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変質
夜も更けゆく表通り。
校門まであと僅かという所で摩耶は上空を振り仰いだ。
なんだろう、天頂へ向かって流れ星がぽつりぽつりと飛来する。
何事かが起きる前触れである事を知らせて摩耶の歩みを鈍らせる。
分かってはいる。言葉には出来ないがわかってはいるのだ。
行きたくはない、校庭には行きたくはない。
それでも校庭に行かなくては太一に会えない事も重々分かっても居る。
これまでの人生を噛みしめる様に一歩一歩校庭への道を踏みしめる摩耶は、一足毎に我が身がこの世ならぬ物に変貌してゆくのを感じていた。
ブラウスに袖を通す時の妙に爽やかさを感じさせるコットンの感触も遠くなる。
髪をかき上げる時に感じた女性であるという実感も、太一が愛した内腿の温もりも次第に遠のいて、背筋を這いあがる硬い熱だけが摩耶の身を校庭へと押し出す。
校舎の側面を回り込み、校庭を視界に捉えた摩耶は月明りに浮かぶ薄い霧の立ち込める校庭中央に朧な光を認める。
既に全身を筋肉の塊となした摩耶は、一面鱗に覆われた己が身をうねらせて太一が残した灯へと近づく。
「太一、どうして子供に会って行ってくれなかったの」




