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大勢の前で婚約破棄を言い渡されましたが、それは幸せへの道の第一歩でした  作者: 明衣令央


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第15話・告白


 翌日、何事もなかったかのように普段通りの顔をして、リカルドはアリアを迎えに来てくれた。


 リカルドが普段通りなのは、自分を気遣っての事かもしれないが、アリアの中ではすでに一つの答えが出ており、あとはそれを彼に伝えるだけだった。




『今日はロザリンド様の館に行く前に、私に少しだけ時間をくださいませんか?』




 用意していたノートを見せてリカルドにお願いすると、リカルドは少し驚いたようだった。




「もしかして、昨日の返事をくれる、とか?」




 こくり、とアリアは頷いた。


 リカルドはまた驚いたようだったが、一呼吸後には頷いてくれた。




 リカルドはアリアを、最初に連れてきてくれた湖まで、連れてきてくれた。


 この場所はアリアのお気に入りの場所だった。


 最近はアリアがロザリンドの館で手伝いをしており、リカルドも忙しくしていたため、二人がこの場所を訪れたのは、久しぶりだった。




 声が出ないため、彼に気持ちを伝えるために、アリアは短い手紙を書いてきた。




「これを、僕に?」




 手紙を差し出すと、リカルドは少し緊張した表情になったが、手紙を受け取ってくれた。




「今、ここで読んでもいいかな」




 アリアが頷くと、リカルドはアリアの目の前で手紙の封を切る。


 手紙には、




『私はリカルド様が好きです。どうか、お側に居させてください』




 とだけ綴っていた。


 最初、アリアは自分に自信がない不安な気持ちを書こうかとも思ったが、リカルドを好きだという気持ちさえあれば、そんな事は不要だと考え直したのだ。


 今後、ずっと自分に自信が持てないままだとしても、少しでも愛する人に似合う女性になれるように、努力していきたい。




「アリア……ありがとう、とても、嬉しい……」




 リカルドは頬を赤くさせ、嬉しそうに緑の目を細める。


 手を伸ばす彼に、アリアは同じように手を伸ばした。


 リカルドはアリアの手を取ると、引き寄せて抱き締めた。


 そして、彼女の顎をくいと上げると、白い喉に口付ける。


 リカルドの突然の行動に、驚いたアリアが身をよじると、




「ごめん、少し大人しくして」




 と言い、再び喉に口付け、そこで何かを唱えている。


 アリアはリカルドの行動に全身を朱に染めていたが、震えながらも大人しくリカルドに身を任せていた。




「いい子だね、アリア」




 耳元で囁くように言ったリカルドは、何かを口に含むと、アリアの唇を塞いだ。


 とろりとした甘い液体が口の中に広がる。


 それは、ロザリンドが作ってくれた薬の味に良く似ていたが、それよりももっと甘い気もした。




「リカルド様っ……」




 唇が離れた時、アリアはリカルドの名前を呼び――違和感に気付く。




「私、声が……」




「ああ、可愛くて綺麗な声だね。君が僕の名前を呼んでくれるのが、とても嬉しい。幸せだ」




 リカルドは緑の目を優しく細めて、アリアを見つめていた。




「リカルド様……」




 アリアが驚いたのと安心したのでぽろりと涙を溢すと、リカルドはアリアを引き寄せ、優しく抱き締めてくれる。


 アリアもリカルドの背中に腕を廻し、彼を抱きしめ返した。




「私も、幸せです。私、リカルド様が好きです。私で良ければ、ずっとお側に居させてください……。私は、あなたを愛しています……」




「もちろんだ、アリア。ずっと側に居てほしい。僕も、君を愛してる……」




 互いにもう一度告白しあった二人は、見つめあい幸せそうに微笑み合った。




「あの……私の声が出るようになったのは、先程、何かをしてくださったのですか?」




 声が出る前に、アリアは喉にリカルドの口付けを受けた。


 それから口移しで何かを飲まされて……顔を赤くしてリカルドを見上げると、彼も同じように顔を赤くして、あぁ、と頷いた。




「少し前に、大ばば様から、喉の呪いを解く方法を聞いたんだ。喉にまじないと、それから術者がすぐに薬を飲ませればいいとね。だからその……驚かせてすまなかった……」




「は、はい……」




「本当は、すぐにしてあげようかとも思ったのだけど、好きでもない男に触れられるのは嫌かもしれないと思ってしまって……すまない……」




「あの、大丈夫です。お気遣い、ありがとうございます」




 確かに喉を治すためとはいえ、リカルド以外に口付けられたくなかった。


 アリアは自分を気遣うリカルドに感動した。


 彼は素晴らしい男性だと思う。改めて彼に相応しい女性になりたいと思った。


 そして、彼のために自分にできる事はないだろうかと考え、声が出るようになったら彼のために歌おうと思っていた事を思い出す。




「あの、リカルド様……」




「なんだい、アリア」




「あの、歌を……歌ってもいいですか?」




「もちろん、もちろんさ!」




 リカルドは嬉しそうに笑った。


 まるで子供のように笑う彼を愛しげに見つめ、アリアは頷く。


 そして思いきり息を吸い込み、高らかに歌った。



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