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裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
22/186

テントも組上がり、夜営の準備が出来たところで、ルカ君が夕食を作ってくれた。

食べながら今日の反省会となった。


「ハヤト殿、このパーティーの評価はどうだ?」

「それは、リリィさんの仕事じゃないのか?部外者が口を出すと良いこと無いだろう。」


これ以上アレンとギスギスするのは面倒くさい。

積極的に仲良くなろうとは思わんが、わざわざケンカする必要も無いだろう。


「構わん、思ったことを言ってくれ。」

「まずは質問なんだが、このパーティーはいつも組んでるのか?」

「急造だ。ルカとシアは私が呼んできて、アレンとリンカは募集したら来てくれた。」


なるほど、どうなるか解らなかったから、バックアップだけは手厚くしておいたということか。


「わかった、パーティーとしてはダメだな。俺を含めて連携が最悪だ。急造チームなら多少は仕方ないが、アレンの暴走に全員が振り回され過ぎだ。」

「なんだと!!」

「アレン!すまんなハヤト殿、リンカはどう思う?」


リンカさんは話を振られて一度考えてから口を開く


「確かに、今日のアレンは動きがおかしいわね。普段ならもっと後を見て行動していると思うわ。ハヤトは、最初のフォローは助かったけど基本的に自分の役割以外は動いてくれないし。一番気になったのは、あのファイヤーボールね。」

「ッチ、あんなカスみたいなファイヤーボールで良く魔術が使えるなんて言えたな。」

「逆よ、中級魔術程度の威力だったわ。それに魔力コントロールが上手すぎる、あなた何者なの?」

「ハァ?あんな小さなファイヤーボールでか?」

「わざと小さくしてるのよ。皆見たでしょ、普通のファイヤーボールで、ワーウルフの頭は消し飛びません。」


魔力コントロールの上手さとかなんでわかるんだろう?

そういう技術があるのかな?


「俺の動きに関しては悪かった。どこまで手を出していいのかわからなかったんだ。次からはもっとフォローを入れるようにするよ。」

「大体私が思っていた事は出たな。ハヤト殿はもう少し指揮をとる立ち位置に行ってくれ。戦場が一番見えてる。アレンはもっと周りを見るように、Bランクに成れないのはそこが弱いからだ。リンカは焦って魔術の威力にばらつきがある。もっと味方を信じて落ち着け。こんな所か、反省会終わりだ、夜の必要事項を決めて明日に備えるとしよう。」


夜番の順番や、組み合わせを決めて、各自自由となった。

ちなみに組み合わせはリンカさんとシアちゃん、リリィさんとアレン、俺とルカ君、の三組になった。

武器の手入れもしなくていいし、自由時間にやることもなく、少し離れたところで1人で瞑想していると後ろから声が掛かった。


「あ・・・あの・・・す・・・少しいいでしゅ・・・か」

「どうぞ。」

隣にくるように促す。


「どうかしたか?」

「あ・・・アレン君のこと・・・嫌いにならないでください・・・ほ・・・本当は良い子・・・なん・・・です」


そんなこと言いにきたのか。

敵対心バリバリだったし、そう思われても仕方ないか。


「全然気にしてないから大丈夫だ。ところで、シアちゃんはアレンと付き合ってるのか?」

「ふぇ?・・・い・・・いえ・・・つ・・・付き合ってないでしゅ・・・」


あれ?そうだったのか。じゃあアレンの片思いか。


「シアちゃんと話してるとアレンがものすごい目で睨んでくるから、てっきりそうだと思ってた。」

「・・・わ・・・私を守ろうとしてくれてるんだと・・・思います」

「そうか、仲間思いなヤツなんだな。」

「・・・はい。あ・・・あと、その・・・ち・・・ちゃん付けなんですけど・・・」

「ダメだったか?ちゃんっぽかったから付けたんだけど・・・」

「い・・・いえ・・・ただ・・・私の方が年上だと・・・思い・・・ます」

「え?マジで?」


驚愕の事実である。

一緒くらいか、ちょっと下だと思ってた。

かなり童顔だな。


「・・・はい・・・そ・・・その・・・」


シアちゃんは言いにくそうに少し目が泳いでいる。

たぶん俺を信用して良いのか迷ってるんだろうな。


「無理に言わなくて良いよ」

「い・・・いえ・・・だ・・・大丈夫です・・・私は・・・魔族のハーフなん・・・です・・・」


・・・・・おや?想像以上にピンと来ない。

そもそもマリエルさんの説明の中に魔族って出てきたっけ?


「・・・や・・・やっぱり・・・気持ち悪いです・・・よね・・・つ・・・角とかも・・・あります・・・し」

「ごめん、あんまりピンと来なくて。ただ俺が言えることは、シアちゃんが極悪人じゃなければ、軽蔑しないってことかな。皆に慕われてるし、俺が気持ち悪がる理由はない。角は見えないし、関係ないでしょ。」

「あ・・・ありがとう・・・ごじゃ・・・ございます・・・あ・・あの・・・そ・・・それで私・・・60歳くらい・・・なん・・・です」

「・・・あぁ、そうなんだ。シアさんの方が良い?」


年下からちゃん付はやっぱり嫌なのかな?でもなんか妹っぽいんだよな。


「や・・・やっぱり・・・ちゃんで・・・いい・・・です」


結局シアちゃんになった。


就寝の時間になってしまったので、テントへと入っていく。

アレンにものすごい形相で睨まれたが、無視して寝る事にした。

夜番はアレンとリリィさんに代わり、俺とルカ君の番が回ってくる。

日が昇るまで、ルカ君と雑談しながら警戒する事にした。


「それにしてもハヤトさんすごく強かったんですね。体術も魔術もできてうらやましいです。僕に教えてくれませんか?」

「ルカ君は戦いたかったのか?」

「ルカで良いですよ。僕は騎士にあこがれてたんですが、スキルがこんなだったので、諦めたんです。それからリリィさんに拾ってもらってクランに入ったんですけど・・・」


暗い顔をするルカ


「待遇が悪いのか?」

「いえ、リリィさんはとてもよくしてくれます。」

「一部からのバッシングか。」

「はい、僕はやり返す事も出来なくて、強くなりたいんです。」


ルカは真剣な表情で、俺に縋りつくようにお願いしてくる。

教えることは出来るが、皆そんな力をルカに求めていないだろう。


「やり返す必要は無いだろう。リリィさんはそういうのが嫌いだろうし、守ってもらうのはダメなのか?ルカに求めているのは、そんな力じゃないだろう。」

「それじゃあさらに迷惑をかけてしまいます。せめて自分の事を守れないと。」

「・・・わかった。ただし一つだけで、戦闘ではなく、護身の技として教える。」

「ありがとうございます。」


とは言ったものの何を教えようか?空間魔術については今度フィーレに聞いてみよう。

今教えるとなると、柔術系の護身術か?いや、それは時間がかかり過ぎるな。

不意を衝く一撃が良いだろう。今後を考えて魔力コントロールを必須とすると、身体強化のコントロールだな。


「身体強化は使えるか?」

「はい、練習したので、多少は使えます。」


おぉ!これは良いじゃないか。使えなかったら時間がかかったが、使えるなら身体強化の習得を飛ばせる。


「大丈夫だ。それと魔力コントロールを練習しておけ。技自体は、今度見せてやる。」

「よろしくお願いします。」


ここにきて、なぜか弟子が出来てしまった。

少しの期間だろうし、問題ないだろう。

ルカに身体強化のコツと、魔力コントロールを練習させながら、朝を迎えた。

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