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第87話:特区大掃除!空中を飛ぶモップの群れ(と、大気を摩擦熱で焼き尽くす広域静電化学消滅ミサイル)

「……エレン、聞こえる? 私たちの特区全体に敷設された光ファイバー通信網(第70話)および空中ロープウェイ(第48話)の金属配管に、乾燥した冬の季節特有の『静電気チリ』がかつてない規模で蓄積され、私の脳内QOLメーターが【不快指数:限界突破】のアラートを検知しているわ……」

「聞こえるわアリス。というか、共有されている私の大脳新皮質も、その微細なチリのせいで水晶サーバー(第70話)の静電ノイズが走り、せっかく自動配信されてくる『週刊シルバーストーン』の新作ページのデータ転送レートが15%も低下していることに、怒りのパルスを送信しているわ! 髪の毛一本、チリ一粒の妥協も許さないのが私たちのスローライフよ! アルド、イゾルデ、そして150名のバイトメンバー全員を、秒速で『空中大清掃作戦』へデリバリー(派遣)しなさい!」


シルバーストーンQOL巨大観光特区のリビング。

サラサラな常夏ドライ除湿コタツ(第65話仕様)で温かいハチミツホットミルクを啜りながら、銀髪の双子は、お庭番アルドの耳元のヘアピン受信機へ向かって冷酷かつお気楽な指令を飛ばしていた。


「ヘイヘイ、お嬢様方。今すぐ150名の『デバッガー&お掃除バイト(元強盗・騎士たち)』を動かしますぜ」

サウナハット(第51話仕様)を小粋に被り、真鍮の送信機(第41話仕様)で各チェックポイントへ指示を出すアルド。

その隣では、白銀の甲冑をスウェット(第81話仕様)に着替えた監察官イゾルデが、ツルツルの髪を揺らしながらフフンと鼻息を荒くしていた。


「アルド、甘えてはダメよ! 双子様から伝授された静電気学の基礎を復唱しなさい! 電位差をV、極板間距離をdとしたとき、一様な電場Eの空間分布方程式、および静電吸着における限界飽和電荷qのクーロン力Fの関係はこうよ!」


 E = V/d


 F = qE = q V/d


「(つまり、この巨大ライデン瓶(第35話仕様)に蓄積された数十万ボルトの静電気電荷を、空中ゴンドラのチタンワイヤーを通じて安全に『静電パタパタはたき』へ印加し、電場Eを最大化させることで、領内の配管に溜まったチリを一分子の漏れもなく物理的に吸引・中和するのよ!)」

「イゾルデ様、すっかりお嬢様方の理系脳(第62話)にハッキングされてやがる……。心配しねえでも、このアルド様の手にかかれば、150名の目隠し部隊(第70話仕様)が一糸乱れぬ動きでワイヤーを引いてみせるべ!」


今回のDIYの主役は、アリス(理論・設計担当)が設計し、エレン(実技・精密加工担当)がガラクタ置き場の真鍮とフカフカの羊毛フェルトで成形した、全幅3mを超える巨大な「空中大気清浄静電モップ」である。

これを空中ロープウェイ(第48話)のチタンワイヤーに吊り下げ、滑車の仕事の原理を用いてスササッとスライドさせる。


アリスの脳内3D-CADが、ワイヤーにかかる張力とスプリングの「応力分配ベクトル」を計算し、エレンの視界に直接AR投影する。一人が「滑車とワイヤーの応力管理(ソフト)」、一人が「魔導静電容量の最大化(ハード)」。

双子の超絶連携(デュアル・コア)によって、山頂からコンビナートを結ぶ空中に、巨大な「青白くバチバチと放電するモップの群れ」がセットされた。


「作戦開始(ライン・オン)よ! バイト諸君、全員『黒い目隠し(第70話仕様)』をガチ巻きしなさい! WEB回線(第70話)の自動パルス信号に脳波を同期させ、無言でロープを引くのよ!」

