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事件の前兆

 ― 一週間後 草原地区 ―


 アサヒ「ヤベェ、山削っちゃった。」


 俺は光輝弾の開発の為にこの1週間、いつもより朝早く起きて学校の敷地内にある草原地区へ来ていた。


 ミドリ「意外に速く完成したわね。」


 シュン「次は光輝弾を今の状態より更に大きくする特訓だな。」


 アサヒ「OK」


 実は新技の開発にはミドリとシュンにも協力してもらっていた。ミドリはまた事故ってもいいように回復係として付き合ってもらっている。シュンは吹き飛んだ両腕を拾って処分してもらっている。黒兎が吹き飛んだ俺の両腕を回収、そしてミドリの不死鳥が用意した焚き火で俺の両腕を焼却処分する流れになっている。ちなみにミドリは俺の両腕を完全に消し炭にする為にキャンプファイヤーみたいな焚き火を作っていた。


 シュン「しかし良かったのか?アキナを連れて来ないで?」


 ミドリ「そうよ。せっかく付いて行きたいって言ってたのに。」


 アサヒ「駄目に決まってるだろ。あいつに何度も俺の両腕が吹っ飛ばされるところなんて見せたくないよ。」


 俺は自分の両手を見てこの一週間を思い出した。光輝弾を作る度に何度も両腕が吹き飛んだ。そしてその度にミドリとシュンはゲラゲラ笑っていた。


 ―――――――――


 ドォオオオン!!


 シュン「また失敗したな」


 ミドリ「これで何回目よ。こんなに両腕吹き飛ばしていたら、もう光輝弾よりも先にロケットパンチが出来るようになるんじゃない?」


 シュン「そうだなw」


 ミドリ・シュン「アハハハハ!!」


 アサヒ「ふざけてないで両腕治してーー!!」


 ――――――――


 いやぁ〜付き合ってもらっているとはいえ、少しは心配してくれてもいいじゃん。血も涙ねぇのかよ。アキナとトモエが女神様に見えて来たわ。


 ミドリ「さて、キャンプファイヤー級の焚き火を片付けたし帰りましょう。」


 シュン「そうだな。アサヒ、いつも通り旭道で俺達を担いで学校まで頼んだぞ。」


 アサヒ「あ!悪りぃ…疲れたから旭道はしばらく使えないわ。」


 ミドリ・シュン「は?」


 アサヒ「いやーもうすぐ光輝弾完成するから張り切って体力使い切っちゃった!」


 俺は笑顔で答えた時、ミドリとシュンに怒りのダブルラリアットを受けた。


 アサヒ「グハッ」


 俺は膝から崩れ落ちるように倒れた。


 ミドリ「わあああー!どうするのよ!」


 シュン「クソッ時間が無い!完全に遅刻だ!」


 シュンとミドリが慌てているが俺には悔いはない。何故なら新技を完成させたからな!


 アサヒ「諦めるしかないなぁ」


 俺はニヤニヤ笑って二人の慌てっぷりを見ていた。両腕吹き飛ばしたところを笑った報いを受けろ!


 ミドリ「く、ムカつくわね。冗談じゃないわ。私は優等生キャラになるって決めてるのよ。」


 アサヒ「前はお眠りキャラって言ってなかったっけ?」


 ミドリ「今思いついた。」


 シュン「仕方がない…秘密兵器を出すか。」


 シュンは黒兎の口から本を出した。


 アサヒ・ミドリ「これは、SUKEBE本!!」


 俺とミドリは驚いていた。まさかシュンがこんな本を手に入れていたなんて。


 シュン「もしもの為の交渉材料だ。これで遅刻を帳消しにする!!」


 ミドリ「流石、一年二組の頭脳ね!頼りになるわ!!」


 アサヒ「よっしゃあ!これでスケベジジィに怒られなくて済むぞ!!」


 シュン「むしろ喜ぶかもな」


 アサヒ・シュン・ミドリ「アハハハハ!!」





 しかしシュンの交渉は虚しく、スケベジジィから遅刻で怒られてスケベ本は没収されました。



 ― 体育館裏 ―


 アサヒ「ヒャッホウ!」


 俺はあの忌々しい木刀をぶん回している。光輝弾の開発の時にやった妖量のコントロールのおかげで今では木刀が軽く感じる。


 ヒマリ「いやぁ元気だねー」


 アサヒ「ヒマリ?」


 ヒマリがドアからニコニコしながら覗いていた。


 ヒマリ「アキナじゃなくてごめんねー。」


 ヒマリが外に出て来て階段に座った。


 アサヒ「ヒマリが俺に話しかけてくるとは珍しいな。何かあったのか?」


 俺は階段に木刀を置いてヒマリの隣に座った。


 ヒマリ「実はね、アサヒに頼みたい事があるの。一緒にマカナの家に来て欲しいの。」


 アサヒ「マカナの家に?どうして?」


 ヒマリ「マカナがね、アサヒと札取りした次の日から一週間ずっと休んでるの。何かあったのかもしれないから、今日の放課後に皆で様子を見に行こうかなって思って。」


 アサヒ「俺達一年二組を連れて来たら逆効果で嫌がるだろ」


 ヒマリ「そんな事ないよ?だってマカナのスマホにアサヒの和風バニーの写真を送ったら悔しいけど可愛いって返信来たよ。」


 アサヒ「はぁ!?何してんのお前!!ふざけんなよ!!」


 俺はブチギレだが、ヒマリはニコニコしていた。


 ヒマリ「いいじゃん。アサヒは可愛いんだから、もっと女の子の服着た方がいいよー。」


 アサヒ「お前、可愛い顔してえげつない事言ってるぞ…」


 俺は呆れてため息をついた。こいつってとんでもなく腹黒いんじゃないか?


