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百合小説【第21話】影井小百合の服選び①

カーテン越しの光陽に照らされて、重たい瞼を開ける。

嘉陽田さんさんの家で迎える2回目の朝、ベットの脇に落ちているケータイを開くと、時刻は12時を指していた。

「起きた?」

「あー…はい。おはようございまヴェ」

「いいか!ら!」

丸まっていた布団の上から足で蹴飛ばされ、着ぐるみを剥がされる。慌てて起きたものの、布団は嘉陽田さんの手元にわたりベランダへ持ってかれる。そのシルエットは、干す以外の別の、匂いを嗅いでいる動作が含まれている。素面でその絵面を見ると中々に気持ちが悪い気ような微笑ましいような気持ちが混在する。

「今日はァ!空いているかあぁぁぁぁ!!!」

「…」

この流れは出かける形になりそうだ。

「およ服買おう」

「替えの服持ってなくて…」

「と言われると思って!洗濯中です!」

洗濯…洗剤と間違えて洗髪剤を入れてそうで怖い。そんなことを気にしながら制服以外持ち合わせの服がないことに気がつく。

「したら着る服」

「クックック…ウチの服を貸してあげましょう」

「あの…下着…」

「…」

「ノーブラで行こうよ先輩!」

「殺しますよ本当に」

痛いところに刺してくる。本来先輩だったはずなのに、年下の同級生にからかわれる構図はどうにかならないのか。

「けど服は貸せるよ」

「身長差考えたことあります?」

私と嘉陽田さんの身長差は15cm程ある。

「大丈夫だって!私に任せてみんじゃい!」

といい、引き出しに閉まってある嘉陽田さんの服でファッションショーが始まった。

さすが女優ということだろうか、素人目でも分かるほど鮮やかで配色が良く、触り心地が良い服ばかりがある。

途中からおふざけが始まり、昔SNSで話題になっていた童帝を殺すセーターまで着せられた。なぜ持っているのか疑問に思う。

「あ、ちょ、これマジでやばい見てこれ」

スマホを慌てて取り出して室内で撮影会が始まるも、被写体として映るのは私は好きでは無く、自分の顔を見るのが特に無理である。

「消してください」

「ぷぇ」

私の目の前でその画像は消してもらった。多分これで画像は…あるかもしれないがそれ以上は言及しないでおこう。

「…あの」

「ん?」

嘉陽田さんに自分から片付けさせる方法は何かと考えた。普通にやっても聞かないことは目に見えているし、子供のように接した方がいいのか。悩んだ挙句、幼児教育の特集でやっていた方法を思い出し試してみることにした

「あぁぁ杏里ちゃん、服はどこに片付けるの?」

「ここ!」

「じゃあ、片付けてみよっか」

「うん!」

花歌を歌い揚々と散乱した服を片付け始めた。嘘だと言って欲しい。今自分のやった行為を恥じて、今にも死にたくなる。結果的にはいいのかもしれないが、どうすれば良いか分からないこの葛藤に悩まされる。

出先で着る分の服は残し、先程着てた服も全てしまうことが出来た。

下着は嘉陽田さんの新品のショーツを借りることにした。少し緩めだが履く分には問題ない。

「これ」

「なんで持ってるんですか」

彼女の手にはニップルと書いてある袋があった。

「モデルやった時に貰って余ってるから…あとこのサイズだとテーピングしておいた方がいいかも?」

胸ー支えるようにテーピングを巻いてもらった。確かに負担は和らいだような気がする。ズボラで管理かずさんなに、知識は私より遥かに多い。まるで人間版の辞典のよう。

「さて行きますかぁ」

服を着て、裾直しを軽く行ってもらい、10分足らずでメイクもしてもらった。この時点で別物の人間のように感じる。

「分かりました…でどこ行くんですか?」

「んー…渋谷?」

「ヒィ…」

「大丈夫大丈夫ウチついてるから」

人が多い言うだけで目眩がする。アニメや同人誌の即売会など行く機会が雑踏の中にいるだけでも神経を使う。

「そういう問題じゃなくて…人怖い…」

「したら越谷行く?」

「あぁ…のが人少ないですかね…」

比較と言えど越谷も越谷で人は多いような気もするが、渋谷に比べればそうでも無い。

「行ってみよー!おー!」

休日に久しぶりの外出。玄関の鍵を閉めて、嘉陽田さんと手を繋ぎ越谷に向かった。

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