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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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321/360

馬鹿だね、アンタ。ずっと愛してもらえると思ってたなんて。

誤字報告ありがとうございます。

「セピア、夜も遅いしフラフラだな。隣の忍びの集会所の寮に泊まって行けよ。」

「アンディ様…ありがとうございます…」

涙目のセピア君だ。

「ブラッキーの部屋に泊めてもらうか?」

「ああ…ブラッキーさん。お懐かしい…」


顔を覆ってシクシク泣き始めた。何故泣く。

そういえばブラッキー君に懐いていたな。

一緒にホテルで働きませんか、と勧誘していて速攻断られていたっけ。


「シンゴ、ブラッキーを呼べ。」

「はっ。確か厨房の隅で片付けのチェックを。」

シンゴ君が走っていった。

ここはね、レストラン部分だよ。

(遅くなったけど説明)

私とアンちゃんが食器のチェックをしていたら、ショコラさんが帰ってきたのである。


セピア君は壁の蝋燭の火をぼんやりと眺めている。

げっそりとした顔に蝋燭の火が陰影を作っていて、昔ウンナンのコントで見た『命 影郎』というキャラのようだ。

「今にもひーーっ。といって倒れそうよねえ。」

「そうだな、レイカちゃん。」


「ああ、自分が失ったものが、どんなに素晴らしいものだったか…実感しています。」

 

つつー…。

セピア君の頬をつたう涙。

そんなにこたえたのか。ショコラさんがヨーゼフさんを選んだのが。


「ふん。しっかりしないともうひとつのほうも失うぞ。」

「ブラッキーさん!会いたかったっすよ!アニキぃ。」

「オマエにアニキと呼ばれる筋合いはないっ!」

「ああ、何だろ。叱責が心地よい…」


ブラッキー君に恍惚の表情を浮かべ縋り付くセピア君。

「気色悪いっ!離れろっ!」


……セピア君、大丈夫か?


すっ、とアンちゃんがワインの瓶を差し出す。

「ほらよ、俺からの差し入れだ。ブラッキー悪いな。今晩面倒見てやってくれや。」

「キャッホウ!幻のワイン『ネモ』、ブルーウォーター元年ものじゃ無いですかっ!ブラッキーさん、二人であけましょうや!」

「こんな、高価なものを……!!!

アンディ様、すみません!キッチリこいつをしずめますんで!」


わあ。

気を鎮めさせるのか。泥酔させてベッドに沈めるのか。

それとも。


「ふん。こんなやつ、グラン湖に叩き込んで沈めちまえよ!」

シンゴ君が吐き捨てる。


だよねえ。


「ブラッキーさん、俺らも上がります。」

「お疲れ様です。」

コハク国ツインズが厨房の入り口から声をかけてきた。

「おお、片付け途中で抜けちゃってすまんな。」


「おおお!チルの従兄弟のお二人さんじゃないっすか!

一緒に飲みましょう!特にスピカさあん!」


「えっ、やだ?このひとのめつきがいやらしい!」

身をよじるスピカさん!


「天誅!」

バシイ!


「いたっ、やめてっ。ブラッキーさん。ただの癖ですから…うわああー!いたたっ!

腕輪が締め付けるうっ!」


あー、ロージイの祈りがこもったトパーズがついた腕輪ね。グラッシーこと海竜様製の。

そいつが、孫悟空の輪っかみたいに締め付けてるのか。

セピア君が女性にちょっかい出そうとすると発動するのねえ。なるほど。

「くうっ、やめてええ、いたいっ!ちょっと緩めてええ。

ううう…スピカさんの手を握ろうとしただけなのに!」

「けっ!もっとあちこち触ろうとしたんじゃねえのか!

手つきがやらしいぞ!」


ブラッキー君が睨みつける。


「そりゃそうだろうなア。」

アンちゃんが顔を顰める。

「ロージイの執着とグラッシーの念か。

オマエが他の女にちょっかいを出そうとするのを許す訳ねえや。

その怒りを解けるのはレイカちゃんだけかもね。

二人に好かれてるしさ。」


ええっ。マジで?私にはそんな霊力はなくってよ?


「レイカアネさん!どうかっ、どうかっー!」


セピア君の顔色が紫になってきた。

仕方ない、ダメもとで。


ポン!ポポポン!

軽くセピア君の腕輪を叩く。


「はらいたまえ!この男の邪心を清めたまえ!お心を鎮めたまえ!」

何か口にしないと締まらない気がしたから、

とりあえず言ってみるわたくし。


シュウウウ。


血圧計の空気が抜けるような音がして、腕輪が緩んだ。

(ように見えた。)

あらあ、きいたの?


「グラッシーに作ってもらった腕輪の加護かもネエ。

レイカちゃんの腕輪、ワタシの腕輪と共鳴してるワ。」

アンちゃんが腕輪を見せる。薄く青色に光っている。


私の腕輪も見る。本当だ。青く光ってるわ。

「これはキューちゃんの加護。なるほどね…」

それでセピア君の腕輪に勝てたのか。何しろ私達の腕輪には、三大神獣の加護が付いているのだ。



「セピア君、女好きもほどほどに。ショコラさんへの未練もほどほどにね。」

いつも私が抑えてあげられるわけじゃないんだから。


「…はい、アネさん。」

そしてセピア君はブラッキー君に引きずられるように退出したのだった。






中島みゆきの「化粧」から。

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― 新着の感想 ―
うーん、あまりにひどい奴。 なんか、腕輪がそのまま…とかひどいことを考えてしまいました。 こういう人は一生こんな感じなんでしょうけど、身近にいてほしくないですね。 出入り禁止にしたいくらいでは?レイカ…
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