10話 新規魔法
レイオットやヒイラが他の貴族と折衝を行っている間、私とレインはレイオットの屋敷で訓練を受けていた。レインは魔力の操作を、私は一定時間人化する魔法をそれぞれ習っていた。まずは朝食を済ませて
「あっ・・・あ」
「まだ発声までは出来ないようだね、それに耳と尻尾まだ出てるよペルさん」
ずいぶんレインも笑顔で話すようになったと思う。一緒に旅をし始めてもうじき1年がたつだろうか、出会った頃のボロボロさはバーンズ家の屋敷で過ごしているうちにずいぶん綺麗になった。やはり若さというのは良いものである。
「お前も人のこと言ってる場合じゃないぞ!レイン」
「ちょっと待ってロインさん!ほげっ!!」
ロインさん、最初にあった門番さんが今の私たちの教師をしてくれている。とゆうのも彼はもともと魔獣であり、今は人化の魔法を使って人として生活しているので私の教師にこれ以上ない適任だったのである。ちなみに、どうゆう経緯でバーンズ家に人としてお世話になっているのかは聞いてもはぐらかされてしまった。
「お前も人で言えば30歳くらいだろうに・・・すぐにへこたれる癖はなんとかしろ」
そう三十歳前後であるのだが・・・どうゆうわけか私が人化の魔法を使ってもどう見ても十歳前後の見た目にしかならないのである。もともと栗毛の私だが、人になれば茶色の髪を腰まで伸ばした幼女である。どうにか人化の魔法の精度を上げてより大人へと努力しているのであるが一向に上手くいかないのだ。
「あっ!戻っちゃった」
それに人化の魔法はそう長い時間は使えないのだ。試した感じ連続で3時間が限界で魔力もそこそこ消費する。現状人と取引する際にちょっと便利かもというくらいである。しかし、見た目が見た目なので果たして役に立つか疑問である。
いったん昼食をとってレインとは別れて町の教会へ向かう。ここの神父には私が聖女の馬であることを伝え、そのため高度な知性と回復魔法を使えると話してある。私は午後になると人助けと回復魔法の練習のため、もっぱら教会に入り浸っていた。
「ありがとう!お馬さん!神父さん!」
町の子供が遊んでいたらけがをしたらしく泣きながら教会に来たが、帰るころにはすっかりと元気になっている。この光景を見たらシルヴィアはきっとほめてくれただろう。
「聖馬様、今日の診察はここまでにしましょう。回復魔法、ずいぶんと上達しましたね」
『神父様の教えがよかったのですよ、今日もありがとうございました。』
聖女の馬で聖馬らしいが分かっていてもむずかゆい。神父に別れを告げてバーンズ家の屋敷に帰るとちょうどレイオットとヒイラも帰ってきたところであった。疲労のたまった表情の中に、わずかに喜びが隠し見える。
「今帰りましたよ、ペルちゃん。レイン君、ついにクレント族の入学に関する打ち合わせ終わりましたよ」
「ほんと、苦労したぜ・・・だが他のクレント族も今の境遇を抜け出すため受験してくるだろう。俺らは試験の結果まで支援してやることは出来ないからな。きちんと勉強しろよ」
「十分です!ありがとうございますヒイラ様、レイオット様」
「受験は今年の12月で今が10月・・・レインの年齢は分かんねぇから入学可能な12歳ってことにするとしてあと2カ月か・・・」
2か月・・・私もいつまでもこの町にとどまるわけにはいかないだろう。レインの受験を見届けて次の町へ向かわなければならないだろうし。きっとその時がレインとのお別れになるだろう。皆で夕食を囲みながらくだらない雑談をする。こんな日が一日でも長く続けばいいと思わずにはいられなかった。




