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マギカ・バディ ―魔術とカバディが融合した、究極のノベルスポーツー   作者: 宇枝一夫
第二部  第二章 マギカ・バディ部 結成!!
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魔操室

 階段を上った三人の前には物々しい鋼鉄の扉が立ちふさがった。

「これが魔操室……ですか? なんかすごい頑丈そうな部屋ですね。まるで金庫みたい」


「有事の際にはね……魔操室だけ切り離して……空を飛んで脱出できるんだって」

 金剛の冗談を真に受けて、思わず龍一は”ええ!”と叫ぶ。


「はっはっは。本当のところは龍造先生しか知らないが、案外本当に空を飛ぶかもな」

 鳥居はスキャナーに学生証を通すが、『あかんてぇ~』の電子声が発せられた。


「だめだ……封印されているな」

「やっぱり、龍造先生がお亡くなりになったから……かな?」


 龍一はドアの横のパネルに気がついた。

「あの~こっちの、のぞき窓みたいなのはなんですか?」


「《主人》専用の、いわば網膜認識のパネルだ。覗くと網膜を認識して鍵を開けるんだ」

「それじゃあ試しに覗いてみます……これで『ドアを開ける』んですよね?」


「下手に覗くなよ。部外者が覗いたら拒否反応で攻撃を……って覗くんじゃない!」

 鳥居の叫び声に”ええ!”と龍一は慌ててパネルから顔を話す。

 同時にスピーカーから電子声が響いた。


『えりゃあ~さん(ご主人様)、いりゃあせぇ~! 合い言葉を言ってちょ~!』

「う……そ……だ」

 狼狽した鳥居は、思わず一歩後ろに下がった。


「龍一君すご~い……あ、そうか! 龍造先生の《後継者》だからかな?」

「でも、合い言葉って何ですか?」


「それは私たちにもわからない。龍造先生なら……だが」

「それじゃあもう一度覗いてみます。『合い言葉』と……『どこかに書いていないかな?』」

「龍一君、さすがに合い言葉は……覗いても書いていないと思うな」


「ん? 何か奥の画面に、『せいこちゃん、どえりゃあ(ものすごく)べっぴん(綺麗)だがね』って出てきました。”せいこ”って確か曾お婆ちゃんの名前だったような……?」

「そ、そんな……ばかな!」


 龍一の合い言葉に、『やっとかめだなも!(おひさしぶり!)』と電子声が叫び、鉄の板が音もなくゆっくりと開かれていった。


「まさか、龍一君の《命令》を聞いて合い言葉を……こ、こんなの、で、でたらめだ!」

「珠美ちゃん……現実を直視しようよ。さぁ、中に入ろう!」 


「こ、これがマギカ・バディの競技場ですか? すごい! サッカー場みたいだ。あ、観客席まである。入口が別にあるって、こういうことだったんですね」


 魔操室の窓から見下ろす、地下に造られたマギカ・バディ競技場。

 それはサッカースタジアムが丸々地下に潜った光景だった。


「龍一君というマスターがいるなら、私たちで設備のコントロールが出来そうだ。珠洲(すず)、とりあえずセットアップと、《魔回線(まかいせん)》を《マギカ・バディギルド》につないで、《神の眼》のバージョンアップや、競技規則や各種データのアップデートをしようか?」


 鳥居と金剛はオペレーター席に座り、3Dディスプレイを見ながら、ホログラムのキーボードで次々と命令を打ち込む。


「あの~さっきからギルドとか魔粒子とか魔回線とか……一体なんですか?」

「そうだな、アップデートに時間がかかるから説明しようか。マギカ・バディギルドとはいわばマギカ・バディの協会や連盟というモノだ。中世の頃存在した魔術遣いや魔術師の組合をギルドと言ったんだ。まぁその名残だ」


「あぁ、なるほど。ゲームで言う冒険者ギルドみたいなモノですね」

「魔粒子や魔回線は電気電子や光回線の魔術版だ。文字通り魔力で動いている。この競技場も一部電気が使われているが、ほとんどが魔力を魔粒子に変換して動いている」


「え? 魔力って人間から出来るんですよね? この競技場の魔力はどうやって?」

「《魔力鉱石(まりょくこうせき)》という魔力を宿した鉱石があってだな。これは産業革命時代に抽出方法が発明されたんだ。乱暴な言い方をすると石炭みたいなモノと思ってくれればいい。そして抽出した魔力で、《魔機関(まきかん)》、つまり石炭を燃やして駆動する蒸気機関みたいなモノをつくり出したんだ。それからの進化や発展は、この競技場を見ればわかるだろう?」


「その抽出した魔力って、人間には使えないんですか?」

「ゲームとかに出てくる《魔力ポーション》とかが正にそれだ。もっともこれは主に医療用でな。当然マギカ・バディで使うと反則になる」


「ひょっとして戦争に……?」

「術を使う者は緊急用に常備しているが、いくら魔力があろうとも術者の体は一般人と同じだ。拳銃は例え何千何百と弾があっても、撃てば撃つほど銃そのものが歪み、最後には暴発する。魔術遣いですら育てるのに十年単位の年月がかかるんだ。割に合わないさ」

 鳥居は両手を広げて、肩をすくめた。


「あとは道をはずれた魔術遣いが要人を暗殺する時ぐらいか。だが今では術を使えば《魔動衛星(まどうえいせい)》から魔力を感知される。漫画に出てくる凄腕のスナイパーを雇った方がまだましさ」


「そう言えば白鳥先輩が、ダイナマイトの発明は魔術の歴史を変えたとおっしゃっていましたが、そういう事だったんですね」

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