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マギカ・バディ ―魔術とカバディが融合した、究極のノベルスポーツー   作者: 宇枝一夫
第一部 第三章 VS 大凶魔學院 前半戦
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大凶魔學院 ファーストレイド

(その意気やよし! 最初に沈めてやる!)

 倉が己の体を射出し、アタックサークルの外へ出たと確認した目黒は、


『会長ぉ~~! 俺を護れ~!』

 目黒の叫びに甲斐はすぐさま反応した。

「【対物防壁!】」

 目黒の体のすぐ前に【対物防壁】の光の盾が展開される。


「かまわん! 防壁もろとも!」

 倉は目黒の顔面へ向けて拳を発射する。

 放たれた倉の拳は目黒のすぐ前の空間に展開された【対物防壁】の盾を直撃した。

「ぬうぅぅおおぉぉぉー!」

 拳に防壁の圧を感じた倉は、そのまま拳の先端に勢いよく力を注いだ。


”バァキィーン!!”


 防壁が破壊される音が辺りを切り裂く。

 しかし、防壁の向こう側には目黒の姿はなかった。

「しまった!」

 真後ろから襲いかかる”意”にすぐさま倉の体は反応し、本能的に横へとジャンプする。


「ありがとよ 防壁に気を取られてくれたおかげで、俺様の術は完了したぜ!」

 横に跳んだ倉の後ろから、己の体に術を施した目黒の声が後をついてくる。

 すぐさま倉は声へ向かって、後ろ回し蹴りから前回し蹴りのコンビネーションを目黒に浴びせ、目黒と相対する。


「あっぶね~。当たったらどうするんだよ。んじゃ、こっちもいかせてもらうぜ!」

「よくぞかわした! 次ははずさん!」


 互いに拳と蹴りをまじえる両ストライカー!

 闇雲に撃つマシンガンのような攻撃をする目黒。

 それを華麗にさばき、重い拳と蹴りを打ち込む倉。

 二つの暴風が喧嘩駒(けんかごま)のようにぶつかり、そしてはじき飛ばされる。


「なんだこいつは! 攻撃も防御も型もでたらめだ!」

「へっへっ! これぞ目黒流、でたらめ拳法よ!」

「よい! むしろそれこそ我が土俵!」


 両ストライカーはただ力任せに殴り、蹴り、受け、そして跳び、跳ばされる。

 跳ばされてもダウンするぎりぎりで踏ん張る目黒の奮闘ぶりに、観客席から、そして大凶魔のメンバーからも若干の動揺が浮かび上がる。


「……がんばれ! ……がんばれ!」

 龍堂学園応援席の竹ノ内が竹刀を握りしめながら念仏のように目黒を応援し、やがてそれは龍堂学園生徒や龍堂学園を応援する一般観客にまで伝わっていった。 


 しかし、昨日今日、マギカ・バディを始めた目黒と違い、倉は中学三年間戦い、しかも昨年度全国中学覇者のストライカーである。

 目黒の自称”でたらめ拳法”も動きが読まれ、拳や蹴りも難なくかわされ、逆に倉の重い攻撃を目黒は何とか受け止めていた。


「よくぞ我とここまで張り合った。後顧(こうこ)うれいなく一気に沈めてくれよう!」

 倉が渾身の拳を目黒の顔面に向けて発射する。

 しかし、目黒の顔はよけたり防御することもなく、まるで勝利を確信したかのように笑みを浮かべていた。


(なぜそんな顔をしている!? あきらめたのか? まだ試合は始まったばかりだぞ!)

 倉は目黒の顔を注視する。目黒の瞳は倉の肩越しの何かを見つめていた。

(後ろ!? ストライカーはこいつ一人のはず。後は……)


 倉の背中が逆立ち始める。

 危険な何かが自分の背中へ向かってくる! ……と倉の野生のカンが警報を鳴らす。

(しまっ!)

 拳を止め本能の赴くまま、再び倉の体はただ闇雲に横へと跳んだ。

 頬に熱い鉄の棒を当てられたような感触と共に、顔面の横を燃えさかる、光り輝く炎の鳥が勢いよく通り過ぎる!


