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ブルーウォーター公国物語(続グランディ王国物語のそのまた続き)  作者: 雷鳥文庫


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見合って、発気よい。残ったのは好感触かもね。

 若い二人がホテルの中庭をゆっくり歩いて行く。

それを二階のレストランの窓から眺めながらゆっくりとお茶を飲むわたくし。

ああ、美味しいわ。

「レイカさん。あの二人良い感じですわね。」

ローリアさんがはしゃいでいる。

「ええ、そうですね。」

 

ネモさんはアンちゃんと何かを話している。

ウチの両親はメアリアンさんに呼ばれて行った。


「レイカさん。出来れば妻の相手をしてくださいませんか。久しぶりにお友達のレイカさんに会えて嬉しいのです。いつも娘の世話で大変なのですから。」

先程ネモさんに言われたのだ。


そうか。ローリアさんも息抜きが必要だな。


サマンサちゃんのピンクのワンピースが梅や桃の花の中に見え隠れする。

今、コートを羽織ったぞ。少し寒いんだな。

マーズさんは満面の笑みだ、にこにこしてとても楽しそうだ。

グレーのスーツが決まっている。コート着ないのか。

寒くないのか。

あ、ツッチー付けてるからか。そうかそうか。


「本当にこのまま、まとまってくれれば。

やはり貴族のお嬢様たちは面倒くさくって。」

ローリアさんがため息をつく。

「開口1番、どこに新居を建ててくださるんですの?とか、失礼ですかご収入はいくらですの?とか。」


「ええー?!そんな事言うんですね。」


「ネモがここの代表だからマーズも要職に就いてると思ってるらしくて。

凄く裕福な暮らしが出来ると思っていて。」

「はあ。」

「逆に仕事をしたくありません、社交も嫌です。とか言うお嬢様も。

いえ、もちろんそんなことは望んでませんけど。」

「そうですか。」

「あとは遠まわしの当て擦りや探りあい。確かにグランディの貴族社会ではそうでした。

ああ嫌だ、嫌だ。」


ストレス溜まってるな。


「それでもキューちゃんチェックをくぐって来たんですよね。」


「だから素で失礼なんですの。ウチには今、娘しかおりませんでしょ。だから後継ぎはマーグの息子になるのか、とか。

ウチの娘はリード様の王子様と結婚してここをおさめるのか、だとか。」

「ムカつきますね。」


「マーズ自身を見てくださる人がいいのですわ。」


「そのお嬢様たちのオーラはどうだったんですか?」

「私には見えませんでしたけどね。まあ悪くはなかった、という感じらしいですわ。

二人くらいはこれは、という人もいたらしいんですが、」

そこで紅茶を啜るローリアさん。

「わざと嫌な事を言って嫌われようとしてたらしいんです。他に好きな人がいたのに親が申し込んだんですね。」

あー、メリイさんの母親がそういう目にあったんだよね。

「その子達なら相手がいなければ話が進んでいたかもですね。でもそんな厄介な親がいるのもお断りですわ。

あとは、メリイさんやラーラさんに似せてきてるお嬢様もいましたわ。どこで漏れたんだか。」

うへえ。

毒を吐き続けるローリアさん。


「ま、多少難ありでもマーズが気に入れば良かったですが。その前にサマンサさんに会ってしまってましたからね。」


…ははは。


おや?ミノちゃんが来た。私を見て手を振ってるよ。

人力車を引いてる。

「まあ。マーズがこれからサマンサちゃんをどこぞに案内するみたい♡」

人力車デートか。

「流石にレイカさんのご親戚。UMAを見てもひるみませんのね。」

まあ見慣れているからねえ。

「UMAを恐れないこともマーズの相手の条件ですの。」

「なるほど。後はサマンサちゃんの気持ち次第ですね。」


サマンサちゃんとマーズさんがこちらを見た。

二人とも手を振って乗り込んで行く。

行ってらっしゃい。


そこにメアリアンさんとウチの親達も来た。

「私が見た感じ相性は良いですよ。

マーズさんはそこそこ苦労人の所もありますし、今まで恋愛が絡まないととても好人物でしたでしょ。

サマンサちゃんは少しファザコンのところがありますの。五つくらい年上のマーズさんはピッタリですわよ。」

「占い師様!そうですかあ!良かった。」

ネモさんが胸を撫で下ろしている。

「三度目の正直か。マーズさんは惚れると行動が早いからな。」

アンちゃんも頷く。


「でもね、メアリアンさん。マーズさんてメリイさんのあとはラーラさんだったでしょ。惚れっぽくないの?この後浮気されたりしないかしら。」

心配する母。


「うーん。大丈夫でしょう。マーズは私やマーグが相手を決めたから、自分も結婚したくなりました。

確かに焦ってる感じはありましたけど、一度相手を決めてしまえば揺るがないと思いますよ。

何しろ、ウチの親父は浮気三昧で母を苦しめた。

それを見て来てますからね。」


それに、ローリアさんの元夫もそうだ。

浮気をして、バレないように彼女を幽閉していた。

――ここに本人ローリアさんがいるから、みんなそれには触れないが。


「多分、エミューとダチョウの牧場に連れて行くんでしょうね。

きっとサマンサさんは行ったことないかと。」

ネモさんがニコニコしている。

「そして、マーグに紹介するんでしょう。」


何という外堀の埋め方か。

そういえばネモさんも仕事早くてフットワークも軽かった。

「帰りは責任持ってお送りしますから、ご心配なく。」


母がにこやかに、

「ありがとうございます。でも。

キューちゃああん!ついていってあげてね。

帰りはあなたが送ってくれるかしら。

うん、良い子ね!」


キュー。


キューちゃんは姿を消した。

「え、凄いですね。私が頼んでもここまではやってくれないかも。」

ネモさんの顔が引き攣っている。


「大丈夫、だれもエドワード様には勝てませんわ。

キューちゃんが1番好きなのはあの方ですもの。」


何か訳がわからない慰め方をする、母なのだった。



はっけよいと、はっきよい。どっち?と良く考えてました。はっきよいが正しいみたい?でも両方使うとか。

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