納得のいかないこと
「熱中症? あれが?」
翌日、生徒たちが患わっていた原因について、保健室に入った時である。畝摘はいきり立った。そして保健医に詰め寄った。
「畝摘さん、落ち着いて。あなたが経穴を教えてくれたおかげで呼吸の緩和と脈拍を正常値に戻すことはできた。けれど」
「だって、あれは」
「けれど、いい? あなたはまだ学生だ。ドクターの基礎課程も経てない。独学の熱心さは認めるけれども、はっきり言って素人同然の君が首を突っ込むのは危険だ。今回のだって、あの混乱があったからこそ、『どこかのドクターが助言した』的な伝言ゲームが成立したようだから、各方面が協力しただけであって、処置ではない。そもそも医師法違反になりかねない」
「だったらアナムネがあったからって」
「いいかい? あなたの志の高さには敬意すら抱く。けれどもだ。アナムネが現出するからと言ってドクターと同等とは考えてはいけない。今はその志を胸に刻んで学力に邁進することだ。アナムネを駆使してきちんと医療に従事できる未来のためにね」
畝摘はわざと聞こえるように盛大に舌打ちをした。
納得がどうしてもできずに、村純に問い直しても似たような返答だった。