24話 治癒の神フナブ
お待たせ致しました
少し短めですがよろしくお願いします
「わぁ…ここがフナブ様の神殿……人がいっぱい」
「いつ来ても他の神殿とは一線を画す神殿だよねぇ〜。慣れないなぁ」
フナブの神殿は街の中心に一際大きく作られていた。ほかの建物を見下ろし街を見守る様に建つ神殿は、商業区画の建物よろしく人々が出入りをしている。魔法車でも悠々と通過できる大きな入口を抜けると、吹き抜けになった内部が視界に飛び込んでくる。どうやら下層は街の憩いの場所になっているようだ。レストランや服屋、露店など大小様々な店がずらりと本棚に並ぶ本のように所狭しと軒を構えている。
「フナリスに来たらまず神殿に向かえばいいって言われてるくらいここには街中の店が出店しているんだよ」
ロアは自慢げに話す。確かに街のどの場所よりも人が集まり各々の時間を過ごしている。観光に来たであろう人はまずは建物の中心に設置された魔法で動く階段に驚き、次に入った店で魔法を駆使した店に驚くであろう。この建物はどこもかしこも魔法じかけなのだ。グレンデルももれなくその一人。上層を見上げた顔が下がらない。
「フレイおじさんの神殿とは随分雰囲気が違うね。なんて言うかとっても賑やか」
「神殿はその街の人が神をどういう風に信仰してるかと神が人々とどう付き合っていくかが色濃く出るもんだ。この街はフナブを中心に大きく発展した。神殿がこうなるのも当然と言えば当然なのかもな。しっかしいつ来ても慣れねぇ景色だな」
グレンデルの隣を歩くサリスはポケットに手を突っ込みスタスタと階段へと向かう。店には興味なしといった様子。
それに着いていくように歩くグレンデルの手を先程まで店を眺めていたリューシュが握る。
「あ、リューシュ。どこ行ってたの?」
「ちょっとお店見てきたんだよ~!そんな事よりグレンデルちゃん!あそこでモコシュ売ってたよ!!買いに行こう!?買いに行くよね!!」
「え?モコシュ!?」
あっという間にでグレンデルを連れ去られてしまいサリスとロア、ベルコが取り残されてしまった。
「あんたも苦労が耐えないわね…」
「分かってくれるか」
「可愛らしくていいじゃない」
ベルコにも心当たりがあるのか二人とも頭に手を当てため息を大きくついた。それを見てロアは微笑んだ。
神殿は最上階にあった。最上階にたどり着いた途端に見えてくるのは人間の為とは到底思えない緑色の大きな扉。しかし神殿と言うにはあまりにも質素な扉だった。一同は扉を見上げ各々思いの丈を呟く。
長時間階段に立っている間にグレンデルはモコシュを食べ切ってしまった。それほど最上階までは遠かった。
「グレンデルちゃん、神様に会いに行くからお口拭こうね~」
「うん」
いつの間にかグレンデルの口拭きが慣れた作業になってきたリューシュはニコニコとハンカチでグレンデルの口を拭く。
「この先にフナブが居るのよね」
緊張した面持ちでベルコはロアに聞く。
「居るわよ~。昨日のこと少し怒ってるみたいだから何されるか…怖い怖い」
ロアはふわふわとベルコの隣を飛び肩をすくめ茶化す。
「まぁ、大反省会だな」
「んー、私も少し怖いなぁ」
リューシュの愚痴りを横目にロアは扉に近づく。
「フナブ様!ただいま!!みんな連れてきたわよ!」
まるで自宅に帰るように扉の前で大声を上げるとギギギ……とゆっくりと扉が開き出す。
ゆっくりと見えてきたのは巨大な石造りの椅子に深々と座っている細身の老人。人間の2倍ほどある体に、頭髪は白く、緑色のローブを纏い、椅子の肘置きに載せた腕に支えられた痩せた顔は眉間にシワが寄り、何やら不機嫌さが伝わってくる風体だった。
「わぁ、あのひとがフナブ様……」
グレンデルにとって二柱目の神は初めてフレイ会った時とは違い既に顕現している。治癒の属性主フナブ。気難しい神だと聞くがその姿は体の大きさ以外は痩せた老人という印象だった。
「あぁ、ロアおかえり。そして君が昨日の一件の主犯か」
フナブはグレンデルの方にゆっくりと目をやる。
ん?とグレンデルは首を傾げた。
「こっちの少女は初めて会うようだな」
そのままベルコの方も向きを目合わせた。
あの、とベルコも声を出そうとするが
「「フナブ様。逆だよ!こっちがグレンデルちゃんでこっちがベルコだよ」」
ロアとロコの息ぴったりの声にかき消された。
「あぁ、申し訳ない。逆かこっちがグレンデルでこっちがベルコかなるほど」
「ちょっと怖いけど仲良くなれそうかも」
グレンデルはボソッと独り言。
ふむ。と椅子に座り直したフナブは頷いた後言った。
「儂は治癒の属性主フナブ。昨日はこの街を救ってくれてありがとう。そしてこの街を破壊しようとした事には少し怒ってる。それ相応の礼とそれ相応の罰を与えねばならんが一度に来るとは思わなんだ。さてどうしたものか」
「それに関しては少し提案があるんだ」
サリスは相変わらず神の前でもポケットに手を突っ込みフナブに歩み寄ると提案を開始する。
「礼はグレンデルに恩恵を与えてやってくれ。罰は罰とは言えないかもしれないがベルコの保護観察所。これでどうだ」
サリスの言葉を聞き、思いもしないタイミングで恩恵を貰えるかもしれないグレンデルは喜びから微笑み、杖をキュッと両手で握り、面倒なことになりそうなベルコはあからさまに嫌な顔をしていた。




