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百合小説【第64話】離婚の話、恋の話

「離婚について…?今までよく今まで籍残してたよね」


「小百合が高校まではって思ってたけど、小百合がそう言っちゃなぁ」


メールでは『ママと喧嘩して』と話していたが、最近では喧嘩してどうこうで済む話ではなくなりつつある。


「それで具体的には…?」


「資料の…」


ここからは次の試合に向けて説明する監督のように、淡々と別れた後のシナリオを説明されて、耳を傾けながら話し合った。そうこうしてるうちに12時を回ってしまい、終電が無くなる直前まで迫っている。


「こんな一筋縄じゃいかないものなんですかぁ…」


「んー相手が相手だから、悪手が出たとしても対応できるようにしなければならないから」


「小百合今日どうする?家泊まってっちゃえば」


「んー」


来客用の部屋も用意されているため泊まること自体は問題ない。家は今日帰るには難しいとして、ここからだと電車で30分、起きようと思えば無理にでも起きれるがここに泊まるのがベストなのか否。」


「ウチ泊まるさっちん?」


「そうしようかな」


多分、その一言を待ち望んでた。


「あ、けど終電」


「送ってこうか?」


「いいんですか!?わぁ!」


そうしてハンドルが左にある車に乗った。


「そういえば疑問に思ってたんですけど」


「んー?どうした?」


「なんでお母さん達に内緒にしてるんですか?」


「あーそれか、株を昔は部屋でやってて、けど家で『ギャンブルはやらないで』ってな。それもそうだし、茜が財布の紐を握ってて、そしたらブランドもんの服とかバックとか買い出してじぃじもばぁばも小百合もひもじい事になってよ。おかしいだろって言ったら逆上してきて」


「すごい家庭で育ったね…」


「だぁ途中から夜勤だどうだって設定にして、今に至るって感じかな。」


「て事はほとんどさっちゃんと」


「たまに家で会う位で関わり持ったのだって中2の冬からとかだと思う。」


「不思議…」


下道を走り、私たちは着くまで家庭環境の話をしながら30分とかからず嘉陽田さんの家に着いた。


「ごめんね急に呼んで」


「気にすんな、いずれ話すべき話だったから」


「おやすみなさ〜い」


家の前で私たちを下ろすと、車は夜道に消えていった。


「いい人じゃん」


「お父さんはね」


別れた後に、服の袖をキュッと引っ張り、手を手繰り寄せて細く柔らかい感触が伝う。


「久々な気がする」


「そう?ですか?」


数階しかないアパートをエレベーターに乗って上に昇る。目線が無くなったと感じたのか、嘉陽田さんさんが繋いでない方の手で腰を抱き覆い被さるようにして勢いよく顔を近づけてきた。


「早いです」


「ちぇ」


繋いでない方の手で嘉陽田さんの顔を抑えてその魂胆から逃れた。


「見られていいものじゃないんで、それに…」


「なぁに?」


「やっぱなんでもないです。」


「やっぱってなんだよ」


エレベーターが到着してエレベーターを出て嘉陽田さんの部屋に向かった。


「ただいまー!」


「お邪魔します」


玄関の前から少しずつ前の散らかった状態を取り戻しつつあり、嘉陽田さんか私が、それとも第三者か、誰がこの部屋を片付けるのかが気になる。


「はぁ〜疲れたぁ」


「はい、お疲れ様でした」


「ん!」


荷物を置いた途端、両手を下に広げ私に呼びかける。自分からは行わず、お互いの同意を得てからやろうとするあたり、距離感が掴め始めてきて偉いと親心を抱きつつあった。


「はい」


私から嘉陽田さんの方向に向かい、腕を絡めて抱き合った。胸元辺りに顔が行き、そこから伝わる心音がゆっくりになっていく。


「さっちゃんお疲れ」


「お疲れ様です、杏里ちゃん」


「名前呼びずるい」


「今日は頑張りましたね」


「小百合がいちばん頑張った」


「かもです」


少し離れて上から嘉陽田さんがかぶさって、今度は拒むことなく唇を重ねた。


「お風呂借りてもいいですか?」


「私も入る!」


「シャワーだけです」


「一緒に入る!」


「…手は出さないでください」


「信用ないなぁその辺」


「今までの嘉陽田さんの行いです」


「杏里って呼んで」


日付は変わり、学園祭の2日目が始まる。


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