INTERMISSION-III - talking about the mysterious guy -
※当作品は発行元である株式会社ポニーキャニオン(ぽにきゃんBOOKS)に許諾のもと、掲載を行っております。
「ハァ…」
「どうしたの美尾?」
「え、別に」
「元気ないよーみおちん。なにか悩み事?」
「なんでもないったら」
バスターポリス中枢区スクエアガーデン。
私たちはスリーエレメンツは、トリガーアニー事件の事情聴取と事後処理を終え、ブロードウェイ1番通りのカフェで反省会をしていた。まぁ、反省会というよりは、季節限定のパフェを食べにきただけという感じもしなくはないけれど。
「…今回の事件では私たちの弱点が浮き彫りになりましたわね」
「そうだねー、って、どこ?」
「わからないのヒカル?フレイムテイルの移動が遅いのと、爆発に弱いって部分ですわ」
「あー、そういえばこの前も爆発で炎の牢獄解いてたよね」
「というか、炎の牢獄をしたら後はもう包囲するだけでいいのに、なんで炎の中に入るんですの?」
「……ハァ……」
「ねぇ、聞いてますの美尾!?」
「へっ!?聞いてる!聞いてるよ!次の作戦のことだよね!?」
「違いますわ。…もう。いつもなら美尾が仕切るのに、今日はどうしたんですの?さっきからずっと上の空ですわ」
「ごめんごめん!ちゃんと聞いてるから!」
「さっきから36回もため息ついたりして、どう考えても様子がおかしいですわ」
「ゆきっぺ数えてたの!?すごいねー!」
「い、いや、ホントに何でもないってば」
「眠いの?みおちん」
「いや、眠くない眠くない!全然!」
「でもみおちん、なんかすごいフワフワしてるよ。まるで好きな人のことでも考えてるみたいな」
「うふふふ、冗談ですわヒカル。美尾にかぎってまさか♪」
「…へっ?あ、ごめん、なんだっけ」
「……まさか、そのまさかなんですの…?」
「ん?なんの話?」
「ねぇ美尾、あなた、もしかして、誰かに恋してるんじゃありませんこと?」
「は!?はぁ!?えっと…はぁ!?!?」
「ちちがいちがい違うし!ゼンッッ然!もう全然そんなことないし!」
「…なんてことですの、図星なんですわね」
「わぁーーーー誰誰!?誰が好きなの!?」
「だから違うって言ってるでしょおお!」
「よし、じゃあ美尾、私の質問に全部『いいえ』で答えてもらえるかしら?」
「え…い、いいけど…」
「『美尾の好きな人は…』」
「『アクアマグナムである』」
「いいえ」
「『ダンディサンディである』」
「いいえ」
「『マイティマッスルである』」
「いいえ」
ボウッ!
「うわぁみおちん!ポニーテイルの火抑えて!すごい燃えてる!お店火事になるよ!」
「え?きゃああ!」
「…マイティマッスルが好きなんですわね」
「ち…ちが…」
ボンッ!
「ゆきっぺ!それ以上はダメだよ!お店が燃えちゃう!」
「そうね、とりあえずこうしておきましょう。絶対零度【コールドタッチ】!」
「おお、氷のパラソル…これならみおちんが燃えても氷が溶けて消火できるね」
「さて、美尾、詳しい話を聞かせてもらおうかしら」
「べ、別に…詳しいことって言われても…」
「じゃあ、いつからなんですの?」
「えっと…最初に助けられたとき…かな」
「最初に助けられたのって、先月だっけ?」
「ええ。先月の、ギフト犯罪者との逮捕劇の時ですわね。私たちの体が半分石化して、絶体絶命の時に現れたのがマイティマッスルでしたわ」
「か、かっこよかったよねぇ…」
(…ゆきっぺ、みおちんがなんかお花畑背負ってるんだけど、あれどうやるの?)
(ヒカル、あれはね、恋に落ちなければ出来ない技ですのよ)
「でも美尾、もしマイティマッスルの覆面の下がモッサモサのゴリラみたいなのだったらどうするんですの?」
「ゴ…ゴリラみたいなんかじゃないわよ!」
「覆面の下、どんなんだろうねー」
「…二人とも、見た目とかそんなのどうでもいいじゃない。人を見た目で判断するなんて、失礼だわ」
「…まぁ、それもそうですわね」
「それに、マイティ様はハリウッドスターみたいな顔に違いないんだから」
「…ん?」
「え?」
「…い…いや、なんでもありませんわ。なんていうか、恋は盲目ですわね…」
「えーでも、わたしマイティマッスルってちょっとオカマっぽい気がするんだけどなぁ」
「なにを根拠にそんなこと言うの!?」
「いや、ちょっとしたことなんだけど、たまにちょっと内股っぽいっていうか、女の子走りみたいな感じになってる気がしたんだけど、気のせいかな」
「そんなことしてたかしら…?」
「してない!してないに決まってるじゃない!もう!なんなの二人とも!マイティ様はそんなんじゃないんだから!」
「実は女だったりして?」
「あはは!さすがにそれは有り得ませんわ!どんなゴリラ女ですの!?」
「も~~~!違うって言ってるでしょお!」
ボーンッ!
「うおお!みおちん!抑えて!」
「氷のパラソルが…!大変、このままじゃお店が火事になってしまいますわ…!」
…………。
「ふぅ、あぶないとこだったね…」
「まったく、冗談の通じない子ですわ」
「ご、ごめん……」
「でも…どうやったらまた会えるんだろ…」
「非公認ヒーローだし、ヒーロー庁に聞いてもわからないかもしれませんわね」
「なんで非公認なんだろ。あんなに強いし、いつも正義のために戦ってるのに…」
「リアルな話でいうと、もしかしたら元々は犯罪者で、組織を裏切って正義のヒーローをやってるとか、ありそうな話ですわね」
「そ、そんな…」
「それにあのあり得ないギフト能力。もしかしたら、最近世間を騒がせてる改造人間のギフト犯罪者の一人かもしれませんわね」
「で、でも……」
「…そう、そして喋らないのはきっと、すっごいオネエっぽい喋り方だからだよ」
「………」
「あーーーー!ごめんウソウソ!みおちん熱い熱い熱いって!」
「ヒカルがすごく私のことを考えてくれてるから、ちょっと抱きしめたくなってしまったわぁー。うふふ」
「あちちちちち!焦げる焦げる!」
………。
「でも、ほんとに何者なのかしらね」
「じゃあ今度マイティマッスルに会ったらさ、あたし追いかけてみるよ!」
「だ、ダメよそんなの!プライバシーの侵害だわ」
「でも、どこの誰だかわかったらいつでも会えるようになるんじゃない?」
「それは…そうかもしれないけど…」
「………」
「……でもやっぱりダメ!そんなのちっともロマンチックじゃないもの!謎が多いから素敵なんじゃない!」
(ええ~…なにそれ)
(ヒカル、恋する女の子はちょっとアホになるものなのよ)
「聞こえてるわよ、ゆき」
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