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第九話 女王

 図書館の中央の自動ドアを抜けると、無機質な廊下が現れる。

 研究所みたいだ。

 にしても、セキュリティこんなにゆるくて大丈夫なんだろうか。


「それで、どういったご用件で?」廊下に合わせたように無機質で事務的に変わった声色で尋ねてくる。

 さっきまでの柔らかな雰囲気は消え失せている。意外と食えない女だ。


「殲滅対象者リストと、『扉』の位置を確認しに来た」

「順位は」

「一位だ」

「といいますと」

「今は、女王ヘゲモネがいる可能性がいる。過去に現れたという女王ヘゲモネのデータが欲しい」

「しかし、なぜ?」

「詳しいこと言えない。が、疑わしい人物に接触した人物がいる」

「と、言うとヘゲモネがこちらに? それならば、上に報告したたけば」

「下手に動いて情報が漏れたら終わりだ。知ってる人間は少ないほうがいい」

「確かに。一理ありますね」


「こちらです」厳重なセキュリティを、パスカード三枚と指紋、虹彩、骨格認識で通る。こちらはしっかりしているようだ。部屋の中から案内役の女が二つのファイルを差し出す。

「こちらが、殲滅対象者リスト一位、女王ヘゲモネについての資料です。そしてこれが現在確認されている『扉』の位置になります」

「ずいぶんとデータがないんだな」殲滅対象者リストを見ながら言う。

「ええ。女王ヘゲモネが確認できたのは数千年前に一度だけ、それより前の記録は古すぎて残っておりませんし、その女王ヘゲモネは『扉』を作って、『地下』に閉じこもってしまいましたし」

「銀髪に赤い目。不思議な力を使う。か、まあいい。そもそもこっちにはあまり期待していない」そういいつつもう一つのファイルを開く。

「『扉』は、こんなに近くにあったのか」

「はい。何かわかりましたか」

「いや、また来る」

「かしこまりました」



 再び無機質な廊下を通り図書館に戻ると、姉崎が疲れた様子で立っていた。

「おっそーーーーーーーーーい! 何してたの? ちょーーーーーーーヒマだったんだから」声の大きさには配慮して、文句を言ってくる。

「本でも、読んでれば良かっただろ」

「私、本読んだことない」自慢げに姉崎が言う。嘘だろ。


 呆れた俺は何も言わずに出口にむかった。


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