それは……
再びドアが開いた。入って来たのは波越だった。波越は淡々と歩いた。清瀬阿弥に並ぶと小さなため息をついた。政福氏はすでに倒れている。清瀬阿弥はスムーズな動きで片手で顔を覆うとその半分の皮膚をはいだ。出血はない。ありはしない。精巧で緻密な電気回路や小型の太陽光パネルが皮膚をはいだ半面にあるのだ。
モニターの画面には仮和と談笑する清瀬阿弥の姿が映っている。それをようやくちらりと見た政福氏は呼吸を止めた。体温を下げている政福氏は何も答えない。いや、その表情はどこか悦に浸るような印象さえある。
「あなたの望みは叶うのでしょ、政君。それなら、終わりがなければ、ね」
もう誰も答えはしない。隣の清瀬阿弥は波越からの命令がなければ動かなくなっている。部屋の一部が開くと人体模型のようなロボットが四体現れ、二人、正確に言うなら一人と一体のそばまで来た。波越は白衣からリモコンを取り出すと手慣れた様子でスイッチを押した。すると清瀬阿弥は電源が切れてしまった。比喩ではない。文字通り。二体のロボットは足を球体に変えると、清瀬阿弥を仰臥にして担ぐと元居た部屋、いや収納スペースに戻って行った。もう二体は政福氏を担いで行った。
一人残った管理室。モニターを見つめる波越は、ほっとしたような、困惑しているような複雑な表情で、
「後片付けは同級生が、か。仮和君、本当にあなたが言ったとおりになったわね」
そう言って、どこか決然とした表情に変えてモニターを切った。




