エズラとして訊ねた。

「一つはそうだ。その場合、教えをもたらした者と勘違いされて最初の接触は良好なものだった」

 αではある意味そう勘違いされたわけだ。

「それか、モニュメントがあって、既に恒星間航行を持つか、もうすぐ持つかという状態だったのだな? そして結局それでも教えをもたらした者と勘違いされた」

「そうだ」

 ローガが首をかしげる様子が見えた。

「モニュメントがない場合は、そもそも凖知性体だったのだな?」

 やはりローガ首をかしげながら肯定した。

「β-1は少しばかり例外というだけか?」

「そうだ。モニュメントが二つあることを除けば」

 ラバル=エズラからラバルとなり、考えた。αはまだわかる。だがこのβは最後の教えが与えられてからどれほどの時間が経っているのだろうか。この段階がそれほど長く続くものだろうか? 現在の他の種族においてもそうだったのだろうか。

「ともかく接触を試みよう。結晶の調査を行なってみたい」

 ラバル=エズラとして提案した。慎重に手に包んでいた疑問が少し漏れ出したようにも思う。改めて疑問を共有感覚空間から遠ざける。

「探査機を建物の上にでも静かに置けないか?」

 ラバル=エズラがテランの隊員に訊ねた。

「おそらく夜の側なら可能だろう」

 テランの船から答えがあった。

「ではやってくれ。まず言語情報の収集だ」

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