帝との謁見〜その2〜
「ふむ。」帝がしばらく考えていると。
「櫻子。其方、この者を養子にせい。」ぴっと私を指差し勅命を出してきた。
「待ってください!いきなり、中学生の親など‥。」私が無礼とかそんなこと考えずに発言してしまった。かよは、絶対帝都の社で神事を行う巫女になると思っていた。そうなったら自由がないので少し甘やかしていたが、預かると育てるは違う。
「なぜだ?其方は、妊娠を理由に縁談を断っていると聞いているぞ。」帝が言う。痛いところつくな。
「そう言って断ると「二人だけでいいので」と甘い言葉を囁きながら、本当は神辺の旨みしかわかっておらず、其方と結婚し、親族を領主にしようと画策する輩が多いと。そう嘆いているとそば仕えが教えてくれたが‥。」さらに痛いところをつく。
「まっ待ってください!私にも春が来て子を成して領地を託すかもしれませっんよ!」声が上ずる。
「ほう、そのような者がおるのか?長年一緒にいた田中か?あの者だったら朕も祝福しよう。」ほほほと帝が笑う。田中とはヒロのことだ。
なんだ?このヒロとの結婚かかよを養女にするかの二択かは?
「田中の考えもありますし‥。」絞り出すように言葉を出す。
ヒロの事を考える。ヒロには私じゃない方がいい。
「では、かよを養子にするか?」帝がじっと見つめる。
責任などを考えてすぐには返事できあぐねる。
「悪い話では、ないと思うがの。朕は其方がそこのかよ位の時から知っておる。先代に先立たれて、責任を負わされ。先の奥州の天変地異の後始末。もうそろそろ楽になっても良いと思う。」
じっと帝が私を見る。たしか、父は帝の護衛もしていたはずだ。
爵位が低い父がその腕をかわれて帝の護衛になった。学友としても信頼していた。以前、帝から父の墓参りの時にポツリと教えてもらった。
「かよを養育し、領主の器に育てあげたら其方も少しは楽になるのではないか?元々領主の娘ある程度の教育は受けているであろう。」帝が続ける。
確かに、かよは14歳成人まであと4年。それまでに教育し、仕事を徐々に振っていけば‥。
60前に隠居できるのでは?
え?仕事辞められる?
悪くない。いや、これはいいかも知れない。
かよは、ミーハーな所はあるが、根は素直だ。頑張りすぎるところもあるが、それはこちらでセーブしたらいい。怠け者よりかは、とてもいいと思う。
はっとして帝を見上げる。
「それに養女を領主にする事を多方面に知らせたら其方の望まない縁談も来なくなるかも知れぬぞ。」にやりと帝が話す。
「その勅命。後神櫻子しかと承ります。」私は、はっきりと答える。
4年後の隠居ライフに向けて。




