第27話 気配
「で?何の用だ?」
燃は部屋に入り、一応カギを閉めた。
「う〜ん・・・この話は夜にしたほうが良いと思わない?」
美樹は不適に笑いながら言った。
「何でだ?」
燃は不審に思いながら言った。
「だって、隠してるんでしょ?あの戦いとか。」
「ん・・・ああ。」
「だったら夜のほうが聞かれる心配もないし、いいんじゃない?」
美樹はそう言って指で燃を指した。
「まあ、確かにそうだな・・・」
燃は疑った目で美樹を見ながら言った。
「そういう訳でその話は寝る前にしましょ。それより今はお風呂に入んなきゃ。」
美樹はそう言って風呂に行く支度をし始めた。
SBクラスでは風呂に何時入るかは自由で、夕飯も何時食べても自由なのである。
「はいはい・・・じゃあ、俺は飯のほうに先に行ってくる。」
燃はそう言って部屋を出て行った。
「は〜い♪いってらっしゃい。」
燃は美樹の見送りの言葉を無視し、食堂へ向かった。
食堂は広く、自分で食券を購入し、食べるものを買うシステムになっている
「よう。」
後ろから声を掛けられ、燃は後ろを振り返ると、そこには洋子と健一がいた。
二人とも手には食べ物のっているトレーラーが握られていた。
「よう・・・」
燃は力なく答えた。
「はは・・・お前、元気ないな。大丈夫か?」
健一は笑いながらも心配した目で燃を見ていた。
「取り合えずなんか買って来い。ここの飯は安くて量が多いから結構いいぞ。」
健一は食券売り場の方を指差し、そう言った。
「わかった・・・」
燃はだらだらと食券売り場の方へ向かって行った。
「あいつ、何であんなに元気がないんだ?」
健一は不思議そうに洋子に聞いた。
「さあ?」
洋子は肩をすくめながらいった。
燃は食べ物を買い、健一達のいる席に座った。
「はあ・・・」
燃は大きなため息をついた。
「どうした?元気がないぞ?」
健一は燃に尋ねた。
「ああ・・・なんか俺、あいつ苦手だ・・・」
燃はハンバーグを食べながらいった。
「なんでだ?どこが苦手なんだ?」
健一は不思議そうに聞いた。
中原美樹は他の女の子とあまり変わらない・・・というか、かなり性格はいいはずである。
普通の男からすれば一緒の部屋になれただけで飛び上がって喜ぶはずである。
「何かなあ・・・普通の人なら気配で何となく何を考えてるのかが分かるんだけど、あいつはその気配がないんだ。だから不気味で・・・」
燃はブルッと身震いをした。
「気配が・・・無い?」
健一は深刻な顔をした。
「ああ・・・いや、まあ大したことじゃないんだ。気にしないでくれ。」
燃は無理やり笑顔を作った。
「まさか・・・あいつが・・・?」
健一は深刻な顔のままそう呟いた。
「健一?」
燃は嫌な予感がした。