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裏方の勇者  作者: ゆき
召喚編
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リリィとの会話

訓練場を追い出されて、ギルドの二階へと場所を移す。

リリィさんは着替えて来るとかで更衣室に行っていて、今は一人で寂しくコーヒーを飲んでいる。

そこへ、いつかの筋肉ハゲと取り巻きパーティーがやって来た。


「よう!田舎のガキ!約束の稽古でもつけてやろうか?」


いつ約束したんだよ、気持ち悪い。


「あいにく俺は今は忙しい、暇ならゴブリンでも刈ってきたらどうだ?」

「わっはっは!ゴブリン程度相手にならんよ、ガキには丁度いいかも知れんがな!」


取り巻きも後でクスクス笑っている。

俺もワンパンなんだけどな。


「そうか、じゃあ丁度いい魔物の所にでも行っていてくれ、忙しいんだ。」

「こんな時間にコーヒー飲んでるんだ、忙しいわけないだろう!」


何で堂々と自分にも刺さる言葉を吐けるんだ?

コイツ確実に馬鹿だろ。


「因みに今、訓練場使えんぞ」

まぁ俺のせいだが・・・

「なんだと!? では外に行くぞ!」

だから何でやる気なんだよ・・・


「歩くのメンドイからやめとく。」

「キサマふざけてるのか?」


やっと気付いたか脳筋ハゲめ。


「待たせてすまない、ハヤト殿。」


やっと待ち人が来てくれた。

馬鹿から声の聞こえた方を向くとそこには、

軽鎧を脱ぎ、私服姿に戻ったリリィさんが立っていた。

ハゲ一味は、リリィさんを見た瞬間ピシッと気をつけをして直立不動になった。


「待っていない、想像以上に早かった。」

「そうか?そちらは知り合いか?」

「知らん、絡まれてただけだ。」

「成る程、すまないが私は、ハヤト殿に用がある。退いてもらえるか?」

「ハイ!わかりましたリリィさん。」


またもそそくさと退散していくハゲ一味。

俺の事は、めちゃくちゃ睨んでくるのに、強い人に弱すぎるだろ。

だんだん可愛く見えてくるな。


リリィさんはテーブルの向かい側に座る

そのタイミングでウエイトレスが注文を聞きにやってくる。


「ご注文はお決まりですか?」

「私にもコーヒーを」

「かしこまりました。」

「食べ物はいらないのか?」


腹減らないのか?少食?ダイエット中?

まぁいいや


「俺だけ食べていいか?」

「あぁ、かまわない」

「つまんで食べられる料理ってある?」

「サンドイッチはどうでしょうか?」


・・・え?

この世界サンドイッチ伯爵いるの?


「じゃあサンドイッチ、具材はおすすめで。」

「かしこまりました。」


注文を終え、リリィさんの方に向き直す。


「ハヤト殿、訓練場の修理の件だが、やはり半々でどうだろうか?私にも責任の一端がある。むしろ訓練の監督不足だと思うのだが。」

あまり何度も断るのも失礼か。


「解った。半々にしよう。ただ依頼を受けてもらって損をさせるのは面白くない、一個借りにしておく。俺の力で良ければいつでも貸そう。」

「あまりそういうのを貰っても困るんだが。」


特に思いつかないようで、考えるリリィさん

丁度いいタイミングでコーヒーとサンドイッチが運ばれてくる。


「思いついた時にでもパシリにしてくれればいい」

「そうだな」


会話も切れてしまったので、先ほど疑問に思った事を聞いてみる。


「お腹空かないのか?ダイエット中とか?」

「そうでも無いんだが・・・思いついた!借りの話だが、先ほどの模擬戦で見せたパンチについて教えてほしい。そのパンチのせいで今、気持ち悪い。食べたら吐きそうなんだ。流派の秘術で、話せないなら諦める。」

「・・・ごめん、あれ効いてたんだ。ケロッとしてたから失敗したと思ってた。技の名前は鎧通し。鎧に振動波を与えて、内部を攻撃する技術だ。」

「そんなモノが在ったとは」

「この技の本来の使い方は違う。出来た当初は、頭に打ち脳を破壊するモノだった。」

「殺人技にしてもエグイな」

「だから当てる場所が、頭蓋骨から鎧に変わっんだ。やり方教えようか?」

「いいのか?」

「広めないと約束してくれるのであれば、問題ない。」

「宜しく頼む、そして出来ればもう一度見たい。」


鎧通しの概要の説明とポイント、練習方法を伝授しているとレイラさんから声がかかる。


「すみません御二方、修理費が出ました、こちらです。」


修理費の明細の紙を渡される。

金貨6枚・・・高っ!


「レイラ殿、半分は私が持つことになった。後日、払いに来る」

「俺の方は、出世払いと手紙を付けて、あそこに請求してくれ。」

「わかりました。そのように手配します。」


そう言ってレイラさんは事務仕事に戻って行った。


「ハヤト殿、壊れた手甲はどうするつもりだ?」

「もともと相性が悪かったらしいし、近々サラマンダーを狩りに行く予定だ。」

「同行してもいいか?足手まといにはならんと思う。そこで鎧通しを見せてほしい。報酬は武器屋の紹介だ。気難しい男だがハヤト殿であれば作ってくれると思う。」


かなりいい取引だな、普通は裏がありそうだが、レイラさんが推薦するような人物だし、信頼できるだろう。


「・・・わかった。よろしく頼む。」

「ありがとう。私は明日から一週間ほど依頼で留守にするが、その後でも大丈夫か?」

「問題ない、もともと準備で数日はかかる予定だった。小銭でも稼いで待ってるよ。」

「決定だな。そこでなんだが・・・」


リリィさんが、少しもじもじしている。どうした?


「私からはあまり言わないんだが・・・」


・・・これはもしや告白か?


「私たちのクランに入る気はないか?」


・・・違ったな。


「リリィさんごめん、クランって何?」

「そこからか、クランはパーティーよりも規模の大きいいチームだ。その中で、パーティーを組んで依頼を受ける。うちは、50人ほどのチームで、王都のほかに二つ拠点がある。」

「なるほど。面白そうだが、俺は今そういうチームに入れないんだ。申し訳ない。」

「仕方ない。では、サラマンダーの件はよろしく頼む。」


リリィさんは少し残念そうに肩を落としてしまった。

そのまま今日はお開きとなった。



-宿の一室-


「クソッ!! なんだあのガキは!!会うたび俺たちをバカにしやがって!!」

「少し痛い目見せたほうがいいっすね。」

「ああ、あれは完全に大人をなめている。」

「二度と笑えないようにしてやる。」


実際は面倒くさいのとただの塩対応なのだが、そんな思いとは裏腹に怒りを積もらせてゆくハゲ一同。



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