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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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323/360

それでも憎みきれないあんちきしょう、なのかしら。

誤字報告ありがとうございます。

 次の日の早朝。

母に呼ばれて母の家に行った。

「ごめんね、レイカ。大人数なんで朝ごはんを手伝ってもらいたいの。おにぎり持ってきてくれた?」

「うん。」

いつもと逆である。

母から連絡があり、朝早くからコハク国の双子と、孤児3人組(ロラン、アニー、リサ)に手伝ってもらって大量のおにぎりを作った。


アンちゃんをお供にして届ける。


「ブラッキーもヨーゼフも熱い男だからなあ。」

アンちゃんはため息をつく。

「お義母さん、むくつけき野郎共が沢山でお騒がせして、すみません。」

「いいのよ、アンディさん。筋トレはうちの前でしか出来ないわよね。他の子供達にはレイカのレストランや忍びの詰め所の場所は内緒だもの。」


そう、母の家の前では良くミルドルやザック、時々一緒にマーズさんが筋トレをしている。

以前はドンとリッキーも来ていた。

まわりを走りこんだり、反復横跳びをしたり。

もちろん隣に住んでるシンゴ君も混ざるのだ。


たまにエドワード様も来る。

「ミルドルはキューちゃんの腕輪がありますからな!騎士団にはいるのは、ほぼ決まりでごわす!拙者が時々指導するでありますよ!

学園でやると目立ちますからな!ここでこっそりとな!うむ。ザックも一緒にか?感心でごわす。」

という事だ。


それに今日は。

「さ!セピア!オマエも筋トレに混ざるんだ、そして邪心を汗で洗い流せ!」

ブラッキー君が熱く語る。連れてきたんかい。

二人とも二日酔いはないのかな。


「えええ!?」


「セピア、ブラッキーさんから連絡をもらったぞ。昨夜はそのいやらしい目付きでレイカさん達にご迷惑をかけたらしいな!オマエの心根を叩き直してやる!」

なんと!ヨーゼフ君も参加だ。


「ブラッキーさん、ヨーゼフにチクったんですかああ!」

「フン。ちょっとだけ複雑だが。妹の相手としてオレはコイツを認めてるんだ!」

「そんなあ!」

半泣きのセピア君。


「嬉しいです!精進します!ショコラさんの護衛はお任せください!

それに彼女の相方として背中を預けてもらえるように精進します!」


…うん。


「何だかその言い方だとショコラのことは、まだ仕事仲間?や女友達の域を出てない気がするワね。」

アンちゃんが苦笑する。

「そうですね。」

シンゴ君とマーズさんも苦笑いだ。

「うむ。我が身内として、ヨーゼフには頑張って欲しいである。」

エドワード様も頷く。


というわけで今日は。

ミルドル、ザック、シンゴ君、セピア君にマーズさん。

それにブラッキー君にヨーゼフさんが一丸となって筋トレに励んでいるのだ。

もちろんアンちゃんも飛び入りである。

それを指導しているのがエドワード様だ。



「せいっ!」「やっ!」

「ワンモアセッ!」

さわやかな朝の光と澄んだ空気のなか、汗くさい光景が繰り広げられている。


「レイカ義母さん、お義祖母さん。そろそろお茶と朝ごはんの用意をしましょうか。」

ラーラさんが顔を出す。

「あら、ダメよ。ラーラさんは座っていて。」

身重のラーラさんを母が気遣う。来月が予定日だからね。

「ええ。私達でやりますから。ね?ゾフィー。」

「ハイ、若奥様。座ってくださいな。」

マギーの声にゾフィーも頷く。二人で味噌汁の鍋を持ってきた。

ちなみに若奥様はラーラさんである。


 そして、筋トレが終わった男性陣におにぎりと味噌汁とお茶を振る舞った。

庭に簡易テーブルと椅子を広げてね。以前ここでお花見バーベキューをしたし。それなりに物は揃っているのである。


「ごちになります!」「うまそう。」「美味い!」

「この塩加減が絶妙でごわすな!」

「ああ、熱いお茶もいいワね。」



「うう。それにしても…男性がいっぱい。」

ゾフィーの眉間にシワが刻まれる。

そうか、この子も男性が怖いところがあるんだな。

雇い主の息子に言い寄られて逃げ出したんだものなあ。


「あら、ゾフィー。ここにいるのは安全な男性ばかりよ。ただ、あのセピア色の髪の人だけにはね、気をつけなさい。女好きだから。

でも無理矢理口説きはしないはずよ。」

母が給仕をしながら言う。


「ははははは!」

アンちゃんとシンゴ君が大笑い。聞こえたんだな。


「レイカさんの御母堂様あ。ひどいっす。」

セピア君がおにぎりを頬張りながら情けない顔をする。

「もちろん、神獣様に愛されてるお義母さんの、可愛がっている侍女にちょっかいを出さないよな?セピア。」

アンちゃんがニタリと笑う。

「ふふふ、もちろんよね?

もし…おいたをしたら龍太郎ちゃんに叱ってもらいますからね。」


うわあ。母よ、それは洒落にならん。


「エ?何?オッカサン?セピアを懲らしめるの?OK!」

ためらいなく龍太郎くんは、やる(殺る)。

きっとやる(殺る)。


「お義母さん、それだけはやめてください。大事おおごとになりますから、ね。」

アンちゃんが流石に顔を青くした。龍太郎君の母への溺愛を良く知っているし、アンちゃんにはセピア君は大事な部下なんだ。



「すみません、御母堂様、お許しを!心を改めますから!はい!」

セピア君は這いつくばった。


「…ぶつぶつ。女にダラシがないやつなんか天罰がくだってしまえ。ぶつぶつぶつ。

齧られてしまえ、滅びてしまえ…ぶつぶつぶつ。」

わあ。ゾフィーの目が据わっているわよ。

それになんかぶつぶつ言ってる。


「ゾフィー…怖いことをぶつぶつ言わないでよっ。」

マギーが眉をひそめているわ。


「ゾフィーねえちゃん、落ち着いて。」

「本当にぶつぶつ言う人っているんだなあ。」

すっかり顔馴染みになっているザックと、ミルドルも引いている。


「わかったわ。龍太郎ちゃんに咥えて振り回してもらったら、頭の中の邪念が落ちていくと思ったのだけど。」


セピア君の顔が強張る。

「その前に命を落とす危険があります!」

だよねえ。

「で、では私はこれにて失礼させていただきます!

ご馳走様でした!」


セピア君は走り出した。はや〜い。

(これにてドロンさせていただきます、という副音声が聞こえる。)


「おう。ちゃんとアラン様にお仕えするんだぞ!」

アンちゃんがその背中に声をかけると、立ち止まり、ひとつ頭を下げて消えていった。



「まあ、アイツがアンディ殿を慕っているのと、王妃様に恩義を感じているのは間違いないですからな!

仕事はちゃんとやる男でごわすよ。」


エドワード様もウンウンと頷く。

(副音声として『女癖は悪いでごわすけどな!』と聞こえる気がします。)



やれやれ。



天童よしみさんの歌にそういうフレーズがありましたっけ。

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― 新着の感想 ―
天童さんのはわかりませんが、昔「にくいあんちくしょう」っていう漫画かドラマがあったような。 これは素直になれない、好意の裏返しですよね。 セピアに関してはそうではないような・・・ ゾフィーちゃんの闇は…
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