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第81話:幻の炭酸泥を求めて!二人乗りタンデムチャリの怪(と、山脈を消滅させる超振動地殻粉砕戦車)

「……アリス様、エレン様。お言葉ですが、なぜアストレア公爵家の令嬢であり、シルバーストーン特区の特務監察官でもあるこのわたくしが、この破廉恥極まりない全身ピチピチの『ライダースーツ(第27話仕様)』に身を包み、この泥棒風情の男の背中を見つめながら、二人乗りの鉄の二輪車を漕ぎ回さねばならないのですか!?」

「「だって、私たちは今、お肌ツルツル石鹸(第40話仕様)に配合するための最高級ベントナイト(炭酸泥)が切れて、お肌のQOLアラートが鳴り響いてるんだもの!」」


コタツ(冷却送風ドライモード)の中で冷たいハチミツレモネードを啜りながら、双子が全く同じツルツルお肌を揺らしてハモるようにお気楽に告げた。

その手元には、新章の『週刊シルバーストーン』の最新プロットが握られている。


「おい、イゾルデ様、諦めて漕いでくだせえ。お嬢様方の『お肌のQOL』のためなら、我々デバッガーは世界の果てまでパシリにされるのが義務ってやつですぜ。さあ、巨獣の爪痕断崖(第66話)まで爆走だべ!」

「なっ、寄るなアルド! 貴様のその、温泉のニオイが染みついた背中にわたくしの胸が……ひゃあっ!? スピードが出すぎですわーーーっ!!」


ガチャン、カチャカチャカチャ!


アルドがペダルを踏み込んだ瞬間、エレンがDIYした「二人乗りタンデム・アクティブサスチャリ(シルバー・タンデム・エボリューション)」が、凄まじい加速で街道を滑り出した。


「いい、イゾルデ。アルド。双子様から脳内通信(第70話WEB回線)で共有された、質量移動のモーメントと振動工学の基礎を頭に叩き込みなさい!」


イゾルデの耳のヘアピン受信機から、アリスの冷静なレクチャーが直接脳内に響く。

このタンデムチャリの足回りには、第66話仕様の「超高圧アクティブサスペンション」が搭載されており、二人のペダリングによって油圧をリアルタイム自動制御する構造になっていた。


「サスペンションの減衰振動において、地盤の固有振動数 $f_n$ と、二人がペダルを漕ぐ周波数(ケイデンス)fpの共振ハックを行うのよ。系の固有振動数fnの公式はこれよ!」


 fn = 1/2π√k/m


(ここでサスペンションの剛性をk、あなたたち二人の質量をmとするわ! 悪路を等速で爆走するためには、ケイデンスを正確に 『120rpm』 に維持して、サスの超高速往復ストロークを発生させるのよ!)

「お、おのれ双子様……! なぜわたくしが『ハッ! セイ! ホー!』と奇声を上げながら、このピチピチジャージでペダルを回さねばならないのかは宇宙の謎ですが! 背に腹は代えられませんわ! ハッ! セイ! ホー!!」


イゾルデは涙目で、およそ令嬢とは思えない鋭いペダリングを繰り出す。

前方のアルドは、

「へへ、イゾルデ様、良いケイデンスだべ! 水晶ベアリング(第48話仕様)のキィィィンって音が、最高に脳を刺激して QOL が上がってきたべ!」

と、不気味な高音を響かせるハブを愛でながら、ガシガシとペダルをシンクロさせていた。


二人の漕ぐペダル運動がギヤを通じて油圧ポンプへと伝達され、チャリの足回りは、

「うご……うごうご……うごうごうごうご!!!」

と、凄まじいストローク(毎秒数百往復)で蠢きながら、どんな凸凹の悪路も完全にフラット(無振動)にしながら滑走し始めた。


その頃。

目的地である「巨獣の爪痕断崖」の谷底。

そこには、隣領から密かに侵入し、この不毛の断崖で「希少な魔法鉱石を密猟して一儲けしてやる!」と息巻いて待ち伏せしていた、密猟団と他領の斥候30名がいた。


彼らが、崖の上の街道を監視していた、その瞬間。


キキキキキキキキィィィィィィィィン……!!!!!