イゾルデの号令が飛ぶ。


150名の元強盗・元騎士のバイトメンバーたちは、全員が両目に不気味な黒い目隠しを巻き付け、

一切の言葉を発さず、

ただ耳元の受信機から流れる「ピッ、ポッ、パッ」というWEB回線の機械的な信号音(※ただの同期パルスです)に合わせて、

「スササッ……スササササッ!」

と、寸分の狂いもない阿吽の呼吸で、巨大なウインチ(巻き取り機)のロープを等速で引き始めた。


空中に張られた銀色の死線(ワイヤー)。

そこを、頭上のライデンコンデンサから数十万ボルトの電圧を印加され、

バチバチ、バリバリと不気味に青白く発光する巨大な円筒(※静電モップです)が、

大気中の塵やチリを、強烈な電場 E = V/d のクーロン力によって「ゴポポポポポポッ!!!」と一瞬で吸引・消滅させながら、

空中の索道を滑るように等速でスライドしていく。


それは、双子にとっては「ただの、ロープウェイ配管の静電気チリを掃除する、エコでハイテクなモップがけ」だったが、周囲の光景は完全に終末のビジョンであった。


その頃。

アストレア公爵領の統合プロセスの裏で、「シルバーストーン特区の気象兵器群」を極秘調査するために、国境の尾根の物陰から望遠鏡を覗いていた、他領の精鋭偵察部隊たち。


「「「ひ、ひぃぃぃっっっ!!!???」」」


全員が持っていた調査書を風に吹き飛ばし、その場に失禁しながら崩れ落ちた。

彼らの視界に映ったのは、

不気味な黒い目隠しをした150名の屈強な兵士たちが、

一切の言葉を発さず、

不気味な青い光のライン(※WEB回線です)に繋がれたまま、機械の歯車のように一糸乱れぬ不気味な動きで巨大なロープを引いている光景。


そして、その頭上の空中では、

バチバチと激しい青白い電撃(※静電気です)を放ちながら空間を引き裂き、

周囲の大気中の物質や塵を一瞬にして吸い寄せ、虚無の空間へと消滅(※お掃除吸着です)させながら、

空中の死線(ワイヤー)の上を、キィィィィン……という耳鳴りのような高周波音を響かせてスライドする、おぞましい巨大な円筒兵器(※ただのモップです)の群れ。


「お、おい……嘘だろ……。奴ら、ついに……」

偵察隊の隊長が、恐怖で全身の皮膚をガタガタと粟立たせながら絶叫した。


「見えない大気中の全魔力と空気分子を静電気力で強制吸引して中和し、一瞬にして周囲の大気そのものを消滅させて、全生物を窒息死させる、超広域静電化学消滅兵器――『デス・イレイザー・ネット』を起動しおった……!!!!! あの不気味な目隠しの『死の作業部隊(カルト)』は、一言も発さずに見えない糸で世界を窒息死させる、死神の使徒たちだ……!!!」


ただの「アルドの指揮の下、バイトたちが目隠しをしてWEB同期でロープウェイのモップを動かしている、微笑ましい大掃除風景」なのだが、他領の偵察部隊にとっては、一歩近づいた瞬間に大気ごと存在を消去される、最悪の環境破壊兵器にしか見えなかった。

あのバチバチ光る巨大な筒(モップ)が頭上を通り過ぎた瞬間、国は一秒で呼吸不全のデス・ゾーンへと還元される。


「お、お赦しください、大気を支配する双子の魔王様……! いや、その配下の死の目隠し部隊様……! 我々の領地の大気を……どうか消滅させないでくださいぃぃぃ!!!」


偵察隊30名は、戦う意志を1ミリも残さず、

全員が持っていた黒い目隠し(第70話仕様)を両目にガチガチに巻き付け、

太陽を直視しないようにしながら、

泥の上に何度も何度も頭を擦り付け、ひれ伏し、全力の号泣土下座を繰り返すのだった。


『エレン、そろそろいいわね。静電吸着の飽和電荷が限界値に達したわ。ライデン瓶のクラッチをパージしなさい』

『ラジャー、お姉ちゃん! 静電クラッチ、オフ!』


コタツからエレンが指先をピッ、と動かす。

次の瞬間、空中に張られたワイヤーの電圧が遮断され、バチバチと放電していた巨大モップは、

「スン……」と何事もなかったかのように動きを停止し、元の「フカフカの羊毛フェルトの塊」へと戻った。


「ふぃぃぃ……。お疲れ様でした、バイトの皆さん! 目隠しを外して、冷たいハチミツコーラ(第42話仕様)を飲むべ!」

アルドが拡声器で叫ぶと、150名のバイトたちが「おおおっ!」と目隠しを外して歓声を上げた。

「もう……本当に、この領地の掃除は規模が大きすぎるわね。でも、QOLデバッグ完了よ、アルド。モップ、回収!」

イゾルデもスウェットの袖で額の汗を拭いながら、ツルツルの髪を揺らして微笑んだ。


窓の向こう(※お部屋のコタツ)では、アリスとエレンが、コタツの中で冷たいハチミツミルクを啜りながら、

「「デバッグ完了ね、ハンス、彼らもお掃除ロボのメンテナンス班(バイト)として追加雇用しなさい」」

と、不敵に笑い合うのだった。

新章を迎えたシルバーストーン巨大観光特区には、目に見えない「極限の静電気学・力学技術」と、隣領の貴族や王都の役人たちを一瞬で恐怖のどん底に叩き落として完全屈服させる「大気を一瞬で消滅させる、恐るべき静電消滅兵器の噂」が、優しく、そして最高にお気楽に広がり続けるのだった。

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