エピローグ(第二部完)
生徒会室では、先日の須恵吉大附属との模擬試合での反省会が行われていた。
白鳥が書類を手に持ち、皆に説明する。
「昨年の須恵吉大付属について衣舞さんや蘭君に話しを聞いてみましたが、どうも一年生の時の衣舞さんが先輩に半ば脅迫されて、蘭君の汗を集めて使っていたみたいですね」
「え? それっていわば魔香水ですよね? でしたらゲートをくぐれないのでは?」
龍一が疑問に思い、白鳥に尋ねる。
「蘭君のは元々、汗ですからね。それでゲートをくぐれたんでしょう。もっとも当時の須恵吉大付属のレギュラーはかなりの力を持っていて、蘭君の汗もここぞという試合に使ったみたいです」
「どうやって《神の眼》にばれたんですか? それにその時の相手は?」
「……大凶魔學院の二年Aチームです。レギュラーがSチームですから、例えるなら二年の二軍チームですね」
龍一の質問に、白鳥は声を落として答える。
その名前を聞いたメンバーは、緊張の糸で全身を包まれた。
白鳥はみんなの顔を見渡した後、説明を続けた。
「しかしいくら魔香水を使っても、相手はあの大凶魔學院です。苦戦する中、須恵吉大付属にも焦りが……」
「そうか、自分の汗かぁ! 蘭の汗と自分の汗が違うから《神の眼》にばれたんだ!」
珍しく目黒が。的を射る答えを大声で叫んだ。
「やれやれ、講談師のように盛り上げようとした、私の演出が全てパァになりました」
白鳥は書類を放り投げると、肩をすくめ苦笑した。
※
生徒会室に一人佇む甲斐は、龍造の写真を見上げながら、心の中で龍造に語りかける。
(龍造先生、一度は廃部となったマギカ・バディ部を、龍一君が再び立ち上げてくれました。……そしてなにより、私みたいな不徳の者を、みんなは助けてくれるどころか、仲間として迎え入れてくれました……)
胸の奥から込みあげてくる感情が、甲斐のまぶたを潤す。
そこへ生徒会室のドアがノックされる。
「会長? いらっしゃいますか? そろそろ練習の時間です。他の先輩方は競技場でお待ちですよ」
声の主は龍一だった。
甲斐はかつて龍造と過ごした時以上の暖かいぬくもりを体の奥底から噴き上がらせ、ドアの向こうにいる《魔導男子》の声に答える。
「はい、部長! すぐ参ります!」
第二部 完