「よくかわしました。さすが昨年度中学覇者のストライカーさんですね。極限まで詠唱の声は抑えたつもりですが、いや……ストライカーたる者が持つ本能ですかね?」

 頬に赤い線を刻み込まれた倉の眼が、炎の鳥を操る白鳥を捕らえる。 


”!”


 倉の足下の地面が爆発し、白鳥へ向かって一気に跳ぶ。

 その後ろを追撃する炎の鳥。

 しかしまるで背中や横に眼がついているかのように、追撃する炎の鳥を倉はかわし、徐々に白鳥との距離を縮めていった。


(こいつは台貴知高校戦においては自らの術で自爆したが、己の拳で沈めなくて何のストライカーか!)

 倉は白鳥との距離を詰めると背中を見せた。

「なんと!?」

「我が拳に【防御】! うおおぉぉ!」

 倉の右拳が炎の鳥に向かって放たれる。


”ドグォォォン!


 驚く白鳥の目の前で、炎の鳥は倉の拳によって爆発させられた。

 白鳥に向き直り、煙をまといながら咆吼をあげる倉。  

「この距離ならば、術を完成させる前に潰せる! 防壁を張ろうにも煙で甲斐から見えぬからな!」


 しかし、白鳥はあくまで冷静であった。

「賢明な御判断です。実は……私の鳥はもう一匹いるんですよ。しかもドローンみたいにホバリングができるのですよ」

 白鳥の背中から、一匹の炎の鳥が羽ばたきながら垂直に浮かんでくる。


「なにぃ!」

 マホガニーのステッキを倉に向ける白鳥。

 次の瞬間! 至近距離の倉の顔面に向けて、炎の鳥が超スピードで放たれた。

「ぐぁあ!」

 ”よける!”ただ一点の為に倉の全骨格、全神経、全筋肉は横に跳ね上がり、反対側の頬に熱い焼き印が刻み込まれる。


(速い! 先ほどとは!)

”ならば!”と、白鳥へ突っ込もうにも鋭角にターンする炎の鳥が邪魔をする。

「オラオラどうしたぁ!」

 そこへ体勢を立て直した目黒が倉を追撃する為、地面を蹴り上げ体を射出する。


(くっ! 我は敵の戦力を見定める役。脳筋馬鹿の相打ちで潰されては元も子もない……無念!)

 倉の眼は稲津にロックオンし、己の体を跳ばす。


「なるほど、稲津さんを盾にして私の炎の鳥から逃れるおつもりですね」

「真理! デッドエンドラインへ逃げろ!」

 向かってくる倉から逃げるように、稲津は慌ててデッドエンドラインへ駈けるが

「安心しろ! お主なんぞ眼中にない!」

「えっ!?」

 倉はサイドラインへ向けてジャンプすると、そのままサイドライン外の床に柔道の受け身のように片手をつき、前転して立ち上がった。


”ドグォォ~ン!”


 炎の鳥はサイドライン上に展開された《神の眼》の《絶対魔防壁》にぶつかり爆発すると、灰色の煙と化して消えていった。


『大凶魔學院、レイド失敗』


”や、やったぁ~!”と恐る恐る歓声を上げる龍堂学園応援席。

「……や、やるじゃん……り、龍堂学園」

「い、いやぁ……ま、まだわからんぜ」

 男子学生AとBも周りを気にしながら龍堂学園を称えた。

 しかし、それとは対照的に大凶魔派の観客は苦虫を噛み潰したような顔を浮かべていた。


「申し訳ありません夜長様。負傷退場どころかダウンさせることすらできず……」

 夜長に向かって倉が謝罪の礼を向けるが、むしろ夜長は笑みを浮かべた。

「負傷退場だのダウンだの、そんな小さきことに囚われているから不覚を取るのですよ」

「ははっ!」


 そして夜長は厳しい顔をメンバーに見せ、皆を鼓舞する。

「今一度、皆に申し上げます。我らの大義は完全勝利! その為に六人全員の意志を一つにし、完膚無きまでに龍堂学園を叩きつぶすのです!」

『『『『『御意!』』』』』

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