大魔王グザノフ・ダール
初投稿です。お手柔らかに・・・
ダール朝魔王国
イスペント大陸東に位置し、その面積はインドシナ半島ほど”だった”
遡る事約1200年前
ソシエド・コルゴンと言う高い頭脳を持ち、魔族からは賢者と呼ばれていた魔族がいた。
彼は、人族と魔族の対立を減らすためにまだ未開拓だったサザル半島とその一部に国を設立し、世界中に散らばる魔族を集めて暮らすことで、人族と魔族の対立と魔族にる人族襲撃を無くそうと考えた。
その案はほぼすべての魔族が同調し、ソシエド・コルゴンを魔王とする魔王国が建国された。
しかしソシエド・コルゴンは配偶者を持たず、生涯独身を貫いたために彼の死後、少しだけ国内が荒れた。
その結果一部の魔族が魔王国から逃げ出し、再び人族に危害を加え始めたのである。
最終的に魔王の後継者はクリセント・ダールがその座につき、コルゴン朝からダール朝へと変わった。
特に争うことなく、後継者はその強大なパワーから神に最も近づいた魔族と呼ばれるグザノフ・ダールが魔王の座を受け継いだのである。
そんな魔王国だが、順調ではなかった。
ソシエド・コルゴンの死後、魔族の一部が人族の国へと流れたことで、人族の王は魔族が協定を破ったとして非難した。そこへリース教が教会権威を維持するために十字軍を立ち上げ、魔王国へと攻撃を始めることになるのだった・・・
その結果としてダール朝が始まって以来、定期的に人族の攻撃を受け、広かった領土は縮小の一途をたどり、魔王国はだんだん手も足も出なくなっていた。
このことに対して大魔王グザノフ・ダールは責任を感じていた。すべてはソシエド・コルゴンの無責任さが招いた結果であるのに・・・
グザノフが大魔王と呼ばれるのにはいくつか理由がある。
元々戦闘に長けており、十字軍と対峙した時には1人で1個軍団を吹き飛ばし、宮廷魔術師レベルの魔法使いを何人も殺してきたとされている。魔王となってからは、戦争の出費による財政難を抱えながらも国民の為の政策を打ち出し、戦争ばかりであった国民の生活を楽にした。それもあっていつしか大魔王と呼ばれるようになった。
グザノフは劣勢である状況を何とかしようと、普段本を読まないのに図書館により、過去の文献を調べたりするも全く手掛かりは無かった。
しかし彼は思い出す。かつて幻の魔法と呼ばれる召喚魔法を使用して召喚した異国の勇者と戦ったことを・・・
グザノフは家臣を集める。
一人娘であり、後継者候補でもあるラニア・ダール。第一軍団長のコルシカ。第二軍団長のイシウ。第三軍団長兼内務大臣のエリウム。そして執事のクルート。
彼らが執務室に集められた時には、机の上に遺書が置かれてあるだけで、彼らは遺書を見るまで状況を把握できなかった。
唯一状況を知っていたのは執事のクルート。
大魔王グザノフは神によって選ばれた救世主を召喚するために召喚魔法を使用し、力尽きた。
そう告げられた彼らは驚愕した。大魔王と呼ばれた男の最後。それは壮絶なものだった。
神に自らの命を差し出し、命と引き換えに救世主を召喚する。
ラニアはそんな親に尊敬より軽蔑が勝ってしまった。
救世主は何処に居るのか?ラニア以外の者達にも同じ疑問が残った。
「はい。こちらが召喚された”モノ”になります」
執事のクルートが取り出したのは1枚の布切れ。
質の良い布を使っているのかかなり耐久力は高そうだ。
広げてみると真っ白な背景に、赤い丸が描かれたものだった。
しかし彼らにこれが何なのか説明できるものはまだ居なかった・・・
■
「ウオオオォォォォォォォォ!!!」
怪物のような雄たけびを上げながら魔法陣に魔力を注入するグザノフは段々と意識が遠のくのを感じる。
大魔王グザノフよ・・・そなたはどのような救世主を求める・・・
謎の声にグザノフは答える。
そうだな・・・とても強くて人族を跳ね飛ばせる能力を持ったものだ。だがそれだけでは何も解決しない。双方が穏便に解決できる能力も持ってほしい・・・
そうか・・・お主は贅沢だな・・・
いいだろう・・・別に・・・
長らく衰退の一途を辿る我が国に、太陽のような光を浴びせてくれるような人物がいいかもなぁ・・・
そう言って大魔王グザノフはこの世を去るのだった・・・
■
「大魔王グザノフ、お主の勇気を讃えよう・・・」
目の前に現れた白いひげを生やし、仙人のような見た目をした老人がグザノフに手を差し出す。
「あ、貴方は?」
「人に頼みごとをしておいてなんじゃその物言いは」
そう・・・目の前の仙人のような老人こそ、この世界の神であるリースである。
「貴方がリース様ですか・・・という事は?」
「あぁ、しっかりとお主の願い。叶えてやったぞ」
そう言うとグザノフの手を引き、椅子へと座らせる。フカフカしており、非常に座り心地の良いものだった。
「君の魔力は膨大じゃった」
「まぁ・・・」
そう言いながらリースはワインを開ける。ワイングラスに深い紫の液体を注ぎ、それをグザノフの分まで用意する。
「まあ、奴らには儂も少し頭にきておった。儂の名前を利用して罪のない魔族を迫害するなど儂が悪人のようではないか」
「えぇ」
「そこでお主の希望通り召喚した。国を」
「ん?今なんと?」
グザノフは訳が分からず聞き返す
「だから国だと言っておる。ただ強い奴を召喚するなど面白みもない。どうじゃ?ここから魔王国と召喚した国の末路を眺めないか?」
その要求にグザノフはニヤリと笑う。
勿論。喜んで───