 ヒマリ「話が逸れちゃったね。確かに一年一組だけでいいかなって思ったけど、やっぱり皆で来た方がマカナは嬉しいかなって。ほら、こんなに多くの人があなたを心配してたんだよアピールだよ。だいたいの人はこれで堕ちるよ。」


 アサヒ「そうかねー」


 俺は疑うような目でヒマリを見た。


 ヒマリ「そうだよー」


 ヒマリは穏やかな声で答えた。


 アサヒ「分かった、付き合うよ。マカナに一週間休ませたの俺が原因だしね。」


 ヒマリ「ありがとー。じゃあシュンとミドリを誘っておいてね。強制はしないからー。そ・れ・と」


 ヒマリが急に俺の耳元に自分の口を近づけて囁いて来た。


 ヒマリ「愛しのアキナもいるよ」


 アサヒ「な!何で知ってんだよ!!」


 ヒマリ「札取りの前にアキナから頭撫で撫でして貰って幸せな顔してたからね。誰だって分かるよ。大丈夫、アキナだけは知らないから。」


 ヒマリはニシシと笑いながら立ち上がって体育館の中へ戻っていった。


 アサヒ「それってつまりアキナ以外は知ってるって事!?恥ずかしいんだけど!!」



 ― 放課後 マカナの屋敷前 ―


 高い堀があるから中は見えないが、屋根だけ見ても和風の豪邸である事が分かるし、敷地が広いことも分かる。あと凄い数の防犯カメラが至るところにある。

 今屋敷の門の前に一年一組と一年二組がマカナ以外全員集合している。


 アサヒ「ヤクザみたいな屋敷だな」


 ミネコ「そんな怖い事言わないで下さい。余計怖くなります…」


 ミネコがプルプル震えて泣きそうになっている。ヒマリから聞いたがこいつは本当は鷲宮家が怖くて行きたくなかったが、仲間外れが嫌なので勇気を出して来たらしい。


 アサヒ「あ、ごめん」


 ミネコ「うぅ」


 アキナ「大丈夫だよミネコちゃん!何かあったら私が守るから!」


 恐怖で泣きそうになるミネコをアキナが励ます。


 ミネコ「本当ですか?」


 アキナ「うん!どんな奴が来てもやっつけるよ!」


 アサヒ「いや、マカナを励ましに来ただけだからやっつける場面は無いだろ…」


 ヒマリ「それじゃあー行くよー」


 ヒマリがインターホンに人差し指を近づけた。


 ピンポンピンポンピンポンピンポンピンポンピンポン


 アカリ「ちょっと待てー!!押しすぎよあんたー!!」


 アカリがヒマリを押さえつけた。


 ヒマリ「ごめーん。なんか連打したくなっちゃてー」


 アカリ「ふざけるのも大概にしなさいよ!!」


 シュン「やばいな…絶対怒られる。」


 ミドリ「どうする?逃げちゃう?」


 アサヒ「それもうただのピンポンダッシュだろ。」


 アキナ「ミネコちゃん!?ミネコちゃん!?」


 アキナが突然ミネコの名を叫んだ。俺達はアキナの方を見たら、ミネコが泡を吹いて気絶していた。

 トモエはミネコの脈を測って、アキナが四つん這いで頭を下げてショックを受けていた。だが俺にはふざけてるようにしか見えなかった。


 トモエ「ショック死ね…」


 アキナ「そんな…何かあったら私が守るからって約束したのに…」


 アサヒ「その台詞、この場面で使うところじゃ無いと思う。」


 シュン「何も反応が無いな…」


 シュンが違和感を感じてインターホンを鳴らすが屋敷は静かだった。


 ミドリ「不気味ね。まるで幽霊屋敷みたいな静けさだわ。」


 アサヒ「そうだな、何か嫌な予感がする。堀に登って様子を見てくる。」


 アカリ「あ!あんたバレないようにしなさいよ!」


 アサヒ「分かってるよ!」


 監視カメラがあるが、お構い無しにひとっ飛びで堀に立った。そしたら信じられない光景が広がっていた。俺はすぐ下に降りてアカリに近づいた。


 アカリ「ちょっと!バレないようにって言ったでしょ!!」


 アサヒ「死んでる…」


 アカリ「え?」


 アサヒ「沢山の死体が…転がってる…」

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