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マギカ・バディ ―魔術とカバディが融合した、究極のノベルスポーツー   作者: 宇枝一夫
第一部 第三章 VS 大凶魔學院 前半戦
29/115

試合開始!

 フィールド中央のセンターラインを挟んで向かい合う両校選手達。

 金剛の前には洞。鳥居の前には氷耶麻。稲津の前には火室。目黒の前には倉。白鳥の前には美月が向かい合った。

 そしてチームキャプテンである甲斐の前には夜長が立つ。


 競技場に入った両者の顔は一見、過去の想いや含みは消え去っており、純粋に相手を倒す競技者へと変貌していた。


『ただいまより、地区予選二回戦、大凶魔學院VS龍堂学園の試合を開始します』


『『よろしくお願いします!』』

 両校挨拶の後、コイントスが行われる。


『先行は大凶魔學院に決まりました』


『うおおおぉぉぉ~!』

 大凶魔派の歓声が一団と盛り上がる。

 それはまるで闘犬(とうけん)闘鶏(とうけい)に熱狂する観客のように……。


『大凶魔學院のレイダーは龍堂学園のアタックサークルへ……十……九……八』


 龍堂学園のアタックサークルに向かって、黒の胴着に白帯を締めた倉がける


 ――再び龍堂学園生徒会室。

「会長、大凶魔の攻撃パターンというか、攻撃する順番とかはどうなってるんだ?」

 生徒会室は、もはや目黒と甲斐の質疑応答の場と化していた。


「中等部時代はマギカ・バディのセオリー通り、先鋒はストライカーの倉君だったわ。それで相手の様子を見て攻め方を考えるわね。一回戦のビデオを見ても特に変わってはいなかったわ」

「ふ~ん。意外と堅実なんだな。もっとド派手に攻撃してくると思ったけどな」 


 しかし甲斐はやや声のトーンを落とす。

「でも、私たち龍堂学園に対しては違う戦い方をすると思うの。……考えられるのは私に【対魔防壁】、【対物防壁】を過度に展開させて魔力を消耗させ、その後、みんなを潰して、最後に私がなぶり殺しにされるシナリオね」

 自分に課せられるであろう死刑執行の様子を淡々と話す甲斐。


 そんな重い空気でも目黒の話し方は変わらなかった。

「でもよ、会長一人になった時ってレイドはどうするんだい? ディフェンダーって攻撃の術はないんだろ?」

「十秒以内に相手コートのアタックサークルに行かなければ、自動的にレイド権が相手チームに移るわ。いくら私でもレイダーになって大凶魔相手に一対多数の戦いは無謀すぎるから、アンティの時に一人ずつ潰すつもりよ」

 重い空気を持ち上げるかのように甲斐は明るく話す。


 一対六ではなく一対多数と表現したのは、精一杯戦うメンバーの気持ちに配慮した為か、甲斐の願望かはわからなかった。

 しかし、そうなった時の甲斐がどういう状態になっているかは、ここにいるメンバー全員が想像できていた――。


     ※

『大凶魔學院レイダーはカウントテン以内に攻撃を。十……九……』


 倉は両腕両拳に力を込め、脇と股を少し開き堅くそびえ立つ。

 まるでその姿が自分の型、構えであるかのように……。


 そして龍堂学園のシフトを確認する為、正面のデッドエンドラインぎりぎりに一人立つ金剛を見据える。

(正面のデッドエンドラインには魔女コスプレが一人。こいつは数あわせか【マギディ】要員だから、おそらく攻撃しようとすると台貴知高校戦のようにすぐさまライン外へ逃げるだろう。そんな腰抜けからの点数なんぞいらぬ!)


 次に白鳥と稲津がいる左のサイドライン側を見る。

(秘書コスプレも数あわせだが、あの白いタキシードはちょっとくせ者だな。秘書コスプレを攻撃しようとすると、すぐさま炎の魔術で攻撃してくるだろう。しかも自分は一歩も動かないからコート中央に誘ってからのライン越えはやりにくい)


 そして右のサイドライン側にいる目黒と鳥居へ顔を向ける。

(脳筋馬鹿のストライカーに”一応”術遣いの組み合わせか。例えストライカーを倒してサイドラインを超えようとも、術遣いが攻撃してくる訳か。なかなかどうして、かろうじて形にはなっているな。もっともこれは……)


 そして倉は、背中のセンターラインを一人で護る甲斐へと意識を向ける。

(甲斐の入れ知恵だろう。例え羊の集団でも狼が指揮をれば、羊が指揮する狼の集団を駆逐するという。もっとも、”裏切り者の一匹狼”の浅知恵がどこまで我々に通用するかだな……)


「ちょっと待て! 大凶魔の奴ら、倉に向かって【マギディ】を唱えてねぇぞ!」

 目黒の叫び通りに、大凶魔の他のメンバーはセンターラインのすぐ側に立ち、背中を向ける甲斐に向かって無言のプレッシャーを与えていた。


「おそらく我々相手に【マギディ】なんかもったいないってことだろう。さすが天下の大凶魔様だな!」

「くそっ! なめやがって!」

 鳥居の返答に目黒の体はより熱く沸き立っていた。


『三……二……一……』


『【防御】! 【加速】! 【跳躍】! 『我がこぶしの前に沈めぇ!』

 爆発するようにアタックサークルから飛び立とうとする倉!


 ……の右側にはすでに目黒が突進していた。

「うおおぉぉぉ!」

(こいつルールを知らないのか! いや、強化系の術を体にかけていない!? 生身で突っ込んで来たのか!)


 ――アンティがレイダーを攻撃できるのは、レイダーの体または唱えた術がアタックサークルを出るか、アタックサークルに入ってから十秒たってからである。

 もっとも、魔や術を唱えなければ、アタックサークルに入らない限り自コート内をいくら動き回ってもよい――。

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