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裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
13/186

市場価格もわかったが、だいぶ金稼ぎしないと手甲は買えなさそうだ。


「レイラさん効率よく金を稼げるクエストってある?素材取ってきても買える気がしない。」


レイラさんははっとした表情をした。

あれ?もしかして金がないこと忘れてた感じ?


「失礼致しました。武器の代金に関しましては、2体以上狩ることが出来れば問題無いはずです。しかし、旅の用意を持っていない事を忘れておりました。」

「問題無い、来週リリィさんが帰ってきたら一緒にサラマンダーを狩りに行く約束をした。それまでに、旅支度を済ませたい。」


いつ帰ってくるかわからんが、最短で後5日くらいか。

旅支度ができてないので行けませんでは、笑い話にもならないな。


「それであれば余裕で間に合うかと思います。この辺りで、効率よく稼げる場所は、ゴブリンのいる森の中にある泉でしょうか?野生動物も魔物も水飲み場として使っていますので、色々な生物に会えます。」

「そこに行ってみるか、何が高く売れる?」

「なかなか会えませんが、フォレストバードと言う赤い鳥が高級食材として高く売れます。少し遠いので、行くのであれば急いだ方がいいです。今地図を書きますね。」


また手書きで地図を書いてくれるレイラさん。

人に厳しそうな見た目とは裏腹にめちゃくちゃ面倒見がいい。

何で周りから一歩おかれているのかわからない。

肩書きがダメなのかな?


「ありがとう。ちょっと走って行ってくる。」

「行ってらっしゃいませ。」


貰った地図を頼りに関所を抜け、草原を突っ切る。

疲れない程度の速度で走りながら、出てくるゴブリンをワンパンで仕留めていく。

もちろん魔石は回収している。

森に入っても速度を落とさずそのまま走り続ける。


「ぐきゃぁぁあぁー!!」


ゴブリンが奇声を上げながら枝から飛び降りてこん棒の一撃を放ってくる。

奇声のおかげでなんとか気が付き、回避することができた。


「危な!」

「げぎゃぎゃぎゃ!!」


避けられた事を怒っているのか、こん棒をブンブンと振り回す。

対峙してしまえば森に居ようが草原に居ようが同じゴブリンである。

こん棒をよけ、一撃で仕留められる。

その後、何度かゴブリンと遭遇したが、ゴブリン達も知恵を絞っているのだろう、木の影や木の上からの奇襲攻撃が基本みたいだった。

しかし攻撃するときはなぜか奇声を上げながら突っ込んでくるので、焦らなければたいした問題ではなった。


「そろそろ着いてもいいころなんだが・・・迷子になったか?」


さっきから同じ場所を走ってる気がする。

仕方なく地図に描かれている辺りをふらふらと彷徨っていると、水の音が聞こえてきた。

少し拓けた場所に、泉らしきモノがあり、鹿っぽい動物が水を飲んでいた。

ため息が出るほど幻想的な場所であり、日本なら確実にパワースポットとして特集が組まれているであろう光景が広がっていた。


「ここが泉で良いんだよな?」


あまり血生臭い事をしたくなくなるような光景にポツリと独り言が漏れる。

確かアリア王女が、土壌と水に恵まれたと言っていたが、この森もそういった場所の一つなのだろう。

この世界にはパワースポットのような癒し空間の観念は無いのだろうか?

しかし、狩り場として優秀であるのならば、ヤるしか無いだろう。

辺りを見回して見るが、水辺にも木の枝にもフォレストバードらしき鳥の姿はなかった。

気がつかれる前に、鹿だけでも狩ろうとゆっくり戦闘態勢に入り腰を深く落とす。

意を決してナイフを投擲、胴にささり、ひるんだ瞬間に飛び掛かり一撃。

たぶん食べられると思うので、血抜きのために、頸動脈を切り、ひっくり返して泉の下流側に漬けておく。


「これでいいんだろうか?吊るした方が良いのか?一般人はジビエの〆かたなんて知らないし、こんなもんで良いだろう。」


泉の周りにはこいつしかいなかったので、少し周りを見て回ろうかと動き出した時、森の中からハゲと愉快な仲間たちが現れた。


「やっと着いたぜ。」

「そおっすね。」

「なぜか迷ったしな。」

「来るのに疲れた。」


出会いたくないパーティーナンバーワンの方々とこんなところで遭遇するとは運がなさすぎる。

今すぐ逃げるにしても取った鹿がもったいない。

平和的に離脱して明日にしよう。


「おい、先客がいるぞ!」

「俺たちの狩場を使うとは、どこのどいつっすか?」

「あの舐めたガキみたいだ。」

「本当か?ふざけやがって!」


すごく絡む気満々できてるよ面倒くさい。

見つかってしっまったが、ギルドで借りてきた背負子に鹿を縛り付け、さっさと泉から離れようとする。


「おい!ガキ!どこへ行くんだ?」

「・・・帰るよ」


声がでかい、動物が逃げちゃうだろ。

「じゃあそいつも置いてきな、俺たちの狩場で取ったんだ、当然俺たちのもんだ!」

・・・すごいジャイアニズムが出てきたな。


「ヤダよ、自分で頑張れ。」


そう言って、ハゲ達から背を向け歩き出す。


「そうかい、じゃあ!」


ハゲは振りかぶって何かボールのような物を投げつけてくる。

飛んで来た物を手で弾くと、ボールは割れて中の液体が手にかかった。

なんだか甘い匂いがする。毒じゃないだろうな?

ハゲ達はニヤニヤと笑いながらこっちを見ている。


「さっさと行きなチキン野郎!」

「・・・」


手を洗いたいんだが、水辺を奴らが押さえてしまっているので諦めることにする。

さっさと帰って洗おう。

帰りも小走りで進むが、魔物を含め、野生動物にもやたら襲い掛かられる。

あのボールが原因か?

ゴブリンの奇襲、往路では遭わなかったやたら蹴りの強いウサギや、鹿、なんとフォレストバードまでもが襲い掛かってきた。

俺よりもでかい、2m前後の人型の魔物も何体か出てきた。


「ぶおおぉぉぉおおぉ!!」


でかい図体で突進こん棒の振り回し、パワーがあるが、攻撃はゴブリンと同じく単調で、身体強化を使えば一撃で仕留められた。

そんなこんなで襲ってきた魔物、動物はすべて返り討ちにし、王都へと戻った。


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