「な、なんだ!? 鼓膜を引きちぎるような、凄まじい金属の超高周波音(※ただの水晶ベアリングの音です)が聞こえるぞ……!」

密猟団のボスが、耳を塞ぎながら絶叫した。

彼らが崖の上を見上げた、その刹那。


「ハッ! セイ! ホー!」「うごうごうごうご!!!」


崖の絶壁を、

全身ピチピチの桜色の鎧(※ジャージです)を纏った銀髪の女戦士(イゾルデ)が、

奇怪な雄叫びを上げながら、不気味に超高速で四肢を「うごうご」と蠢かせるチタンの多脚(※サスペンションです)を備えた二輪車に跨り、

垂直に近い崖の斜面を、重力を無視して「等速無音」で滑り降りてくる怪物の姿。


さらに恐ろしいのは、そのチタンの多脚が地面を「ドゴゴゴゴゴゴ!」と超高速で等幅打撃(ストローク)した瞬間。

アリスの計算した「地盤の固有振動数fnとの共振ハック」により、

崖の風化の激しい脆弱な岩肌が、物理的な共鳴(液状化現象)を起こし、

「バラバラ、ドゴォォォォォン!!!」

と、大音響を立てて、山肌を丸ごと削り落とすような大崩落を引き起こした。


「ひ、ひぃぃぃっっっ!!!???」


密猟団のボスは、あまりの「超物理」の光景に、恐怖のあまりその場に失禁した。


「ま、間違いない……! あれはチタンの脚から大地の固有振動数(地脈)に直接超音波振動を叩き込み、いかなる強固な山岳要塞も、土台から液状化させて瞬時に崩壊・消滅させる、超振動地殻粉砕戦車――『ガイア・アースクエイク』だ……!!!!! あのピチピチジャージの悪魔の番人と泥棒隠密は、山を物理的に消し去りながら進軍してくるぞォォォ!!!」


ただの「エレンの油圧アクティブサスの共振機能による、悪路滑走と、脆い岩がちょっと崩れただけ」なのだが、密猟団にとっては、一瞬で地形を消滅させる、恐るべき環境破壊戦車にしか見えなかった。

あのバケモノ二輪車が、今まさに自分たちの方(※ただの崖下の炭酸泥の採掘エリアです)を向いて等速で滑り降りてくる。


「お、お赦しください、山脈を消し去る悪魔の番人様……! 我々を……どうか液状化して消滅させないでくださいぃぃぃ!!」


密猟団30名は、戦う意志を1ミクロンも残さず、

全員が持っていた武器を谷底へ投げ捨て、

崩落する岩煙の中で、失禁しながら地面に頭を何度も何度も擦り付け、全力の土下座をキメるのだった。


数分後。

崖下に「スサササッ」と完全無振動で着地したタンデムチャリ。


そこには、頭をサウナハットで覆ったアルドと、

「あ、あれ……? ただ炭酸泥を採掘しに来ただけなのですが、なぜ他領の密猟団が、泣き叫びながら全力土下座をしているのですか……?」

と、ピチピチジャージのまま小首を傾げているイゾルデの姿。


「へへ、イゾルデ様。これが特区の『お使い』でさぁ。さあ、このお宝(炭酸泥)を回収して、今夜はお屋敷の温泉(第30話)で極上の『炭酸泥パック』でととのうべ!」

「もう……、本当に、この領地はわけがわからないわ……。でも、お肌のQOLのために、早く泥を回収して戻りましょう……」


すっかり「特区のパシリ」に毒されたイゾルデは、ピチピチジャージを揺らしながら、ホクホク顔で泥をスコップで袋に詰めるのだった。


窓の向こう(※お部屋のコタツ)では、アリスとエレンが、

「「デバッグ完了ね、アルド。彼らもお掃除ロボのメンテナンス班(バイト)として追加雇用しなさい」」

と、不敵に笑い合いながら、ハチミツレモネードを飲むのだった。

新章を迎えたシルバーストーン特区には、目に見えない「極限の振動工学・力学技術」と、隣領の貴族や密猟団を一瞬で完全屈服させる「いかなる山岳要塞も液状化させて消滅させる、恐るべき超振動地殻粉砕戦車の噂」が、優しく、そして最高にお気楽に広がり続けるのだった。

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